概要
『転職の思考法』を読みました。
- この記事のターゲット
- 転職に関心がある人
- 将来のキャリアについて悩んでいる人
- 今の環境のままではダメだと思っている人
- この記事で伝えたいこと
- 『転職の思考法』はオススメです
- 「キャリア棚卸しシート」を作って公開したので良かったら使ってね
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
- 作者: 北野唯我
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2018/06/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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もくじ
どのような書籍か
本書は小説形式を採用しており、主人公の転職に伴走する形で話が進みます。
転職の過程で
- どのようなシチュエーションがあるのか
- どのような心境の変化があるのか
- どのようなミスをしがちなのか
- どのような考え方(思考法)が必要になるのか
これらの解説がなされていきます。
転職に興味がある方、いまの環境に漠然とした不安がある方は、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。 エピソードが分かりやすくて読みやすいですし、気付かなかった視点を得ることができるはずです。
読んだきっかけ
上司との1on1で今後のキャリアについて相談したところ「これ読みやすいぞ!ロジックが明瞭だからお前に合うと思う!」と勧められました。 本人のためになると思ったら、転職の本であっても部下に勧められるような、こんな上司に自分もなりたいなと思いました。
ざっくり内容
転職活動とはマーケットに自分を売り込む行為です。 自分という商品をいかに高く売り込むか、様々な角度から考えることになります。
- 経済全体でどの分野が伸びているのか(これから伸びていくのか)。
- どのような人材がいくらで求められているのか(これから求められるのか)。
- 自分のスキルや経験をどういう人がどういう理由で欲しがるのか。
本書を読むと、実際に転職する・しないは別として「いつでも転職できるようにキャリアデザインを描くこと」が重要だと認識できるようになります。 その結果として今よりも前向きに働けるようになるはずです。
ざっくり感想
私の観測範囲ですと、特にソシャゲ会社にいた方々の中には、このあたり上手く計算して転職しているなぁという方がいますね。 反対に、いわゆる外コンに新卒入社した方でも、転職先の経営企画部門が雑務だらけで「こんなはずではなかった」という声を聞くこともあります。
そうした話を聞いていると、転職活動中(入社前)に会社の実態を予想するのはなかなか難しそうだなぁと、漠然とした不安がありました。 しかし、本書を読んだことで、ある程度のリスクはコントロールできそうだと思えるようになりました。
キャリア棚卸しシート
せっかく読んだからには何かしらアクションに繋げたいということで、本書の論点をスプレッドシートに書き出しました。 本書は「エピソード形式による分かりやすさ」が魅力である反面、「何から始めたら良いの?」という点は読者の力量に委ねられているように思います。 シートに書き出し、自分のキャリアを棚卸しすることで、書籍を行動に繋げることができるはずです。
自分の状況をシートに書き出した
↑こんな感じです。イメージ。
#転職の思考法 という本が良かったので、スプレッドシートに論点を列挙して、自分の現状を可視化してみた。今持っている強みを活かしながら、個人としてもっと新しい取り組みをやっていきたいと思った。 pic.twitter.com/vhPpfJHavY
— ゆずたそ (@yuzutas0) September 1, 2018
......すると......
著者からリプライが来ました
す、すごい強者が現れた。。!! https://t.co/EZ2ddvPIJK
— 北野唯我@転職の思考法 10万部(発売2ヶ月 (@KEN_ChiefE) September 1, 2018
いえー!ゆずたそさんのキャリアに少しでもお役に立てて良かったです、
— 北野唯我@転職の思考法 10万部(発売2ヶ月 (@KEN_ChiefE) September 1, 2018
このスプレッドシート、見出しや構造化のレベルがすごく実用的で、本の付録につけたかったぐらいです!😆😆
きっと役に立つ人もいると思うので、
ぜひオープンソース化もご検討くださいっ!#転職の思考法
......ということで......
シートを公開しました
↑こんな感じです。イメージ。
@KEN_ChiefE 様に助言を受けてスプレッドシートを公開しました。#転職の思考法 という本をもとにして自身の思考を整理するシートです。
— ゆずたそ (@yuzutas0) September 2, 2018
月曜の出社が憂鬱な方、心のどこかで「このままではダメだ」と感じている方、まずは書き出すところから始めてみてはいかがでしょうか。https://t.co/kD0cSy4G6S
す、すごいのが出来た!!!!!😆😆
— 北野唯我@転職の思考法 10万部(発売2ヶ月 (@KEN_ChiefE) September 2, 2018
「転職の思考法」のメソッドを使い
自分のキャリアを棚卸しできる
スプレッドシートを読者のゆずたそさん@yuzutas0 が作ってくださいました
著者自ら、フル推しです
ぜひ皆さん、使ってみてくださいー!
