下町柚子黄昏記 by @yuzutas0

したまち発・ゆずたそ作・試行錯誤の瓦礫の記録

『データマネジメントが30分でわかる本』を出版しました

(自称)企画屋・コンセプトデザイナーの @yuzutas0 です。

共著者・寄稿者を初めとして、スポンサーやレビュアーの皆様、各所で書籍を紹介してくださった皆様、 その他何らかの形でご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

発売から間が空きましたが、スポンサー報告が完了したので、このブログに制作秘話をまとめます。 自費出版に関心がある人のヒントになれば幸いです。

もくじ

1. 書籍について

1-1. 書籍概要

『データマネジメントが30分でわかる本』

データマネジメントが30分でわかる本

データマネジメントが30分でわかる本

いざデータを活用しようすると「このデータでは使い物にならない」と判明して、話が頓挫してしまったことはありませんか。 それは「データマネジメント」が出来ていないからです。

本書は、データマネジメント知識体系(DMBOK)の独自要約とケーススタディ集です。 WEB系の事業会社でデータマネジメントを実践している有志一同で書き上げました。 本書を読むことで、データマネジメントの各領域と具体的な活動をイメージできるようになります。

DMBOKはデータマネジメントを「11の領域」に分けて解説し、具体的な活動と成果物、関連する技術や組織を紹介しています。 これらをまとめた公式書籍が出版されており、日本語訳『データマネジメント知識体系ガイド 第二版』も出ています。 しかし、非常にボリュームが多く、初学者が読み解くには労力を要します。

そこで、本書ではDMBOK第二版の内容を30分で読めるように噛み砕いてまとめました。 11章構成で、各領域について解説しています。 それぞれの章の中身は「30秒コース」「3分コース」「30分コース」と分けているので、目的に応じて読み進めてください。 より具体的な実践例を知りたい方に向けて、ケーススタディとして「3時間コース」も提供しています。

免責: 本書はDMBOKの発行元である DAMA International ならびにその関連企業・団体とは一切関わりがありません。 あくまで共著者一同による独自の解釈なので、原著に完全準拠した要約ではありません。 対象分野の特性上、ITシステム用語が頻出します。ご注意ください。

1-2. 購入方法

データマネジメントが30分でわかる本

データマネジメントが30分でわかる本

Kindleにて500円でお買い求めいただけます。 Kindle Unlimited 加入者は無料です。

データマネジメントが30分でわかる本

データマネジメントが30分でわかる本

紙媒体は2000円(+消費税)でお買い求めいただけます。 簡易PODで安っぽい作りなのでご注意ください。 社内研修や勉強会のための法人購入を想定しています。

※読んでみて「良い本だったな」と思っていただけたら、ぜひレビューを投稿してもらえると嬉しいです。

1-3. 本書への反響

togetter.com

読者から寄せられた感想はTogetterでまとめています。 「参考になった」「もっと早く欲しかった」といった意見が多々寄せられています。

応援してくださった方々のお陰で、2020年3月14日にKindle人気度ランキング1位を獲得しました。 多くの人に認めてもらえたのだと思うと、嬉しい気持ちでいっぱいです。

販売部数は1,000部を突破しました。 これは有料購入に限った数字なので、Kindle Unlimitedを加えると、トータルの部数はさらに伸びます。 自費出版は100〜200部でも上出来だと言われているので、前回の『個人開発がやりたくなる本』に続けて、2冊連続でのヒットになります。 やったぜ!

大々的なプレスリリースを打ったわけではありません。 技術書典などの大規模イベントで広めてもらったわけでもありません。 関係者の自主的な宣伝・口コミだけでこの成果を出せたことに驚いています。

1-4. 関係者の皆様

本書の執筆・宣伝について以下の方々にご協力いただきました。

本当にありがとうございました。

2. 裏話

2-1. きっかけ

この取り組みをはじめた動機は5つあります。

1つ目は、罪悪感です。 私が登壇で『データマネジメント知識体系ガイド』を引用 →購入者が続出 →一部の強者を除き大多数が挫折 →「だから言ったのに……」 →とはいえ情報発信したのは自分 →責任を取ろう。 ということで、初学者向けのコンテンツをまとめることにしました。

2つ目は、仕事をラクに進めるためです。 実務において「チームの課題図書」と言える1冊が存在しなかったことが、本書執筆のきっかけの1つです。 協働者に毎回解説するのも手間なので「これを読んでおいてください」と言える本を用意しようと考えました。

