下町柚子黄昏記 by @yuzutas0

したまち発・ゆずたそ作・試行錯誤の瓦礫の記録

『個人開発がやりたくなる本』を自費出版しました #技術書典

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ご挨拶

自称企画屋・コンセプトデザイナーの@yuzutas0です。

執筆者一同をはじめとして、 アンケートに回答してくださった皆様、各所で書籍を紹介してくださった皆様、 その他何らかの形でご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

さて、発売から間が空きましたが、 裏話をツイートしたところ反響をいただけたので、ブログに制作秘話をまとめます。 個人開発者や技術書典参加者のヒントになれば幸いです。

もくじ

1. はじめに

1-1. 免責・謝罪・注意・お願い

  • 紛らわしいタイミングでごめんなさい。 「次の技術書典の開催までに振り返り記事を公開する」と宣言した結果、こうなってしまいました。 技術書典7は 9/22 10:00 開始。この記事は 9/22 03:30 公開。 はい。約束を守る人材です。
  • 13人のメンバーで作った本です。 公式のアナウンスはCrieitのみで、それ以外は全て各個人による発信です。 この記事もあくまで私1人の視点での見え方です。 メンバーごとに異なる見え方があります。 興味のある方はぜひ他の著者にもコンタクトを取ってみてください。
  • TwitterやCrieitで既に投稿した内容の補完です。 興味のある方はぜひ各ソーシャルアカウントをフォローしていただけると嬉しいです。
  • メイキング・エピソードです。 書籍読了済みでないと理解できない記述が多々あります。 また、ディズニーやピクサージブリのスタジオがまさにそうだと思いますが、 心暖まる優しい作品を世に届ける者たちは、冷徹で血みどろの戦いを経ているものです。 予めご了承いただけると幸いです。 不快に思われたらブラウザバックをお願いします。
  • 突貫で書き上げました。 イラッとした箇所があれば、こっそりDMで指摘いただけると嬉しいです。 しれっと修正します。
  • 人はなぜ長文を書くのか。

1-2. 書籍概要

『個人開発がやりたくなる本 - クリエイター13人の実録エッセイ』 / 紹介ページ

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@mogya, @dala00, @nabettu, @hrz31, @macinjoke, @Meijin_garden, @rubys8arks, @tRaieZ1, @isbtty7, @ShiraAndroid, @morizyun, Tanem Apps との共著です。

初出典・サークル抽選落ち(委託販売)・1,500円(他より高い価格帯)という不利な状況ではありましたが、 応援してくださった方々のお陰で、販売部数は計1,000部を超えました!

自費出版は100〜200部でも上々と言われるので「個人開発」ジャンルの可能性を感じさせる結果でした。 『ハリー・ポッターと賢者の石』初版が自費出版で500部なので、倍の成果ということですね(?)。

ありがたいことに商業出版のお誘いもいただきました。 後述しますが、商業版はテイストと内容が変わるので、同好の士はぜひ同人版をお買い求めくださいませ。

1-3. この取り組みを始めた理由

私は個人開発で10のサービスを作ったあと、 1日でWebサービスを公開する隣の部屋の喘ぎ声が止むまでにサイトを作るなど、 アホな取り組みを細々とやっていました。 「もう一度きちんと挑戦したい」という気持ちは心の奥底にありました。

過去の経験からアイデア駆動では限界があると思い知った私は、様々な成功事例をリサーチしました。 他者の勝ちパターンを模倣・踏襲するのは戦いの王道です。 しかし、巷に溢れている正論・一般論は役に立ちません。 行動に必要なのは解像度の高い具体例です。 そこで「せっかくだから事例をまとめて本にしたら面白いのでは」と考えました。 その本を自分の手元に置いて何度でも読み返そう。 自分の血肉にして成功を掴み取ろう。 そう思いました。

「本」というインターフェイスに魅力を感じたのは3つの理由があります。

1:映像・ゲーム・執筆のような創作物に関心がありました。 IT・Web系の仕事が多かったので、新鮮な風を求めていました。 技術書典を偶然知って「これだ!」と思いました。 IT・Web系の知見・資産をコンテンツとして活かせるからです。

2:単純に人生で1冊くらい本を出してみたかったです。 過去に「Pythonによるデータ活用」本を執筆する話はありましたが、出版社と折り合いがつかず頓挫しました。 そこで思いました。 こうなったら自分で出版してしまおう! これこそが個人開発だ! 世に抗うクリエイターの姿だ! 自ら道を切り開く探求者の魂だ!

3:何かを売る経験を積みたいと考えました。 「作ること」と「広めること」と「稼ぐこと」は、必ずしも一致しません。 だからこそ私は、個人開発で10のサービスを作ったあと 「本気でやるなら、1人ではなくチームでやる。サービス開発ではなく事業開発をやる。」 と述べました。 自費出版は「需要を想定し、資源を仕入れ、製品を作り、販売する」訓練になるだろうと考えました。

ということで、マーケット観点から色々と検討しました。 様々な情報媒体がある中で「本」を効果的に売るにはどうしたらいいか。 「知見」ではなく「勇気」を売るべきだという結論に至りました。 そして、勇気を与えてくれる「挑戦者」を集めました。 アウトプットが減った私に対して「お前最近だらしねぇなぁ」と叱ってくれるような人たちです。

1-4. この世界のどこかにいるあなたへ

最初から言語化できていたわけではないのですが、内心の動機がもう1つあります。 この世界のどこかにいるあなたへ、私がデータの世界で見たもの・感じたことを届けたかったからです。 デジタルワールドでほんの少しだけ大人になった私からの贈り物です。

私自身が個人開発に挑戦できたのは、"Rails Tutorial""酒と泪とRubyとRailsと""Webサービスのつくり方" など、 多くの先輩方がコンテンツを提供してくださったからこそです。 私は個人開発をきっかけにして、メディア掲載や仕事の依頼など、 様々な方々から身に余る光栄・チャンスを与えていただきました。 先輩から受け継いだものを後輩へと受け継ぐように、 今回の取り組みを通して何か1つでも世にお返しできていればと思っています。

また、世の中は本当に広くて、自分が全然知らないところで様々な個人開発の取り組みがなされています。 なんかさ、個人開発者のSlackとか勉強会とか、めっちゃいっぱいあるじゃないですか。 ちょっと寂しいと感じたり、内心悔しいと思ったり、「私も混ぜてくれよ!」という気持ちになったり、 毎日のように「うわあああ」と心で叫んでいます。 単にコミュニティに所属したいとか、メンションを飛ばし合いたいとかではなくて、 たとえ直接の関わりがなくても、世の中にアウトプットや価値を提供することで、 間接的に彼ら・彼女らに届けば嬉しいな、という感じです。

