下町柚子黄昏記 by @yuzutas0

したまち発・ゆずたそ作・試行錯誤の瓦礫の記録

漫画『ブルーピリオド』がマジでオススメという話

オススメ本 Advent Calendar 2019の22日目の記事です。 ネタバレがあります。ご注意ください。

もくじ

どんな漫画?

ざっくり言うと、器用貧乏だった主人公が、絵を描くことにハマって、藝大入試に全力投球する漫画です。 美大受験の経験者たちが口を揃えて「多少ご都合主義はあるけど、実際こんな感じだった」と言っていたので、多分正確なのでしょう。

なにゆえオススメ?

特に仕事やキャリアに悩んでいる人には示唆が多いように思います。

現代の仕事やキャリアには「こうしたらOKだよ」という明確な答えがありません。 アートという分野の話だからこそ、現代を生きる人に突き刺さるのではないかと思いました。 「お前はどうしたいんだ?」「お前は何を表現したいんだ?」という問いに向き合うのがアートだからです。

多感な時期の青年が、進路に悩んで、目の前のことに打ち込もうとして、でも上手く結果に繋がらなくて、 明確なチームや相手がいるわけでもなく、どうしたら評価されるのか明確な答えがあるわけでもなく、 もがいて、もがいて、もがいて、そうやって前進している漫画です。私には突き刺さりました。

また、主人公は努力家で、切り替えが早くて、成功体質を身に着けているので、 そういった思考をトレースしながら読めるという点だけでも面白いです。

名言の数々

ということで、つい私がiPhoneに保存してしまった名言の数々をご紹介します。 あと雑な感想や自分語りも付け加えます。

1巻

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

どうして普通の大学なら食べていける保証があるんでしょうか? 今は東大生も就職が難しいと言われる時代ですよね? なら一芸持っている美大生はある意味、有利かもしれませんよ。

頑張れない子は、好きなことがない子でしたよ。 好きなことに人生の一番のウエイトを置くのって、普通のことじゃないでしょうか?

(都合の良い結果になるかは)分かりません! でも好きなことをする努力家はね、最強なんですよ!

これは自分が採用側だったときも思ったし、転職活動をしたときも思ったし、業務委託をやったときも思った。 反直感的だけど、興味のある分野に突き進んで、とがった成果を1つ出したほうが、マッチングしやすい。

最近の早期退職志願、リストラ、副業解禁といった話にも繋がる。 安心を得るために、何となくで道を選んでも、結果として逆効果になりかねない。

海外の大学に行ったほうが良いのか。 博士号を取ったほうが良いのか。 外資企業に転職したほうが良いのか。 職種を変えたほうが良いのか。 独立したほうが良いのか。 英語を勉強したほうが良いのか。

これらも全部同じ問いだと思う。 どれも手段に過ぎないわけだから。 手段から入ることを否定はしない。 だけど、それだけが答えじゃないよね、とは思った。

どれだけ年を取っても、好奇心と活力さえあれば、新しいことを学べるし、きっと活躍できる。 だけど、好奇心と活力が尽きてしまったり、チャレンジから逃げる癖がついてしまったら、厳しいと思う。 本心から目を背けた「逃げの一手」は、安心を得るどころか、破滅の一歩ではないだろうか。

初心者でよくあるのは「見ないで描く人」と「見ているのに立体感がでない人」の2つです。 上手な人と何が違うか…それは「ソレをソレらしく見せる情報を選んでいる」ということ。

よく観察して描くのが基本です。 でも絵ですから何を描けばそれらしくなるかというウソも大切です。

色々な仕事で当てはまる話。 「らしさ」「見せ方」ってのは大事だなと。

スライドや資料を作るとき、事実を抑えた上で、あえて見せ方を脚色することもある。 企画職で言うと、リサーチや分析をした上で、どこを勝ち筋として抑えるか、なんだろうなぁとか。 システムやオペレーションを設計するとき、あえて異常系を切り捨てて、走り出しを早くしたり。

冷静になんかなんなよ。 今は描いた枚数と上手くなった分だけが、俺の自信だ。

他人と比べて落ち込みそうな時! 目標と比べて落ち込みそうな時! こうやって自分を狂わせるしかないでしょ!みたいな。

どうせ当初の目標を達成しても、その時にはまた次の目標が遠くて、きっと凹む。 いちいちネガティブになったらやってられないって!みたいな。

予備校の利点はいろいろありますよ。 生徒全員が美大を目指す環境。 有名美大出身の講師たち。 そして充実した資料。 傾向や対策でより合格の確率を上げてくれるはずです。