3つ目は、共著者であるhase-ryoさんの存在です。 ビジョンを持って、手を動かして、泥臭いデータ整備を推進している人です。 メルカリグループを手伝うことになったのは、hase-ryoさんとの会話が決定打でした。 前々から「業界に貢献できるような取り組み」を一緒にやりたいと話していて、満を持して本書を企画しました。

4つ目は、勢いです。 とある会社の、とある偉い人から「キミはETLとDWHの人だよね」と下請け仕事を振られました。 「いやお前よりはデータ経営に詳しいけど?」「私が戦略を描いてお前が作業したほうが多分上手くいくけど?」とイラッと来ました。 ちょうど良いタイミングだと思いました。 「ETLとDWHの人」を超えた「データの全体像を描く人」としてのアウトプットを世に出そうと思いました。

5つ目は、商品開発への欲求です。 自費出版の楽しさをまた味わいたくなりました。 本の企画・製作・販売は、商品開発やマーケティングそのものです。 単純にこういうのが大好きなのです。 過去の勉強会やブログでの反響から「データマネジメント」分野の需要があることは見えていました。 商品開発のチャンスです。 やるしかないと思いました。

yuzutas0.hatenablog.com

2-2. 企画

本書のコンセプトは「データチームの課題図書」です。 課題図書を通して考え方やスキルラインを揃えることはチーム運営の常套手段です。 データ分析やSQLを学べる本は多々ありますが「データ品質担保」には、開拓の余地がありました。

  • 想定顧客:データ活用に関わるチームのメンバー
  • 抱える課題:データ品質担保に関する共通言語を持っていない
  • 提供価値:「課題図書です」「研修教材です」と言える一冊

前提として、国内のデータ活用は今後も増え、この分野のマーケットは当面伸びると考えました。 解説サイトやスライドも増えるでしょうけど「体系的な知識」を求めるときに一定人数は書籍を探します。 類似書籍を機能比較して、以下のポジションを取りました。

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今後もし商業本が増えても「1冊目はこっちでいいか」と思ってもらえる立ち位置です。 かといって安易に同人誌がリプレイスできるような品質ではありません。

  • 網羅的。実践的。
  • 解説は浅い。自分で調べるための足掛かりを提供。
  • 流し読みを促す。分量は少ない。周回前提の構成。抽象的な言葉で文字数を稼がない。
  • 格安で値付け。2,000円で売れる内容を500円で売る。1,000円〜3,000円の商業誌と差別化するための価格戦略。

低価格をカバーするために3つの仕掛けを行いました。

  1. 過去の登壇資料やブログ記事をベースに低労力で執筆した。
  2. スポンサー広告枠の販売:書籍購入以外のキャッシュポイントを設けた。
  3. Kindle Unlimted対応:実践的な内容 = 何度も読まれる = ページ数に応じて継続的に収入が発生。ロングテールで回収する。 実際にコアな購入者が読み続けてくれているようで、販売数は右下がりなのに、閲覧ページ数は横ばいを維持している。

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こういった企画を考える時間は、とても楽しくて、充実した気持ちになります。

2-3. 開発(ハード面)

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電子版は『個人開発がやりたくなる本』と同様に、GitHub + md2review + ReVIEW で作成しました。 Kindle Previewer でプレビュー確認を行い、微調整を繰り返しています。 細かいレイアウト調整に手間取りました。

紙媒体は「NextPublishing(ネクパブ)」のPODサービスを利用しています。 白黒印刷だと図が読みにくかったのでカラーにしました。 カラー画像が複数ページあるため、PDFサイズ上限に引っかかり、泣く泣く圧縮して画質を落としました。 そのため印刷が荒っぽい印象を受けます。 会社の予算で買う場合、体裁が多少悪くても、内容さえ良ければ、ネガティブレビューに繋がらないだろうと考えています。

もっとツールを使いこなせると、ハード面の品質を上げられるのかなと思っています。

2-4. 開発(ソフト面)

考えなしで執筆を始めると「急いで書いて低品質」か「じっくり書いて負担大」に陥ってしまいます。 そこで「事前にスコープを絞り込む」→「複数人のレビューを受けてブラッシュアップする」というアプローチを採用しました。 前回行った「アジャイル執筆」の応用です。