2. 企画を描く

2-1. この本で実現したいコンセプト

本書の「はじめに」に書きました。 全ての意思決定はこの内容にもとづいています。 全ての意思決定をこの内容に連動させたことが、企画屋・コンセプトデザイナーとしてのこだわりポイントです。

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2-2. 体験観点「世界一周旅行のような1冊」

読書体験として「色々なものが詰まっている!」という贅沢感・ワクワク感を演出しました。 人気のエンターテイメントにはこの要素があると思っています。

  • 『フロリダ・ディズニーワールド』(全てのファンタジー世界を再現しようとした試み)
  • 大英博物館』(世界中のありとあらゆる遺物を収集しようとした試み)
  • 君の名は。』(都会デビューのシーンもあれば、古い地方の伝承や自然を扱うシーンもある)
  • 大乱闘スマッシュブラザーズ』(任天堂のキャラが集結する対戦ゲーム)
  • キングダムハーツ』(ディズニー作品の舞台を旅するアクションゲーム)

そのリアルな例が世界一周だと思っています。 写真とポエムを沢山載せればそれっぽくなるあの感じ! ウユニ塩湖の登場率! 個人的には結構好きなのです。

多くの人がこれらに惹かれるのは2つの理由があると思ってます。

1:「1つのコンテンツの量」と「満足度」の関係性です。 コンテンツ量がある程度多いほうが満足度は高くなります。 しかし、一定の量を超えると、だんだんと満足度は上がりにくくなります。 パスタを100食べるより、パスタ50とスープ50のほうが満足度が高くなります。 ミクロ経済学で「限界効用逓減の法則」と呼ばれます。 ゆえにエンターテイメントの勝ち筋は「つまみ食いできること」だと考えました。

2:分散投資と同じ理屈です。 1人の著者が書いた本に比べると、13人の原稿のほうがバリエーションがあるので、好みの内容が見つかりやすいはずです。 その1つが心に突き刺さるものであれば、買ってよかったと思ってもらえます。 また、フェーズや考え方が変わったときに「前はこっちが好きだったけど今はこっちがいいな」という体験も生まれます。 1つの株が落ちても他の株が上がれば儲かる。 長期投資の工夫と同じです。 寿命が長い1冊を作るために必要な考え方です。

世界一周旅行で様々な景色を楽しむように、多様な「個人開発」の面白さに触れる、心の旅。 読書とは著者との対話、著者の思索に触れる時間、著者の心の中に飛び込む体験です。 この "Dive to Hearts" を楽しめるような1冊にしたいと考えました。

2-3. 獲得観点「さっと手に取ってもらえる1冊」

無印良品のような「シンプルな本」「ベーシックな本」にしました。 このコンセプトは特に表紙とタイトルに影響を与えています。

表紙とタイトルを決めるだけでも1ヶ月くらいディスカッションしました。 かなり白熱して、後半はもはや喧嘩でした。 結果として、意思決定に繋がったクリティカル・クエスチョンは

多くの本と一緒に置かれたとき、その中から「さっと手に取ってもらえる1冊」と言えるか?

です。 Impressionを最優先に、だけど不快感を与えずに。 多数の本のなかで表紙を見てもらえるのは一瞬です。 そこでどう手に取ってもらえるか。

  • 本の表紙は鮮やかな黄色を押し出しています。 人の注意を引きつける警戒色で、かといって、鮮やかな赤ほど強すぎない程度の色です。
  • タイトルはシンプルにしました。 判断に時間が掛かると売れないだろうと考えました。 伝えるべき要素は最小文字数で詰め込めたと思っています。

他の個人開発者が本を出したときに備えて、最初は「合同誌ですよ」感のあるタイトルや表紙案でした。 もし隣で良さげな個人開発の本を売っていても「こっちは10人ですよ!」と言えば、まぁ見てはくれるんじゃないかなと。 特に類似本が出る気配はなかったので、メンバーに意見を募って、今の表紙・タイトルにしました。 複数人の事例集であることはサブタイトルで明記しています。

なお、最初はイラストを発注しようと思っていたのですが、結局止めました。 中途半端なイラストがあるとそっちに意識を向けてしまってメッセージが伝わりにくいからです。 コンセプトを踏まえた上で目的を満たすイラストをご提案いただけると理想なのですが そこまで優秀なイラストレーターは簡単には見つからないだろうと判断しました。

他にも、大量のレッドブルを積んだ表紙にして 「何が何でも個人開発リリースするんじゃい!」みたいな エッジの効いたメッセージを叩きつける案とか、色々ありました。

もし当選していたら、表紙の工夫がサークルチェック数に反映されて、もっと反響を得られたかもしれません。 どのくらいの数字になったか分からず終いなことが少し残念です。

2-4. 継続観点「クリエイターの手元に残してもらえる1冊」

本が簡単に消費されてしまう時代であることを念頭に置きました。 「本」という媒体について考えました。

というのも、ホテル暮らしに関心があって、身軽になろうと思い、 手持ちの本を全てPDFに自炊した直後だったからです。 そんな自分が「手元に置いておきたい」「何度も読み返したい」 「ページを捲りたい」と思える本とは何か?を考えました。 でなければ私自身が胸を張って紙媒体をセールスできません。

そして、手元に残すことの意味・必然性を以下のように定めました。

  • When:この本は「創作活動の合間の休憩時間で」読む本。
  • Where:この本は「部屋のベッドに寝転がって」読む本。
  • How:この本は「ペラペラとめくって好きなところを眺める」本。
  • Who:この本は「読者と同じ目線に立つ挑戦者たち」の本。
  • What:この本は「解像度の高い具体例が豊富に記されている」本。
  • Why:この本は「自分も負けないように頑張ろう!作業を再開しよう!と勇気をもらえる」本。

これが読者がこの本を手元に置く理由です。 紙の本を想定しましたが、タブレット電子書籍でも同じです。 もちろん強制するものではないので、読者が自然とそういう体験・思考になるように、 製品をデザインしていこうという決意のようなものです。

2-5. 市場観点(売上編)「プログラミング初心者の話題にしてもらえる1冊」

長期売上は「単価」x「購買人数」x「今後の伸び」に要素分解できます。

1: 単価設定(1,500円)はギリギリのラインだったと思います。 内容面を考慮すると「やや安い」〜「妥当」の値段設定ですが、 技術書典の同人誌やBOOTHの電子書籍は1,000円での販売が多いため、相対的にやや高い印象を与えます。 また、マーケットの大多数であるライト層の購買傾向として、 3,000円の飲み会は気軽に参加する一方で、 2,000円の専門書は割高だと捉えられがちのように思います。