目標を達成しやすい環境に身を置きなさい、という話。

例えば、海外に転職したかったら、TOEICの勉強をするのも大事なのだけど、 さっさと海外に行っちゃうとか、外国人比率の高い部署に異動するとか、 出張が多い部署に異動するとか、そういう手を打ったほうが話が早いよね。 みたいな。

個人的な話をすると、新規事業企画とかダッシュボード構築とか、 やってみたいなぁという仕事があったら、勉強してスキルを身につけてから話をするのではなくて、 とりあえず「やらせてほしい」と知り合いに声を掛けて、リモートワークx業務委託で仕事を発注してもらって、 そのあと慌てて勉強しながらやり抜く、という動き方をするようになった。

本で読んでもわからないから面白いんだ。 理性は感性の後ろにできる道だ。 だったら、だったらいっそ、楽しんで描こう。 いっそ遊ぶつもりで。

勉強してから実践するよりさ、実践してから勉強したほうが、すんなり理解できるよね。的な。 社会人の勉強はこれだなぁと思いますね。

クリエイティブな分野なら、先に案件を取る。 そしてアウトプットを出す。 アウトプットを出す過程で必要なスキルや知識を身につける。 そのアウトプットがそのままポートフォリオになって、次のチャンスにつながる。 勉強してから案件を取るのでは遅い。 アウトプットを出すための試行錯誤を楽しまなければ。

アカデミックな分野なら、まずは現場の課題をヒアリングする。 いきなり10冊も20冊も専門書を読まない。 ヒアリングして、論点を整理して、仮説を立てて、色々な人と壁打ちする。 んで、仮説をもとに、その分野の良書を1冊だけ読む。 読書とは著者との対話のようなもので、仮説を念頭に置いて読むと、多くのことを教えてくれる。 仮説がブラッシュアップできたら、現場で実践する。 実践した上で、違和感をメモして、またヒアリング。 そのヒアリングをもとに、必要な本を読む。 この繰り返しで専門家になっていく。

2巻

ブルーピリオド(2) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(2) (アフタヌーンコミックス)

まずは "自分が何を好きか知ること"

美術館に行く。画集を見る。 絵・立体・写真・映像・漫画・文章。 なんでもいいから自分がピンときたものをファイリングしてみるの。 もちろん作品は作りながらね。 そうすれば "自分の好き" がわかるわよ。

好きなこと・やりたいことを問われて「うーん」ってなるようだったら、 インプットとアウトプットを大量に重ねながら、徐々に意見を形成するのが一番の近道だね!!!

いや、変なほうに考えんな! 今は、とにかく絵作りだ!

主人公のフォーカスする力がすごい。 雑念に振り回されずに、目の前の課題にだけフォーカスする。 これができるかどうかですよ。

自分の好きな作品の傾向はだんだんわかってきた。

"作品はその作家が出した一つの答え"

"真似!大いに結構!"

これを、俺の、絵に、落とし込む!

良いなぁと思ったものを、模倣して、自分のものにしていく、的な。 ジェームス・W・ヤングいわく、新しいアイデアは既存の要素の組み合わせ。 ジョセフ・シュンペーターいわく、イノベーションは新結合。 どんどん模倣していきましょう。

すべてのものが画材なのか。 絵って思ってたよりずっと自由だ。 けど技術があればもっと自由に飛べそうだな。 構図も、視線誘導も、デッサン力も、画材センスも、全部、押してくれる。

How(手段)の話。 ちゃんと基礎技術は抑える。 一方で、既存の制約や思い込みにとらわれない。 そういうの大事ですよね。

俺は世田介君の絵も桑名さんの絵も描けない。 でも、俺の絵は誰も描けない。 どう描いたって俺の絵だ。

美術じゃなくてもよかった? 世田介君に何がわかるんだよ。 確かにあのとき体験したことが違うことだったら 今、絵を描いていないかもしれない。

でも、今はコレに全部賭けるって言ってんだよ。 美術(コレ)しかないんだよ。

エンジンが爆発してる。

こわい。こわい。でも殺す。 死ぬほど怖いよ。 でもそれ以上に、ひれ伏させたい。 俺の絵で、全員殺す。 そのためならなんでもする。

主人公の感情が爆発して、メッセージ性の強烈な絵を描き上げた場面。 「なぜ表現したいか」(Why)と「何を表現したいか」(What)が明確に描写されている。 このくらいのメッセージ性を持って行動できたら、ラクではないだろうけど、 エネルギーに満ち溢れたアウトプットを出していけるのだろうなと思った。

なんで上手な浪人生より、上手くない俺のほうがいい順位だったんですか?