yuzutas0.hatenablog.com

解説パートについては以下のように進めました。 「苦しんで一気に書き切る人」と「読者目線で推敲する人」を分けたことで、一定のクオリティを担保できたように思います。

  • 主に hase-ryo さんが担ってくださった箇所
  • スコープ定義
    • 「30分でわかる本」にまとめるのは「正直きつい」という意見が何度か出たが「やってみましょう」と私がムリヤリ押し通した
    • hase-ryoさんが試行錯誤した結果、現状の「30秒コース」「3分コース」「30分コース」に辿り着いた
  • 改善サイクル
    • 【1周目】hase-ryo:自社状況を踏まえながらDMBOKを読む → 社内wikiにメモを公開 → 社内で反響を得る → ブラッシュアップ
    • 【2周目】hase-ryo:社外向けに手直ししてGitHubにPush → 社外レビュアーにコメントを貰う → ブラッシュアップ
    • 【3周目】yuzutas0:読んで違和感のあるところや、もっと上手く説明できそうだと思ったところを手直し
    • 【4周目】yuzutas0:DMBOKと読み比べながら「こういう解釈のほうが良さそうだ」と感じたところを手直し
    • 【5周目】yuzutas0:他パート含めて全体を読みながら手直し

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寄稿パートについては以下のように進めました。 クオリティコントロールのために細かい会話を重ねています。

  • 寄稿者・スポンサーの方々が担ってくださった箇所
  • スコープ定義
    • 事前にベースとなる資料(ブログ記事など)を拝見し、方向性を合意した上で進めた
  • 改善サイクル
    • 【1周目】寄稿者:事前にベースとなる資料(ブログ記事など)がある→コンテンツの品質は検証済み
    • 【2周目】寄稿者:コピペ→本書向けに手直し
    • 【3周目】yuzutas0:読んで違和感のあるところや、もっと上手く説明できそうだと思ったところを手直し
    • 【4周目】yuzutas0:寄稿者やスポンサーの魅力を読者にアピールできるようにニュアンス調整
    • 【5周目】yuzutas0:他パート含めて全体を読みながら手直し

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ケーススタディについては以下のように進めました。

  • 主に私(yuzutas0)が担った箇所です
  • スコープ定義
    • 過去の登壇・ブログ・業務資料から、読者にとって読みやすく、なおかつ益のある内容をアグリゲーション
  • 改善サイクル
    • 【1周目】解説パートとDMBOKを読みながら「この事例が合うのではないか」と洗い出して箇条書き
    • 【2周目】過去の発表で反響は大きかったか、簡潔に説明しやすいか、といった感触を思い出しながら絞り込む
    • 【3周目】過去資料のコピペ+必要に応じてテキストや図を追加
    • 【4周目】読んで違和感のあるところや、もっと上手く説明できそうだと思ったところを手直し
    • 【5周目】他パート含めて全体を読みながら手直し

普段からアウトプットを積み重ねることの大切さをしみじみと感じました。 本書で用いた過去資料は以下です。 さすがにこの分量になるとアグリゲーションに価値が出てくるかなと思います。

2-5. 販促(売り場)

販路はAmazon・Kindleに絞りました。 今のところ「Amazonだと困る」「xxxで売ってほしい」という意見は出ていません。 悪くない判断だったと思います。

紙媒体は研修などの法人用途を想定しています。 「会社で買いたい」というニーズに応えられるように用意しました。 印刷費が高いので、ほぼ利益は出ません。 部数実績やクチコミのために提供しています。

電子版はKindle独占配信です。 独占配信にするとUnlimited対応やセール対象になります。 プラットフォームに宣伝を手伝ってもらえます。 収入が30%ではなく70%になるというメリットもあります。 まぁ元が500円なので誤差のようなものですが。

なお、もともと技術書典に出すつもりでしたが、取りやめました。

  • オフラインイベントが新型コロナで中止になった。
  • オンラインイベントでKindle独占販売以上に売れるイメージが沸かなかった。
  • 運営に「スポンサー広告をつけるなら問い合わせしてくれ」とSNSでメンションされた→問い合わせた→残念な感じになった。 関係者の多いイベントですし、コロナ対応で大変そうだったので、色々な意味で仕方ないとは思っています。

また、BOOTHへの出品も検討しましたが、やめました。

  • 『個人開発がやりたくなる本』の売れ行きが BOOTH < Kindle で、Kindle のほうが集客効果が高いだろうと考えた。
  • 技術書典に出す場合は「技術書典」タグから流入してもらえるが、それ以外に流入経路がない。技術書典に出さないと旨味がない。
  • 経理処理が手間。管理画面(売上・BOOTH手数料)とメール(銀行振込金額・振込手数料)の両方を毎月記録しないといけない。 Kindleは12ヶ月分の金額が1つの画面で確認できるので、事務作業がラク。

総合的に「Kindle + 技術書典 + BOOTH」より「Amazon・Kindle独占販売」が好ましいと判断しました。

2-6. 販促(施策)