なお、単価を伸ばすために「本や紹介サイトに企業広告を載せる」収益モデルも検討しました。 「個人開発の自費出版に広告を載せた企業」「クリエイターを応援する企業」として プレスリリースの題材になれば、単体での広告効果を超えた副次的なリターンを スポンサー企業に提供できるのではないかと考えました。 何社か打診してミーティングを行いましたが、結果としては上手くいきませんでした。

2: プログラミング初心者の層が厚いと考えました。 英語学習に近いものがあると思っています。 実際「個人でWEBサービスをリリースしました」系の記事は、よくバズっています。

『リーダブルコード』は5万部超えだそうですが、間違いなく5万人以上のプログラミング初心者が、 全然リーダブルじゃないコードを書きなぐって、WEBサービスやアプリを作ろうとしています。 だからこそ先輩方が『リーダブルコード』を読んでくれと言いたくなるのでしょうけど。

具体的には「Maxで10万人の規模感」で読みました。 複数のWEBサイト・botを運営する中で「リーチできる上限はそのくらいかな」という肌感覚での数値です。 1,000部の販売だと、マーケットポテンシャルの1%にリーチできた、ということになります。

3: 今後もプログラミング学習者は増加するはずです。 そして、特定の技術要素をテーマにした書籍に比べると「個人開発」は寿命が長いテーマ設定と言えます。 「WEBサービスをリリースしました」系の記事は、10年以上に渡って定期的にバズっています。 大事なことなので2回目です。需要のあるジャンルで媒体だけを変えたのがポイントです。

未来の読者からすると、多少古臭く感じる内容があるかもしれませんが、 むしろ「当時のアイデアを」「今の(デバイス|ツール|テクノロジー)にしたら」「xxxできるじゃん!」と 創作活動のヒントにしてもらえるかもしれません。だからこそのエッセイ集・事例集です。

2-6. 市場観点(費用編)「既存のコンテンツを爆速でキュレーションした1冊」

製造コストは「人件費単価」x「執筆・編集の投下時間」に要素分解できます。 ブログやQiitaの既存記事をベースにすれば、大幅にコストを削減して、高いROIを実現できます。 同じような内容であっても、本にまとまっていることで、独自の顧客価値が生まれると考えました。 そこで浮いたコスト・時間をセールスやマーケティングの施策に投下することで、 増収・増益のサイクルを回せるはずだと期待しました。

2-7. 市場観点(10x編)「プログラミング教室の副読本に選んでもらえる1冊」

マーケットポテンシャルの1%にリーチできた

本当は!こいつを!10%にしたかった!

技術書籍はToBで売れる(=研修教材に認定される)と生き残るのが定説だそうです。 ToBへのセールス施策が10x実現のキードライバーだと考えています。 色々なパターンを検討しましたが、マーケットサイズが最も大きいのは「プログラミング教室の副読本」でした。 「プログラミング初心者に売る」x「ToBで売る」を両方満たすならこれかなと。

私個人の体験を踏まえても「副読本」=「個人開発の事例集」は腹落ちしています。 新入社員の研修講師やメンターを担当するとき、個々の技術は既存の教材や本で教えることができますが、 「とりあえず試しに何か作ってみたら?」と言いたくて仕方がないのです。 ずっとチュートリアルをやっても、予定調和のサンプルが完成するだけで、 スキルの伸びも実感しにくく、面白くないのではないかと思ってしまいます。

仮に自分が初心者向けにプログラミング教室を開くなら「サービス開発・運営」をカリキュラムの軸にします。 目的の曖昧な勉強を続けるより、実践ありきのほうが楽しいです。 全体感を学べるので学習効率が良いです。 目に見えるアウトプットがあったほうがその後の就職も斡旋しやすいです。

と思ってはいたのですが「試しに何か作ってみたら?」と提案するときに 「この本を読むと良いよ」と言える1冊はこれまで存在しませんでした。 人によって好みやスタイルが違うので「この個人開発者がすごいよ」というメッセージは言いにくいです。 「この中から合う人が見つかるといいね」と言って手渡せる「複数人の合同誌」であってほしいのです。

ということで、実は「初期バージョンの表紙」では 「プログラミング教室やプログラミング学習サービスへの営業施策」(=ToBへの布石)として 「その会社のCEOにインタビューしてコンテンツに含めること」を提示していました。

2-8. オチ

高ROIの目論見は外れました。 めっちゃ頑張って書いて(高コスト)、マーケやセールス施策は打てず(低リターン)、真逆の結果になりましたとさ!

「せっかくなら書き下ろしを!」というメンバーの熱意はすごかったです。 まぁ、そりゃそう思いますよね。 「作ること」と「広めること」と「稼ぐこと」は、必ずしも一致しません。 今回集まったクリエイターは(他ならぬ私自身を含めて)特に「作る」ことが好きな人たちだったと解釈しています。 「より良いものを作りたい」と思っている人たちです。 そりゃコピペじゃ満足するわけがないですよね。

それはつまり、必ずしも高いROIの達成にこだわってきた人たちではない、ということでもあります。 しかし、だからこそ、私は「このメンバーが作るサービスは、ユーザーや仲間たちに愛されるんだな」と思いました。

そんなメンバーと一緒に作ったからこそ「自分も頑張ろう」と思える1冊にできたと思います。 同じようなクリエイター(を目指す人)の心に届く1冊になったのではないかと思っています。 少なくとも私は、この本を世界で一番多く読んでいる読者として、そう思っています。

それこそがこの本の提供価値です。 彼らのクリエイター精神だけは絶対に否定したくなかった。 そこを外したら、出来上がるのは、ただの紙クズでしかなかったでしょう。

これはマーケットの発想としても妥当だったと思っています。 メインで伸びているのは、あくまでプログラミング教室です。 デザイン教室やマーケティング教室やマネタイズ教室ではありません。 「作る」ことにこだわるクリエイターの本で、「作る」モチベーションに訴求したのは、間違っていないはずです。

なので、まぁ、なるべくしてこの結果になったのかなと思います。

でも、きっと何か工夫できる余地はあったはず、もっと高いROIを実現できたはず、とも思っています。 私が描く理想の私だったらもっと上手くやれたはずなんだぁぁぁぁああああ。うわあああああああああ。 人件費を考慮したら余裕で赤字なんですよ。私の完全敗北なんですよ。うううううううう。精進します。

3. 製品を作る

3-1. ジェットコースター構成 - 『君の名は。

近年におけるエンターテイメントの金字塔『君の名は。』の構成を参考にしています。 迷ったときには『君の名は。』の構成が持つ意味(=なぜこの順番で情報を提示したのか?)を考えました。 2つの例を紹介します。

1:導入部分。 本書の第1部では「個人開発」の代表的な流れを提示しています。 第1章は、初心者がサービスをリリースした振り返り。 ライトで読みやすいコンテンツです。 第2章は、解像度の高い開発譚。 具体的なエピソードを、細部まで生々しく描いています。