良い絵だったから。それだけよ。 答え方・視点・挑戦、すべて明確だった。

技術や知識は強力な武器だけど、欲ばったり使いどころを間違えると、曖昧な絵になる。 矢口のあの絵は、武器が少ない分…いや割り切って武器を使ったから明瞭な絵になった。

あらゆる分野で專門分化が進んでいる。 それゆえにHowが先行してしまい、WhyとWhatが不明確になっている。 そういうアウトプットは多い。

スキルマップを埋めることに焦ったり、Howを100%習得しようとして、つい情報に振り回されがち。 だけど今ある武器を活かすことを考えればいい。 WhyとWhatを明確にして、逆算でHowを抑えるだけでも十分ではないだろうか。

実践を重ねるうちに「これはできるようになっておこう」という課題が明確になる。 そうなってからでもHowの網羅は遅くないのかなと。

3巻

ブルーピリオド(3) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(3) (アフタヌーンコミックス)

…いや、言い訳すんな。 コレがマジの試験なら、言い訳ばっかのダセー奴だぞ。

好き。スタンスが優秀なんだよなぁ。

初めての出題形式に戸惑うシーン。 結果としてはボロクソなんだけど、全力でぶつかってボロクソなので、 そのあとの学習で「そういうことだったのか」と吸収するスピードが早い。 分からないなりに全力で挑戦すれば、損はないわけですね。

今年受かっても来年受かるかわからん世界や。 藝大受験はな。 楽しくやったほうがええで。

楽しく…か。確かにそうだ。 キャンバスの中では自由なはずだ。 楽しくやろう!

勉強する範囲を教えてもらって、勉強して、そのとおりにテストに出て、 勉強したことを回答用紙に書いて、それができたら合格です! なんてこと、世の中では、むしろ少数だよなぁと思った。

自分が同じように行動しても、タイミングやシチュエーションや相手によって、 上手くいくこともあれば、上手くいかないこともある。 そもそも明日事故で死ぬかもしれないわけで、信じられないくらい理不尽な世界で生きている。

おっしゃるとおりですよ。せめて楽しまないと損じゃね?と思った。

受験前の今だから意味があるんです。 最近、受験以外の絵、描いてないでしょう?

ストレスフルな仕事で扱っているテーマを、あえて仕事以外でやってみる。 これ普通にアリですよね。

仕事だと出来ないような技術面(How)のチャレンジができる。 仕事より小さな規模でWhy・What・Howを表現できる。 制約をずらしてみると、違う角度から対象と向き合うきっかけになる。 そこでの気付きは、仕事に還元できる。

ストレスフルな状況だとしても、ストレスフルな精神状態になったら本末転倒。 あえて違う角度から見てみることで、ポジティブな作用を及ぼすのではなかろうか。

美術部の夏休みの課題は、デッサンで描写力・観察力をつけ、 スクラップブックでアイデアを増やし、1日1枚写真で構図力や視点を探る。

どの分野で能力を伸ばすときでも、似たようなことをやると良さそうだなと思った。

1日1つビジネスアイデアを考えるという生活を何年もやったので思うところはありますね。 スクラップブックに相当しそう。 リサーチ(=デッサンに該当?)や、企画書・LP作成(=写真に該当?)をやったらもっと効果あったのかなとか。

俺はずっと「構図」のことばっか考えてた。 でもそれ違うじゃん。 「構図」は「言いたいこと」じゃなくて「手段」じゃん。 …俺は、ずーっと「手段」で「手段」の絵を描いてたのか…。

Howはもちろん重要なのだけど、Howばかり考えていると歪むときはあるよね。 Howは向き合いやすいんですよね。 ステップアップが見えやすい。 でもWhy・Whatと向き合うことから逃げてはいけないね。 結局何がしたいんだっけ?っていう。

好きなことをやるって、いつでも楽しいって意味じゃないよ。

わかる。

(ショートケーキについて) "白い"クリームの中に、大きな苺の"赤"。そんで中にも小粒の"赤"がまばらにある。 まるで「主役」と「視線誘導」。

紅白歌合戦や紅白まんじゅうを思い浮かべて)前にテレビかなんかで "紅白カラー"がショートケーキの人気のヒミツだって言ってたな!