認知を獲得するために以下の施策を打ちました。

  • 関係者を巻き込む:多くの人に寄稿やレビューをお願いして製品の品質を高めた→その延長で関係者が宣伝を手伝ってくれた
  • 勉強会登壇や取材記事:特に「データ分析」や「機械学習」のイベント・メディアに出ることで「データ整備」だけでなく「データ活用」層にアプローチした
  • SNSやブログに紹介リンクを張る:過去の資料等で私のことを知り、興味を持ってくださった方に、本書を紹介できるよう導線を確保した
  • Twitter:エゴサでFav → 3Fav以上でRT → 盛り上がっている感を出して、自分も投稿しようと思ってもらえるように演出した
  • Facebook:Amazon人気ランキング1位を取った後にシェア → 異業種の知人にアピールして話題にしてもらった

購入を後押しするために以下の施策を打ちました。

  • Amazonの商品説明文を改善:イベントやメディアでの反響を元に「データ活用」層が「これなら買おう」と思える文言にチューニングした
  • レビュー投稿促進:感想を個別で送ってくれた人に「良かったらレビューにも書いてね!ステマではなく率直な感想で!」と相談した
  • togetterまとめ:読者感想ツイートを一箇所にまとめて、買うか迷っている人に提示できるようにした
  • 読者還元キャンペーン:google検索で書籍を調べたときに感想ブログが複数件ヒットするようにした
  • youtubeコンテンツ配信:文字を読むのは苦手だけど動画はBGMがてら見てしまう、という人に訴求したかった(けど機能していないっぽい……)

2-7. 計測&レポート

スポンサー向けに「認知→購入→閲覧→広告遷移」の行動ファネルについて、実績数値と施策をレポートしています。

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  • 認知
    • Amazonページ訪問数は不明のため、Twitterの告知ツイートで規模感を把握した。
    • 「ニッチな領域でこの数字なので、ある程度のアプローチは出来た」と言える数字だった。
  • 購入
    • Kindle書籍の購入数をレポートした。
    • 事前に伝えた目標数を大幅に上回ったこと、ランキングに掲載されたことを伝えた。
    • スポンサードの費用対効果が相場に比べて適正以上であることは確認している。
  • 閲覧
    • Kindleの閲覧ページ数を計測している。
    • 定性面ではamazonレビューやtwitterで好意的なコメントが多いことを添えた。
  • 広告遷移
    • 残念ながら効果計測は出来ていない。
    • データラーニングギルドでは「この本を読んで参加しました」という方がいたので、効果は出ていると認識している。
    • せっかくの電子書籍なので、ハイパーリンク・GoogleAnalyticsの組み合わせを試したかった。 コードブロック(```)でのレイアウト調整とハイパーリンクを両立できずに断念。 ReVIEWを使いこなせると解決しそう。

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2-8. 10Xに向けた反省会

非IT人材を視野に入れて書籍を作れば、マーケットサイズを10倍に広げることができたはずだと反省しています。

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「データチームの課題図書」というコンセプトが先行しすぎてしまいました。 もし再挑戦するなら「データ部門を立ち上げる非IT役員」が「メンバーと一緒に輪読会を開くための本」というコンセプトを目指します。 その役員から私がコンサルティングや研修を発注いただく未来まで鮮明にイメージできます。

読者がどのようにその本を知り、その本をなぜ手に取り、その本をどうやって読み、読了後にどのような行動に移し、いかに当初の目的を達成するのか。 ペルソナ・ペイン・カスタマージャーニーに対して、仮説が浅く、解像度が低く、狙うインパクトが小さかったと反省しています。

3. ポエム

3-1. 「負けず嫌い」と「データドリブン」

yuzutas0.hatenablog.com

前回の自費出版でGoodだった施策は再現&ブラッシュアップしました。 さらに、前回の反省点や実施できなかった施策案については、リベンジを果たしました。

  • スポンサー広告によるキャッシュポイントの強化。
  • 横並びの関係だと議論が発散するので、1人の意思決定者(私)を置いて、明確に役割分担。
  • 既存コンテンツの引用と編集をベースにした低コスト作成の徹底。

このように改善サイクルを回すことが、データ活用の基本であり奥義だと思っています。

私は負けず嫌いで根に持つ性格です。 たくさんの「あのとき上手く行かなったこと」を腹の中に抱えています。

例えば、大学時代に「フリーペーパー発行」x「電子書籍」x「広告掲載」の企画をやりたいと思っていました。 当時は大したことができませんでした。 今回ようやく10年越しに実現することができました。

私は常にリベンジのチャンスを探しています。 同じ失敗をしないように試行錯誤しています。

結果として『データマネジメントが30分でわかる本』は、業界を代表できる1冊になったと自負しています。 データ整備に関する公開スライドやブログ記事の多くの内容は網羅できているように思います。 今回の自費出版プロジェクトは、巷のデータ分析案件と比べても遜色のない、データドリブンな案件だったのではないでしょうか。