ここまで読んで「個人開発の一連の流れが分かる」「最低限の期待には応えている本だ」 「自分がサービスを作るときに読み返すと良さそうだ」という(ある種の)安心感を得られます。 その上で、第2部の「バズった話」が待っています。 多くの人がつい気になってしまうトピックです。 ここで一気に引き込みます。

君の名は。』の導入部も同じ仕組みだと私は解釈しています。 CMの雰囲気を追体験しながら、舞台背景を説明するところから始まります。 CMの視聴で観客の脳内に湧いた「こういう話なのだろうな」というイメージ(=期待)を最初に満足させる。 もやもやさせない。まずはすっきりさせる。その上で事件(=展開)へと引き込んでいく。

2:読み手のテンションが上下する構成。 「やる気が出る!」(エピソード)と「これ参考になる!」(ナレッジ)を交互に配置しました。 「面白い!読みやすい!」(ライト・エンジョイ)と 「すげぇな!たしかにな!」(シリアス・ガチ)を交互に配置しました。

同じフォーマットや似た内容が続くのではなく、変化に富むことで飽きさせない構成にしています。 静と動を繰り返すのは2000年代の人気アニメーション邦画『千と千尋の神隠し』も同じ構成だと解釈しています。 いわゆる『ハリウッド脚本術』に比べて、クライマックスの山谷が頻繁に訪れ、 視聴者の心理状態が頻繁に切り替わるデザインです。 IPT(時間あたりの情報凝縮量)が高くなるので、普段から大量の情報を捌いている現代人を飽きさせません。

なお、具体的な構成は全員の原稿を集めた後に決めました。 ある程度は脳内でも絵を描いていましたが、全員から構成案を募った上で、 議論を重ねて、現実的な落とし所を擦り合わせました。

アドリブを重視したのには理由があります。 内容(What)だけを事前に決めても、書き方(How)が分からないと、ジェットコースターにマッピングできません。 仮にテーマが重い章でも、細部の切り口や見せ方、言葉遣いが軽やかだと、読者はライトな印象を受けます。 かといって、書き方(How)を指定したところで、プロのライターでもない人間が、要件を満たすのは難しいでしょう。

構成ありきで執筆を依頼すると、かえってクオリティが下がるのではないか。 我々のような素人がお題やフォーマットに沿って文章を書いても、ただ項目が揃っているだけで、 たいして面白くないものができるのではないか。 もし構成が明確に決まっているなら、むしろ自分1人で書くか、 プロのライターを雇ったほうが、全体の整合性は取りやすいのではないか。 そう懸念しました。

逆に言うと、チームでやることの意味がここにあると思っています。 素材が良いのなら、素材をもとに料理を考えるほうが、美味しいものができます。 素材の味を楽しめます。 ゆえに、出たとこ勝負こそが、総合的にベストなのです。

3-2. 寄せ書き方式 - One for All, All for One

付録コンテンツ「141人の個人開発者へのアンケート結果」を無料公開しています。 このアンケートの最後の質問は「あなたにとって個人開発とは何か?」です。 そして、ネタバレになりますが、本書のラストは以下のように締めています。

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これは強烈な読後感を与えるための仕掛けです。 読み終えたときにSNSでつい一言呟きたくなる。 最後の最後で「あぁ、いい本だったな」と思っていただく。 そのための工夫です。

名作に相応しい結末は何か? 世界一周の旅の果てに見えるのはどんな景色か? ディズニーのような、魔法のような、最高の体験をどう提供するか? これらのクエスチョンに対するアンサーが、この寄せ書き方式です。

これは私が得意とするスタイルで、大規模カンファレンスの登壇スライドでは必ず「スタッフロール」を掲載します。 たとえどんなに僅かな貢献であったとしても、関わってくれた1人1人こそが、物語を織り成す大切な登場人物である。 スタッフロールにそう明記します。 名作には名作に相応しい終わり方があると、多くの観客は無意識のうちに思っています。 だから私は「これは名作ですよ」と伝えて、感動を生み出すのです。 また、名前が載った人を起点としてリファラルが生まれ、さらに周囲を巻き込みます。

一般的な「寄せ書き」も同様です。 「寄せ書き」には独特の魅力があります。 1つ1つは些細な短文であっても、10人分集まることで、確かな感動を生み出します。 繋がる心が力になるわけです。

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この「寄せ書き」もとい「個人開発者141人へのアンケート」ですが、 最高の読後感を演出するだけでなく、以下3つの背景もありました。

1:偏った内容にしないための工夫です。 この本では、著者13人の意見や事例が紹介されていますが、これでもだいぶ偏ったなと思いました。 本当はもっと色々な考え方や選択肢があるということを示したかったです。

私の原稿が最初に完成して、その原稿を他メンバーが執筆前に読んだことで、 他の原稿も影響を受けてしまったのではないか、と悩みました。 「参考原稿がないと書くに書けない」という意見が多かったため、やむを得なかったとは思います。 ただ、多様性というコンセプトからはズレてしまいました。 原稿を読んでいない方々が、先入観なしに、好き勝手に、アンケートに回答することが重要でした。

2:読者参加型コンテンツを1つ設けたいと考えました。 今は共創の時代です。 Webは双方向に影響を与え合うプラットフォームです。 この本はWebで活躍するクリエイターたちの本です。 ゆえにWebの双方向性を活かしたコンテンツを含めたいと考えました。

双方向だからこそマーケティング施策になりうるという側面もあります。 「自分のアンケート回答が掲載されている本」ならば拡散もしてもらいやすいだろうという期待はありました。 この本は、全員で作り上げ、全員で売っているのです。

3:他の個人開発者が書く本と明確に差別化する意図もあります。 実力のある個人開発者が本を書こうとすると 「すごいクリエイターが何かを教える本」になりがちだと感じています。 それはそれで価値のある本です。

ですが、1人の言葉では作り出せない感動もまた、たしかに存在します。 多くの仲間がいると実感できるからこそ、自分も頑張ろうと思えるはずです。 この本はそういった独自のポジションを張っています。 そのことを明確にするための施策です。

※なお、アンケートとは別の付録として 大手プログラミング教室の運営者に「個人開発が未来を作る」と語ってもらおうと思っていました。 10xを狙うには必要なコンテンツでした。 この案を含めて、私自身がもっとセールス・マーケティングにコミットしたかった…… のですが、プロジェクト炎上に伴って断念しました。

結果的には「挑戦している本人たちが書いたもの」だけが載って 「第三者の声」「ありがたい言葉」「偉そうな解説」が載らない本になったとも言えます。 これはこれで同人誌っぽくていいじゃないか。 コンセプトに準拠した本になったじゃないか。 今ではそう思っています。

3-3. 編集・推敲・校正 - この1文字はコンセプトに沿っているか?