わーい🙌 https://t.co/AgXzkUVNNN
ぜひご自由にご利用ください。 以下のリンクから開いていただけると、シートのダウンロードやコピーが容易に行えます。 https://t.co/kD0cSy4G6S
個人的に響いたところのメモ
最後にざっくりメモです。 読んでいて「なるほど」と思ったのは以下の4つ。
1. マーケットの伸びについて
競合を含めて全体が伸びている市場に乗っかるべし、という話が書かれています。 これは転職先企業のドメイン分野という意味でも、スキルという意味でも、セルフブランドという意味でも重要だと感じました。
例えば
- ドメイン分野:一昔前のソーシャルゲーム。最近だとオンラインデーティング。
- スキル:一昔前ならモバイルアプリ開発。最近だとデータサイエンスや機械学習。
- セルフブランド:一時期大量に現れたDeepLearning芸人たちは上手かった。扱う画像や芸風が微妙に1人1人異なっていて、個性を形作っていました。
私なんかは、ついついオリジナリティを追求しようとして、悪い意味でニッチな分野に逃げ込みがちです。 しかし下手に独自性を意識する必要はないのだと本書を読んで思いました。 上手い事例をマネしていれば、自分が持っている他の要素との掛け合わせで、結果的にオリジナリティが出るのかもしれません。 それが自分を売り込むときのキャッチコピーとなるのでしょう。
本当かどうか分かりませんが、クラウドワークスというサービスは創業者のアイデアではないそうです。 ベンチャーキャピタリスト(VC)の助言を元にした事業だという話を聞いたことがあります。 当時は「自分のアイデアでゼロからやらない起業家もいるのか」と不思議に思ったのです。 しかし今思うと、むしろVCのほうがマーケット嗅覚も優れているでしょうから、賢い進め方だなぁと思います。
2. 人的資産について
自分の市場価値を決める要素の1つが人的資産だと本書では述べています。 今の会社を辞めても仕事を指名してくれる人は何人いるか?と問いかけています。
バイネームで指名が来ないようでは話にならないと言われているようで、私にはグサッと来ました。 情報過多で何もかもが玉石混合の時代だからこそ、仕事は信頼できる人に縁故で頼みたいということもあるでしょう。 ふらっと遊びに行って、しれっと案件を取ってくるような動き方ができると最高ですね。
足掛けとしては、外部とコラボしやすい部署・仕事に就いたり、副業として週末フリーランスをやったり、コミュニティ運営の手伝いから始めるのが良さそうです。 とはいえ無理に人脈作りを目的にしてしまうと、なかなか長続きしないような気もします。 趣味を楽しむとか、スキルを向上させるとか、そういった取り組みとセットで結果的に資産が付いてくるような形が望ましいですね。
3. 経営層の中途採用比率について
「その企業に転職して本当に活躍できるのか」を判断するための基準の1つとして紹介されています。 経営層の中途採用比率が低ければ、中途入社しても活躍しにくい環境の可能性が高いからだそうです。
言われてみると確かにそういう会社はあるなぁと思いました。 入社してから「この会社は中途が活躍しにくい」と気付くのは辛すぎますね。
また、読んでいて思ったのですが、経営層に就任するまでの年数やキャリアパスも見た方が良さそうです。 サイバーエージェントのように20代若手が役員になるようなスピード感のある会社なのか。 あるいは、表向きはメガベンチャーと言いながら、10年以上勤務しないと社内の階段を上がれないような会社なのか。 はじめから経営枠で採用した人がポジションを占めるのか、現場で活躍した人が出世して新しいチャレンジに挑める環境なのか。
役職というのは1つの例に過ぎませんが、挑戦に対して前向きな会社とそうでない会社の差はこういったところにも出てくるのでしょう。 個人の市場価値を効率的に高めるという点においては、挑戦に前向きな会社のほうが魅力的と言えます。
4. 会社の強みについて
「その企業に転職して本当に活躍できるのか」を判断するための基準の1つとして紹介されています。 会社の強みと職種が一致するほうが自由に動きやすいからだそうです。
これはよくある話ですね。例えば、データサイエンティスト。 データサイエンティストとして入社しても、組織にデータを使う文化がなかったり、データ自体も使い物にならないと、成果を上げるのは大変です。 しかも商品設計やオペレーションなどのビジネス構造は、データ活用を前提としない形で最適化されています。 「君が1人目だ」「ぜひ会社を変えてほしい」と言われても、いざやろうとすると、そもそものビジネス構造を根本的に変えなければならなくなります。 今までそのやり方で何とか勝ってきたのに、急にやり方を変えろと言われても、経営層や現場からすると「いやちょっと待てや」という話になります。
似た例は枚挙に暇がありません。ソフトウェア製品のように見えるけど、実際は営業力がキードライバーということもあります。 デザイナーやエンジニアが画面UIを磨き込むよりも、営業が売るための商品を追加したほうが売上が伸びやすいです。 そうなるとインハンス開発チームはいわば社内下請け部門になりがちです。 そうした環境でこそ学べることもあるので一概に良し悪しは言えません。 しかし、個人の市場価値を高めるような成果を上げるのは時間が掛かりそうです。
よくある話なのですが、じゃあどうやって見極めるのか、というのが難しい。 本書では、見極め方として「商品設計」に加えて「経営陣の経歴」を見るように述べています。 目から鱗でした。言われてみればその通りだ。 ITに疎い営業出身のメンバーが立ち上げた会社は、ITに頼るよりも、自分たちの持っているツテや売り方を活かしてビジネスを発展させるはずです。 結果的にビジネス構造は、IT屋が入社しても活躍しにくいものになります。 そしてそのビジネス構造こそが会社独自の強みだったりするわけです。 そうだよなぁ。良いとか悪いとかじゃなくて、そうなるよなぁ。
おわりに
転職の思考法を身につけるということは、「自分がすぐにでも活躍できる場所を見つける力」であり、「高いオファーを出してでも自分の活躍に期待してくれる人たちと一緒に働く力」なのかもしれないと思いました。 その力を身につけるためにも、私自身、もっと外を向いていきたいと思いました。まずはポートフォリオサイトでも作るか。
ということで、少しでも心に響いた方がいらっしゃいましたら、お気軽に@yuzutas0までお声掛けください。 やっていきましょう。
めでたしめでたし。