評価されるものは、いくつも"強み"がある。

何かを学ぶときは、良いものに触れて、良いものを分析して、良いものを模倣する。 これが鉄則だと思った。 舌が肥えると、改善の方向性に気付けるようになる。 ダメなものばかり見ると、何がダメかは言えるが、じゃあどうしたらいい?に答えられない。

画材って不思議っすね。 苦手だったモチーフとかも画材変えてみると「あれ?」ってくらいすんなり描けたりして、 俺が想像してた以上のとこまでひっぱっていってくれる、みたいな?

Howを選ぶときはEasyが大事だよね、と思った。

他の人にとっては大変なことでも、自分にとってはすんなりできちゃったり。 逆に自分にとって大変なことでも、他の人ならすぐできたり。 だからなるべくEasyなところで戦うのが良いのかなと。 代わりに他の人にどんどん頼るのが良いのかなと。

ツールに決まりがあったり、無理にツールをカスタマイズしようとして、Howのための仕事が増えると大変。 一番ラクできるやつを選べばええやんと思ったりもします。 便利なものがどんどん出てくる中で、理想に拘泥するより、Easyという軸で選んじゃって良いんじゃないかなと。

一方で、色々なHowを試したり、時間を費やさないと、どれが適しているかは分からないわけで。 そういう意味で専門家の強さというのは今まで以上に重要になってくるのだろうなとも思ったり、 どんどん専門家に教えてもらって真似していくのが良いのかなとか。

4巻

ブルーピリオド(4) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(4) (アフタヌーンコミックス)

……先生の言うことも一理ある。 でもやっぱリスキーすぎるだろ…! このタイミングで油絵やらないって…! この中で油絵のスタイルが固まっているのは桑名さんくらい…。

…いやわかってる。 現役生は、時間がないんだ…!

うすうす気付いてたけど、藝大の油絵専攻はデッサンは「できる」前提。 その上で自分の表現ができてるかどうかを見るわけだ。

浪人生はある程度技術がある。 合否の分かれ目は精神的な部分だろーな。 でも現役生の技術力は合格水準ギリギリ。 つまり目の前の1次試験に全部を賭けなきゃいけない…!

浪人生:スキルは身に着いているけど精神力の勝負。 現役生:スキルを身に着けながらギリギリの綱渡り。 結局どこにも安全圏なんてないんだよ。

現役生は浪人生になれるけど、逆は無理。 だったら最初から全力投球するしかないよねと思った。 浪人生を否定するのではなくて、浪人すれば良いやと思っている現役生は違うよねと。

多分、キャリアを考えている人たちは、似た立場なのかもしれない。 技術を習得してから案件を受注しようとか、経験を積んでから起業しようとか、 そういうのも同じかもしれない。

まだやれる?

(「やれる」って描けるかってことだよな…。まじか。)

(…いや確かに時間がないなら数の力に頼るしかない。 でも帰宅から就寝まで2時間…。家帰ってからもう1枚くらいいけるのか…?)

(やるしかないか。)

やれます。

本気で打ち込んでいるときってこういう感じだよなぁと思った。 なぁ、このくらい本気でやれてるのかよ、おい。と自分に問いかけたくなった。

1位の絵じゃなくて、矢口の「最高の絵」を目指さなきゃね。

多くの分野では、趣味でも仕事でも、何か1つの分かりやすい軸で競争するわけじゃない。 そこで他人と比較しても意味がない。 自分のベストを尽くすことにだけ集中しないと意味がない。 みたいな。

美大受験は孤独だし…、時間ないし、正解ないし、正気じゃねーよ。

まさに現代社会じゃん。って思った。

でも受験でメンタル落とすのは、自分自信の問題だと思う。

はい。

リフレッシュの方法を決める、カウンセリングに通う、コーチングを受ける、心療内科で診察してもらう。 恥ずかしがらずに、どんな手を使ってでも、メンタルを持続させるのが大事だろうなと思った。 自分がダメになりそうなときでも、上手く立ち直れるように用意しておかないと。 そういうのも含めて自分次第なんだろうなと。

枚数にして残り14枚…。 この1週間をどう過ごすかで多分結果が大きく変わる。

今の俺の課題はなんだ?

リミットが可視化されると、無駄なく重点課題にフォーカスできるよなぁと思いました。 仕事でも趣味でも、まるで無限に時間があるかのように、大量の課題を解こうとしがちだけど、無理。 残り1週間しかなかったら、どの課題を真っ先に解くのだろうか。 最初からそれだけやれば良いのではないだろうか。

マジメさに価値があるのは義務教育までよ。

苦手を克服するのはテストの点の取り方ね。

イイ子でいることを評価してくれるのは、そうだと楽な先生と親だけでしょ?