データマネジメントが30分でわかる本

データマネジメントが30分でわかる本

3-2. 今後の展開

書籍プロジェクトとしては以上で完了です。

ありがたいことに、アウトプットを世に出したことで、さらに声を掛けていただくことが増えました。 今回の自費出版の延長として以下のような方向で取り組みを進化させたいと考えています。

(1)企業のデータマネジメント支援(顧問): 本書をテキストにして、定期的なコンサルティングを行います。 これまでの取り組み、見えてきた課題、今後のアクションを定期的に整理するだけでもデータマネジメントは前に進みます。 1社でも多くの企業を手伝って、世の中にインパクトを与えたいので、顧問業に特化してお受けしたいと考えています。

(2)企業のデータマネジメント支援(研修): 本書をテキストにして、社内のエース人材を CDO (Chief Data/Digital Officer) に1年間で育て上げるための研修を提供します。 社内エースと関係部署のキーパーソンが研修名目で集まって、自社のデータ活用の計画を立て、推進する。 結果的に社内エースが幹部にふさわしい視座と実績と信頼を獲得している。 これが最短ルートではないかと考えています。 高い金額で外部から幹部候補を採用しても、話が順調に進むとは限りません。 むしろエース人材に社内改革を計画・推進してもらうほうが、高打率・低コスト・短期間での幹部育成が可能です。

(3)企業のデータマネジメント支援(パッケージ): もともとデータ基盤構築・運用、DX推進を行ってきました。 今後はいっそうSaaS/iPaaSを活用し、パッケージ化することで、案件を加速・スケールしたいと思います。 いくつか切り口の仮説があるので、順次販売していきいます。 対象スコープを絞り込んで業務を型化すれば、私以外のスタッフでも実施できるはずです。

  • 例1:効果が出やすいデータ分析にはパターンがあるので、商品として販売する。
  • 例2:データ入力面で改善余地の多い「マーケ」や「営業」向けにツールを提供する。特に営業はコロナショックで戦い方が変わりつつあるので面白そう。
  • 例3:データパイプライン構築。海外にも売り込みたい。サンフランシスコに比べて安価な人件費でシステム構築。日本人スタッフにとっては世界で戦うための第一歩。
  • 例4:「マルチベンダー」x「システムリプレイス」x「テレワーク」でのプロジェクト推進支援。DXに伴うシステム移管でBefore/Afterのベンダーが異なるときに。

(4)書籍レーベルを作りたい: ヒット作品を連続して世に出せました。kindleだけで月に20万円近く稼げるときもあります。 「ニッチなテーマ」x「ケーススタディ集」x「オペレーションエクセレンス」は再現性のある勝ち方と言えそうです。 本格的にスケールできないか検討しています。 商品数を増やして、広告宣伝費を投下・回収できるようになると、商業レベルにP/Lを伸ばす余地はあると考えています。 「著名人の極論ではなく、同じ目線の現実的な話が読みたい!」といった読者に、実践的な知見を提供できるはずです。 「毎日ブログを書いてもアドセンスで月1,000円しか稼げない!」といったライター志望者に、活躍の機会を提供できるはずです。 なにより書籍出版には商品企画の楽しさが詰まっています。 こういう楽しいことを考えて毎日を過ごしたいです。

ということで、今後も楽しくやっていきたいと思います。 クリエイターや経営者として1つ上のステップを目指したいところです。

もし「うちを手伝ってほしい」「これが出来るならこの金額を払うよ」「こういう点でサポートできるよ」という方がいらしたら、ぜひお気軽にDMください。

3-3. おわりに

共著者・寄稿者を初めとして、スポンサーやレビュアーの皆様、各所で書籍を紹介してくださった皆様、 その他何らかの形でご協力いただいた皆様、この度は誠にありがとうございました。

(改善余地も多々ありますが)一定の成果をあげる事ができました。 「この本を読んでおけばOK」と言える本になったのではないかと自負しています。

ケーススタディについては陳腐化する内容もありますが、機会があれば改訂を重ねていきたいと思います。 このように思えるような本に仕上がったことを、心より嬉しく思います。

1人ではここまで作り込み、盛り上げることはできませんでした。 多くの方々のご協力があったからこそです。 至らない点も多々あったかと思いますが、ご対応いただけて本当に助かりました。

改めて皆様1人1人のご尽力に感謝を申し上げます。

データマネジメントが30分でわかる本

データマネジメントが30分でわかる本