一般論ではなく

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自分がどうだったか

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「はじめに」に書いたように「読んだ人がポジティブに頑張りたくなる本」を目指しました。 「一般論を語らない」「偉そうに解説しない」「ネガティブにしない」といった観点で編集しています。 コンセプトや全体の流れを踏まえて、かなり手を加えました。

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いくつか編集で意識したことを紹介します。

1:ポエムや一般論の比率は、多くとも20-30%を目安に抑えました。 「本を書くからには何か良いことを言わなければ」と肩に力が入ると、ポエムや一般論が多くなってしまいます。 私自身も@ITで記事を連載した時に、社内外の編集担当から同じ添削を受けました。 ついやってしまう気持ちは分かります。

赤の他人のポエムや一般論はSNS上に飽和しています。 だからこそリアルな体験談が求められているのではないでしょうか。 エピソードの合間にちょっとしたポエムや一般論が入るからこそ突き刺さるのであって、 主従が逆転するのはナンセンスです。

2:リスクは徹底的に削りました。 例えば、アンケート結果では「性別」(回答欄:男・女)をカットしています。 もしLGBT向けのサービスを作っている個人開発者がそのアンケート結果を見たら良い顔はしないでしょう。

男女比率のバランスがよかったら「がんばろう」と思うか? 男性が多くて女性が少なかったら「がんばろう」と思うか? 女性が多くて男性が少なかったら「がんばろう」と思うか? どんな結果を見たらどう行動が変わるか? その結果を見てモチベーションが下がる人はいないか? その結果を見ることにポジティブな意味があるか? クリエイターの背中を押す本として、最高のコンテンツを提供していると言えるか?

そう考えました。 同様の理由で「年齢」もカットしています。 こういったリスクは片っ端から消して 「誰が読んでもそれなりに心地よい読後感」 となるようにコンテンツを調整しました。

3:語尾(です・だ)や一人称(私・俺・自分)は各章で意図的に変えました。 「それぞれ違う人たちが好きに書いている」 「多様な選択肢から好きなものを選べる」ことを明確に伝えるためです。

  • 私自身の「HileSearch」パート:1人称「私」
  • TanemApps との居酒屋談義を私がテキストにしたパート:1人称「俺」
  • @isbtty7 との居酒屋談義を私がテキストにしたパート:1人称「自分」

ただし、1冊の本として最低限の一貫性は損なわないように、 私が読み直して不自然に感じた部分は手直ししています。

チーム内で原稿をプレビューしたところ、 ある人は「全体的には良い」「でもA章の書き方は気に食わない」 「B章がすごく好きなのでこっちに揃えられないか」と提案してくれました。 一方で、別の人は「全体的には良い」「A章が最高なのでこれに揃えたい」 「B章だけは絶対に違うと思う」という感想を寄せてくれました。 読み手によって刺さる書き方が違うわけです。

(絶妙なクオリティコントロールが必要ではありますが)「このスタイルは行ける」と確信しました。 少なくとも「全体的には良い」かつ「これは好き」と言えるパートがあるくらいには、1冊の本として仕上げたのですから。

その他、一般的な編集作業を行いました。

  • 無関係な内容。「趣味のボルダリングの写真です」 → カット。
  • セルフツッコミ。「だからなんだって話ですけど」 → カット。
  • 言い訳・予防線。「これは人によって好みもありますけど」 → 「自分はこうしました」に修正。
  • 修飾表現。「割とまぁこういうことって少ないとは言えないんじゃないかなぁと思います」 → 「多い」に修正。
  • 後出し。「こういうことが伝わってほしくてこの記事を書いています」(章の途中) → 冒頭に移植。
  • 権威に頼る。「xxxさんもこう言っています」 → カット。 xxxさんを紹介する記事なのか?自分の事例を紹介する記事であってくれ!
  • キャプチャ画像。画像を拡大して細かく確認しました。アカウント名や人物写真にはモザイクを掛けました。
  • 本文中の自己PR。扉ページ(自己紹介)に移しました。読者のメリットを考慮しないと逆効果になりかねない!
  • So What / Why。 「この段落やセンテンスは要するに何が言いたいのでしょう」と思ったところは、自分なりに解釈して文章を補完しました。 最終レビュー時に「俺が書いたときより分かりやすくなっている!笑」とコメントいただきました。
  • 言及しているサイトの規約確認。 特にQiitaの利用規約スクレイピング系に関しては、頭では分かっていても、 文章の書き方として、誤解を招きかねない表現になってしまいがちです。 各々の著者が良かれと思って書いた文章であっても、第三者的にチェックして修正しました。
  • 一時的・内輪向けの表現。「最近よく聞きますよね」 → カット。 未来の読者からすると「最近っていつの話?」となるでしょう。 著者と同じコミュニティに属していない読者からすると「聞かないけど」となるでしょう。 10年以上の経験を持つベテランからすると「それ昔から言われているけど」となるでしょう。 ツッコミどころがあると気になってしまう人もいるので、基本的にはカットです。
  • ネガティブワード。「こうしないとxxxみたいなダサいデザインになってしまいます」 → カット! この文章をxxxの担当者が見たらどう思うでしょうか? というかxxxの担当者は低リテラシーな利用者のためにあえてそうデザインしているのではないでしょうか? 当事者ではない素人からの批判は、当事者の事情・背景を組んでいないため、的外れになりやすいと思っています。 勝手に他人を評価しない!他人の評論ではなく、自分の個人開発について話す本であってほしい!

ということで、最終的には100回以上読み直して、1文字1句まで修正を繰り返しました。 また、印刷費を抑えるために、170ページの原稿を、文言調整だけで140ページに圧縮しました。

プロの編集者が見たら残念な出来栄えかもしれません。 しかし「読者を不快にさせない」「書籍のコンセプトを体現する」という目的はある程度達成したと思います。 文章が正しいだけの本にするつもりはありませんでした。 国語のテストではありませんからね。

にもかかわらず!表紙に!誤植があるというオチ!!