矢口に足りてないのは「自分勝手力」よ。

好きで楽しんで情熱を込めて作ったものってね、 それを見た人も楽しくなっちゃうものなんですよ。 これはキレイ事じゃなくて本当に。

世の中は自信マンマンで楽しんでるヤツの方が魅力的に見えるのも知ってる。 だから俺もずっと自信のある風に振る舞ってきた。 でも絵の怖いとこは、それが全部バレるとこ。

楽しまきゃ。本気で楽しまなきゃ意味がな…

予備校の先生にさ、お前には自分勝手さと楽しむ力が足りないって言われたんだよね。

昔はあったんだけどね。 でももうその感覚が思い出せないんだわ。

楽しんでるやつが魅力的なのはわかるよ。 俺だってそうなりたいし、そうなろうと頑張ったんだ。 でも楽しむってさ、すげーホンキな気持ちじゃん。

この漫画で一番好きなパート。 読んでいて、一言一言が、突き刺さる。

そうなんだよねぇ。そうなんだよ。そうなんだよなぁ。

(課題への)対応力と、自分勝手力と、楽しむ力は、矛盾してるもんだと思ってた。 今までは俺が課題に「対応」(げいごう)してたからだ。 でもそうじゃない。 課題は噛み砕いて、俺のものにしていいんだ。

与えられた課題(Must)と、自分の表現したいメッセージ(Will)と、自分なりの表現方法(Can)の擦り合わせ。 その過程を楽しむこと。まさにキャリア論だこれ、と思った。

アタシはやるよ。 リスク負っても勝率いじれんならやるでしょ。

グレーな手段を取るかという話。 多くの人がやっていて、他の受験生に迷惑を掛けなければ、事実上黙認されている。 ただしルール上は失格にされても文句を言えない。

ここで「やる」と即断できるのは、不思議な爽やかさがある。 攻める姿勢。勝とうとする意思。いいなぁと思った。

私はジョジョだと7部が一番好きなのだけど、似てるかもなぁと思った。 どんな手段を使ってでもレースで勝ち残る! ただし自分の信念・美学は曲げない!マナーも守る! みたいな。

この課題は……俺のモノだ。

楽しんで

楽しんで…

楽しもう!

本番で自分にこれを言い聞かせられたら、もうプロフェッショナルみたいなものだよね! 知らんけど。

クソッ。 "飛び道具" の真の重要性が今わかったわ。

この人数の中で、目立つことができなければ、おそらく落ちる…!

単純に考えてこの部屋の中から受かるのは1〜2人ってとこか?

最下位の絵より、無難で目立たない絵が一番危険なんだろーな。 逆にヒドい絵でも目が行く絵にできれば少なくとも印象は残せるはず…。

これも現実社会だ。

ついつい「無難で目立たない絵」を描きがち。分かる。 最下位の絵を描く勇気を持たないと、やっていけない。

HUNTER x HUNTER のハンター試験で「印象値」が重視されてたなぁとか思い出した。

同時に存在するんだよ。 絶対受かりたいって気持ちとさ、全員殺したいって気持ちとさ、 合格なんてどうでもいいから、この絵を描かせてくださいって気持ちがさ。

本気で打ち込んでるときの気持ちだ……。 こういう気持ち。こういう気持ちで生きていこうな。って思った。

5巻

ブルーピリオド(5) (アフタヌーンコミックス)

ブルーピリオド(5) (アフタヌーンコミックス)

骨可愛い〜〜。

いい…この曲線美…!

岡田ちゃんテンションたっけー。

あんだけちゃんと息抜きできんのはマジですごいわ。

博物館を楽しむ女子のシーン。

こういう人すっげー尊敬する。 人類の究極系はギャルだろうな。 どうしたらギャルになれるかね。

と思っていたけど、水族館でカメラを持っているときの私は、こんな感じだったらしい。 たしかに、1時間で流し見できる規模なのに、3時間くらい居座って、500枚くらい撮影してた。 自分では気付かないものだなぁ。 楽しむってのは案外そういうものなのかもしれないなぁ。

最初からわかってたことじゃん…! 俺は凡人なんだ…!