3-4. 印刷所への発注内容

実物のプロダクト(紙の本)を見た知人・友人達からは 「思ったよりしっかりしているやんけ!」「これめっちゃいいな!」と好評いただきました。

印刷・製本は日光企画さんにご対応いただきました。 初めての自費出版でしたので、御茶ノ水の店舗でレクチャーしていただきました。 ヨーロッパ横断旅行と入稿スケジュールがバッティングしたのですが、 その旨を店舗&別途メールでも相談したところ、丁寧にご対応いただき、 無事にオンラインで入稿できました。

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発注内容は以下です。

  • 【ご使用のセットまたは仕様】オンデマンド平トジ基本セット
  • 【ご使用のOSとソフト】MacOSX、その他(備考に記載)
  • 【サイズ】B5
  • 【表紙込みページ数】144(本文140 + 表紙4)
  • 【冊数】200
  • 【本のトジ方向】左
  • 【本のトジ種類】平トジ
  • 【表紙用紙】NPホワイト200kg(PP貼りの基本用紙)
  • 【表紙印刷】RGBオンデマンドフルカラー印刷
  • 【オプション】マットPP(1日本は不可)、4色オプションマットPP貼り変更(@5円)
  • 【本文用紙】上質90kg
  • 【本文印刷】オンデマンドスミ刷り
  • 【本文始まりページ(ノンブル)】1
  • 【遊び紙】無し
  • 【納品日(イベント開催日)】4/14
  • 【納品先】イベント名:技術書典6、開催会場:池袋サンシャインシティ2F 展示ホールD(文化会館ビル2F)
  • 【納品数】200
  • 【スペースNo/サークル名】スペースNo:か65、サークル名:ザ・シメサバズ(委託)
  • 【入金方法】銀行振り込み
  • 【事前予約や見積もりは取っていますか?】取っている(電話)
  • 【当社ご利用は初めてですか?】初めて
  • pixivプレミアム会員割引】プレミアム会員(ノベルティ有り)
  • 【備考】
    • <お願い> 初の利用となりますので、提出したファイルのフォーマットや登録事項など、これであっているのか自信がありません。 お手数ですがご確認いただくことは可能でしょうか。 問題があれば修正・対応いたしますので、お気軽にお申し付けください。
    • <連絡について> 現在xxxに滞在中で、xx/xxに帰国予定です。 誠に申し訳ありませんが、それまではメールでのやりとりをメインとさせていただけますか。
    • <使用ツール> Re:ViewでPDF出力。 一部KeynoteからPDF出力したページに差し替え。 ノンブルは調整済み。 サイズはおそらく一致しているはずですが、 ビューアーによっては表示が1pixel変わってしまうようで、よく分かっていません。 特に1pixelの表現にこだわるつもりはありませんので、印刷上問題がなければこれでお願いしたいです。
    • <事前予約や見積もり> 一度店頭で相談させていただいて見積もりをいただきました。 選択肢がなかったので、便宜上「取っている(電話)」でフォームを登録しています。 そのときの金額が、オンデマンドで基本xxx,xxx円 → 40%オフでxx,xxx円 → pixivの5%割引でxx,xxx円と伺いました。 表紙マット加工を希望するので200冊x5円=1,000円割増となり、 合計xx,xxx円をお支払いすることになる、と解釈しています。
    • <表紙印刷> 「RGBオンデマンドフルカラー印刷」のほうが色が綺麗だというブログ記事を見かけたので入力しました。 特にこだわりや知識があるわけではないので、表紙のデザインに適したオススメが他にあればご指導いただけると幸いです。
    • <マットPP> マットPP(1日本は不可)、4色オプションマットPP貼り変更(@5円) の両方を入力しました。 どちらの項目が該当するのか、これらの2つの項目がどう違うのか分かっていません。 表紙をマット加工すると手触りが良いですよ、というブログ記事を見かけたので、ぜひ希望したいと考えています。 もし他に適切な選択肢があれば、ご案内いただけると助かります。
    • <添付ファイル> PDFはフルカラーを添付しますが、本文は白黒印刷の想定です。
    • <ポストカード> 「ポストカード無料印刷サービス」を希望します。 「希望の用紙」はNPホワイト200でお願いします。 添付ファイル「xxx.eps」が該当のものとなります。

何点か手元のメモを以下に掲載します。

1:部数について。 200部は少なすぎたと思っています。 多めに発注したほうが絶対に良いです。 売り切れたあとの残念な感じは、なんというか、残念でした(語彙力)。 売れ残る分には各所で配布できます。 足りないと確実にチャンスを逃します。 せいぜい10万円前後のコストであれば、払っておいたほうが良かったと思っています。

2:締切スケジュールについて。 128ページ以上だと繰り上がります。 私の場合は3月23日18:00(オンデマンド印刷時)がデッドラインでした。 早い段階で確認して正解でした。

3:マットPP加工について。 「創作活動の合間の休憩時間にベッドで寝っ転がりながらペラペラとめくる本」なので 1冊5円なら頼むほうが良さそうだということで意思決定しました。

4:遠隔地にいる共著者への郵送について。 印刷所から直接送っていただけないか相談したところ、 かなり割高の郵送費を支払う必要があるとのことでした。 一度自分で受け取ってから別の業者に依頼しました。 ただ、手間を考えるとどっちもどっちだったかなと思います。

5:PDFデータの受け渡しについて。 頻出トラブルを伺ったところPDFファイルにフォントが含まれていないケースを挙げていただきました。 想定外の印刷結果になるそうです。 PDFで保存するときに、埋め込みサブセット(フォント)を確認しました。 また、 $ pdffonts {pdfファイル} で、emb結果が全てyesであることをテストしました。 pdffontコマンドについては この記事を参考にしました。

6:ダウンロードカードについて。 このカードをどうデザインすると顧客価値を最大化できるのか、もっとマジメに考えても良かったと思っています。 イベント会場では「せっかくの参加記念だから」「撮影してSNSに上げるから」 「本に比べると持ち帰りがラクだから」というモチベーションが買い手にありました。 問題は売れ残ったときで、紙媒体(物がある)や電子版(気軽に買える)と同じ値段で今後売るには、 「カードを持っていること自体に意味がある」デザインのほうが何かと好ましいなぁと思います。

以前「本の栞にしたくなる名刺」のプロトタイプをデザインしたことがあります。 スキャンして終わりではなく「手元に残して使いたくなる名刺とは何か?」と考えた結果です。 ただ、今回は「栞」作戦は使えません。 紙の本ではなくDLカードを買っているわけですから! 本を挟むための栞!栞を挟むための本!あべこべです。 IT系のクリエイターにとって「つい手元に残したくなる」カード・名刺サイズのものとは、何でしょうか。 私はまだ答えを得ていません。

7:印刷費について。以下は店頭でベース金額を比較したときのメモです。 合っているかは自信がありません。直接問い合わせたほうが確実です。

  • オフセット 9.9万円
    • 本文のみ40%割引
    • 上質90kg、すばる(白で優しめ)ニュークリーム(目に優しそう)で値段は同じ
    • 表紙・本文の20%割引が別にあってそちらのほうが締切が後なのに安い(=オンデマンドより僅かに高価)
  • オンデマンド 8.6万円
    • 表紙・本文の両方とも40%割引
    • 上質90kg、ニュークリーム
    • pixivプレミアムの5%割引で7.9万まで減らせる → これが最安値【採用】