ポジティブに開き直って、凡人なりの戦い方をするのは、かっこいいよね。

色を乗せればいいわけじゃない。 選ばないっていう選択をすることも同じくらい大事。

自分の感覚を全部研ぎ澄ませれば、自分が今何を大事にしたいのかが少しずつわかる。 一つ一つの色に心が動く。ただ絵として美しいから選ぶんじゃない。

湿度の高い赤がいいのか、おどろおどろしい赤がいいのか、みずみずしい赤がいいのか、 どんな赤がいい?俺は何を赤で表現したいんだ?

WhyとWhatがあって、それをHowで実現する。 Howに振り回されずに、自分の意思でHowを選ぶ。 Howによってアウトプットが出来て、WhyとWhatが表現される。 そういうときの感覚。すごい。良い。

ここ数ヶ月、休むのもパフォーマンス上げるための行為で、 自分の体が絵を描くための乗り物みたいな…。

アスリートだ。本気で打ち込んでいるとき、こうなるのは分かる。

素敵なことだなと思います。 100年後には死に、いずれ地球もなくなるわけで、自分の生命や肉体は借り物のようなもので、 インスピレーション(精霊)のために無心で時間を捧げるというのは悪くないなぁと。

「死にたい」

「じゃあ裸になって死になよ」

「恥ずかしいと思うなら」

「どう見られてもいいと思えないなら」

「まだ死んじゃダメだよ」

はい。

6巻

ブルーピリオド(6) (アフタヌーンKC)

ブルーピリオド(6) (アフタヌーンKC)

絵を描く前は知らなかった。 絵には勉強することが多いってこと。 でもそれだけじゃダメだってこと。 こんなにも体力がいるってこと。

いや本当にこれですよ。 何事も本気で打ち込むには、いくら学んでも足りないし、とにかく健康第一。 身体も、精神も、情緒も、頭脳も、メンテナンスしていかないと。

始めるのが遅いのなんか、慣れてんだよ…!!

体調不良で試験中に寝落ちして、残り時間が少なくて、焦ったときのセリフ。 くっそカッコいい。

どんな分野のどんな挑戦であっても、焦る理由なんていくらでも出てくるんですよね。 しかも自分より前に進んでいる人たちがめっちゃいっぱいいてさ。 いつだって挑戦者として立ち向かうしかないわけで。 はじめからそういう立場なんだから、ベストを尽くすだけだよねっていう。

今日だけはムリしたほうがいいよ

はい。勝負所ね。

周りの人はもう描き始めてるんでしょ? なら人の答えが見れるわね。

後手に回ってもポジティブ思考〜〜〜!!! いいぞ〜〜〜!!!

結局ね、先手を打っても不安になるし、後手に回っても不安になるんですよ。 だったらポジティブに捉えるしかないよね!

俺はこの天才と同じところまで来たんだ…ッ!

周りがすごくてもポジティブ思考〜〜〜!!! いいぞ〜〜〜!!!

結局ね、周りが自分より雑魚ばっかりでも不安になるし、周りが自分よりすごくても不安になるんですよ。 だったらポジティブに捉えるしかないよね!

ありのままの自分じゃ受かる気がしない。 だからこそ戦略を考える。 だからこそテーマを分かりやすく演出する。

この土壇場で…いや土壇場だからこそわかった。

自信を持てないことを恥ずかしいって思うくらいなら、 ソレ受け入れて戦略練るほうが俺に合ってる。

ポジティブな開き直り!!良い!!カッコいい!!最高!! 凡人!!それはもう仕方ない!!でもいいじゃん!!やっていこうな!!って思った!!

いいだろ、こういう絵があっても。

「正解なのかなぁ」って悩むんじゃなくて「これが正解だから」と開き直るの、良い。

このセリフのあとがさらに良い。 この方向性なのはOKとして、どうやってクオリティを上げていこうか。 前向きに考えている。

自信はないけど、同時にとっても傲慢だ。 戦略的にやれば上手くやれるって思ってる。

凡人が、それでも活躍したいなら、作戦ちゃんと立てるしかないよね! いいぞー!!

後悔はないですよ。反省は死ぬほどあるけど。

試験のことを後悔してるわけじゃない。かといって納得してるわけでもない。 もっと後ろ向き。もう俺にできることがない。それだけだ。

やること全力でやるってそういうことだよね。 開き直って、開き直って、開き直って、開き直り尽くした感じ。

なぁ、後悔も、納得も、置いてけぼりにするくらい、全力でやってんのかてめぇ、って自分に対して思った。

まとめ

ブルーピリオド コミック 1-6巻セット

ブルーピリオド コミック 1-6巻セット

最終的に伝えたいことはタイトルの通りです。 マジでオススメです。

めでたしめでたし。