ということで、10万円以下で本を出せてしまうわけです。 すごいですよね。

4. 顧客に売る

4-1. 販路確保

技術書典:抽選落ちでした! とはいえ、捨てる神あれば拾う神あり。 共著者の @nabettu さんが救いの手を差し伸べてくれました。

Booth:登録 → PDFアップロード → 販売! お手軽でした。これは最高ですね。革命ですね。 DLカード版はローカルでzipコマンドを打ってパスワード付きフォルダを生成しました。 なお、1つ致命的なミスがありまして、テスト用ドメインのまま出版してしまいました。 いつかBoothの機能追加でドメインを変更できるようになったら修正します。

Kindle Direct Publishing:登録 → PDFアップロード → 販売! 米国の納税関係(ですかね?)で登録項目が多かったです。 また、1,500円の本だと「手数料で7割を取られる」方式しか選択できません。 Apple税やGoogle税(3割)が可愛いくらいです。 流通面のメリット(Kindleで手軽に買える・読める)と天秤に掛けて 「Boothより高い値段で売る」方式で意思決定しました。

また、暗黒通信団に紹介いただく話も挙がりましたが、委託先サークルが見つかったこともあり 「とりあえずはイベントを楽しみましょう」ということで流れました。

4-2. メンバーによる宣伝・販売促進

正直なところ、私はプロダクト開発に手一杯で、マーケティング施策まで見ることができませんでした。 他メンバーの主体的な発信によるところが大きかったと思っています。

プロジェクト前半では @rubys8arks さんの尽力が大きかったと思っています。 技術書典の関連イベントへの参加や、ご自身のブログや各種Slackでの発信など、積極的に行動してくださいました。 特に141人のアンケート結果を得ることができたのは、間違いなく彼女のお陰でした。

プロジェクト後半では @mogya さん & @dala00 さん & @hrz31 さんの尽力が大きかったと思っています。 本書について言及しているツイートに片っ端からRT・Favを押していました。

身内の数人が反応するだけでも「なんか盛り上がっているっぽいぞ」感が溢れ出るわけです。 盛り上がっているので、Twitterで上位表示されやすくなります。ちょっとずるいでけどね。 特にオペレーション設計をしていたわけではなく、自発的にこうなりました。

@mogya さん & @dala00 さん & @hrz31 さんが愛情を持ってプロダクトと向き合ってくれたことが一番良かったと思っています。 そのポジティブな姿勢は、周りの人たちに伝わっているはずです。 そして少しでも「面白そうだ」と言及すると、3人のFavが確実に付きます。 「この本を応援するとポジティブな反応がもらえる」という報酬フィードバックをマーケットに叩き込みました。

余談:私はメルカリという会社がすごいと思っていて、あの会社の社員はSNSでこれを常日頃やっています。 そこに発信力がついてくるのだと思っています。

結論をまとめると、メンバーが積極的に楽しんでくれた → 「個人開発が好きな人たち」がSlackやTwitterで盛り上げてくれた。 これに尽きると思います。 つまるところ、一番楽しんでいる人が、一番強いのではないかと。

4-3. 最小限の集客施策(作業)

私がプロダクト開発の合間に、できる範囲で打った施策(作業)は以下です。

  • 13人のメンバーを集めたこと自体がマーケ施策の1つです。拡散力の確保のため、起案・推進しました。
  • 141人のアンケートを集めたこと自体がマーケ施策の1つです。拡散力の確保のため、起案・支援しました。
  • 案内ページや無料コンテンツを公開しました。
  • Togetterでの読者感想まとめを作成しました。Togetter公式に取り上げていただきました。
  • 過去に1度でも本書についてTwitterで言及した人に片っ端から「販売開始しました」リプを送りました。手動CRMです。
  • Twitterで「購入を迷っている」「どうなんだろう」と言及した人に片っ端から案内を送りました。手動CRMです。
  • 人気のハッシュタグや時節ネタ(新元号など)を交えたツイートで、繋がりのない人へのImpressionを発生させました。
  • 寝技:DMやSlackやオフラインで個別に話して回り、SNSやブログで感想を書いてもらいました。

余談:私が使っているエゴサの検索ワードは #個人開発がやりたくなる本 OR 個人開発がやりたくなる本 OR #IndieCoderJP OR https://booth.pm/ja/items/1313332 です。 ネガティブコメントでなければFav、なおかつ3以上のFavがついている場合はRTします。 反響の多いであろう時間帯にRTするとか、対象投稿が複数ある場合はフォロワーのツイートを優先するとか、 細かい運用ルールは多々ありますが、ぜひハックしてくださいませ。

4-4. 読者還元キャンペーン

ささやかではありますがキャンペーンを行いました。 本書の感想をブログに書くと1,000円分のAmazonギフト券を読者に還元する企画です。

この施策の意図は3つあります。 1つは後述するので、ここでは2つを説明します。

1:ハッシュタグを追ってくれたり、著者をフォローしてくれるような、 ロイヤリティの高いユーザーに対する感謝を示したかったからです。 私は私自身や私の企画を応援してくれる人に対して、 そうでない人よりお得な体験を提供したいと思っています。 ファン(あえてこの言い方をします)を尊重することは、 後のリファラルを生む、費用対効果の高い施策だと認識しています。

2:ブログ記事(ストック)は、有料広告(フロー)に比べて、確度の高い集客装置だからです。 1,500円の書籍は、LTVが最大で1,500円で、さらに手数料が差し引かれます。 打てる集客施策は限られます。 購入CPAが1,500円を超えたらアウトです。 逆に言うと、1,000円を払って、誰か1人でもコンバージョンしてくれるなら、施策としては投資分を回収できます。 また、良質なリンクが増えることで、SEO観点でも望ましいだろうと思いました。 いちおう最低限「1人の購入にも繋がらないような悪質な記事」は弾きたいので、そのための規約を設けました。

なお、応募フォームの認知率が低く「ブログを書いたのに応募していない」問題が起きました。 こちら今からでも対応しますので、心当たりのある方はぜひご連絡ください。

4-5. イベント会場での販売 - 「2秒・30秒」の法則

店頭セールスにおけるファネル&オペレーションは以下の通りです。 委託にも関わらずポスター(上記ツイート画像)のトップに本書を掲載いただけた前提があります。

1:ブースの前を人が流れます。 歩きながら、ちらっと、こちらの看板を見ます。 「看板を見てちょうど2秒の人」に声を掛けます。 その人物は顧客の候補です。 1秒だと早すぎます。 まだ看板を読み終わっていません。 「えっ」「突然話しかけられた」となります。 3秒だと遅すぎます。 もう看板は見終わって通り過ぎようとしています。 「あー」「すいません」となります。 2秒がベストです。

2:こちらに関心を持って、一瞬足が止まったら、 すかさず「よかったら見本の試し読みどうですか?」と声を掛けます。 2秒ルールだと中途半端な逡巡は発生しません。 断る人は即座に断ります。来る人は来ます。 ブースで試し読みをしていただきます。 WEBサービスだとLP流入に相当するフェーズです。 @nabettu さんの接客を隣で観察して模倣したのが、ここまでのオペレーションです。

3:試し読みから30秒で「いかがですか?」(=買いませんか?)と声を掛けます。 買うなら買う。買わないなら買わない。意思決定をしていただきます。 悩んでいたら「どういった点を気にされていますか?」と質問します。 明確なブロッカーがある場合はそこでQ&A対応をします。 それなりにこだわったプロダクトなので、自分でQ&Aをすると高確率で購入してもらえました。 明らかに想定読者でない場合は「いらないや」とすぐに決めてもらえます。

なお「明確なブロッカーはないけど購入を悩んでいる」場合は、いわゆる長考タイプだと思います。 長い時間を掛けて読んだ上で「ちょっと考えます」と結局離れてしまうことが多かったです。 その後しばらくしてから戻ってきて、買ってくださる方もいました。 本の内容や読む時間の量とは関係なく、本人が納得するために時間を必要としているようです。 接客空間と見本が占領されてしまうので、売り手には毀損が生じます。 早めにブースから離れていただき、また興味があったら戻ってきてもらうほうが、お互いに良いかなと思います。

売上 = ブースでの対応者数 x 購入率 x 単価 です。 今回の場合だと単価は固定で、ありがたいことに購入率は高い(=上げにくい)ため、 唯一伸ばせる変数は「ブースでの対応者数」でした。 つまり「いかに回転率を上げるか」のゲームです。 色々試した肌感覚だと30秒がベストかなと思います。

余談1:この経営指標は、SONYの「マネジメントゲーム研修」 (Softbankの孫さんが携帯ショップの立ち上げ・経営で愛用したツール)を体験したときに腹落ちしました。

余談2:他サークルのブースをお借りする立場だったので 「買います」と言ってくださった方には「良かったらこちらの本もどうですか?」 「Webサービスを開発するならVue.jsとFirebaseがオススメですよ!」と クロスセルで書籍をレコメンドして、 何件か受注に繋げました。

余談3:子供の頃に夏祭りで毎年かき氷を売っていたので、その時の感覚を思い出しながら接客しました。 人生は何事も経験ですね。

4-6. 実行できなかったマーケティング施策を供養します

ここに供養します。 未来の私が何らかの形でリベンジしてくれることを祈っています。

  • 既に品質が担保されたコンテンツの大量アグリゲーション。 ブログを拝見する → 「この記事は最高では!」 → URLを張って「これ寄稿していただけませんか」DM。 その延長で著名人のコンテンツを大量に突っ込む。

  • オウンドメディア。 「個人開発のやばいやつ10選」など切り口を変えた記事を毎週打ち出す。 「個人開発サイトがきっかけで就職できた」など切り口を変えたインタビューを毎週打ち出す。 メディア自体が単体でアクセスを稼ぐ(=プログラミング教室のオススメURLに認定される)状態にしてから 書籍にコンバージョンしてもらう。

  • プロモーションサイトに情報を小出しにする。 人気ゲームのサイトが「東京ゲームショウ2019で流したPV」を載せるようなイメージ。 勉強会や再販イベントなどでLTをして、書籍の情報を小出しにする。 「この手のイベントに行くと話が聞けるぞ」という状態にして、イベントに集客する。 イベント運営者の集客を手伝う。 何回も繰り返すうちに「このサークルはこういう感じだよね」という雰囲気を定着させる。 その上で満を持して売り出す。 事前にロイヤリティを高めてファンを囲った上で初速を出す。

  • プログラミング教室の講師や、プログラミング学習サービスの運営者にフィードバックを貰いながら、 ToBで大量発注できる製品へと磨き込む。ド本命の施策というかプロセス。

まぁこうして見ると筋の良い打ち手ばかりではありませんね。 アイデアから始めるのではなく、KPI構造から分解して施策に落とし込まないと、 担当者が疲れるだけで効果が出なさそうです。

ぶっちゃけると、信頼できるプロのマーケターにお金を払って助けてもらう。 これが最善手だと思っています。 私のような素人がいくら妄想だけで施策を打っても、ある程度以上を目指すのはちょっと無理があります。 余計なプライドは捨て、プロに弟子入りして、色々と盗ませてもらうのが、一番手っ取り早いだろうなと。

そりゃ私だって「マーケティング得意ですけど?」(キリッ)とか言いたいですけど、今回このザマだったからなぁ。 できなかったってことは、つまり、できなかったってことだからなぁ。ああああああああ。悲しみなのだが!

5. 収益を稼ぐ

5-1. 利益について / 自費出版(合同誌)の後始末

4月末時点の売上を希望者で山分けしました。 作業貢献度合いが大きい人・自腹での出費がある人には、多めに支払っています。

その後、当初想定よりロングテールで4月以降に儲けが出ました。 全員で山分けするには少なく、 次の共同プロジェクトの資本にするには少なく、 かといって私1人が取ると周囲に良い顔をされないであろう程度には多い。 絶妙な金額です。

そこで積極的に還元したいと考えています。 1つ目の施策は前述の読者還元キャンペーンです。 2つ目の施策は「寄付」です。

もともと「金で揉めるくらいなら全額寄付に回そう」と話していました。 リリース実績のある個人開発者の集まりです。 揉める暇があるなら、その時間で開発案件を1つ受注したほうが、 取り合う金額よりも明らかに多く稼げます。 案件を通して実績・信用・スキルも得られます。 次の案件を引き寄せる資産になります。 金で揉めるような相手・案件と関わり続けるより、遥かにお得です。 速やかに損切りしたほうがROIは高いでしょう。 何よりも、時間は不可逆なので、不毛な時間を費やすことは、お互いの人生に対して失礼だと思うわけです。 要するに揉めた時点で負けです。 だったら全額寄付したほうがまだマシです。

ところが問題がありまして、以下の条件を満たす寄付先が未だに見つかっていません。 心当たりのある方がいましたら、ぜひご紹介いただきたいです。

  • 社会性・コンセプトマッチ: この寄付を通して「日本のクリエイターの育成・活躍」に貢献したいです。 すぐに見つかるのは「女性向け」「学生向け」などのセグメントで区切られた団体・イベントですが、 本書のコンセプトから乖離するので対象外です。
  • 宣伝・コラボレーション: 一方的な振込で完結するのではなくコラボに繋げたいです。 結果として広告宣伝費に経費計上できる形が望ましいです。私の寄付控除が既に上限のため……。 『個人開発がやりたくなる本』執筆者一同、といった名前を掲載していただける寄付先を探しています。
  • 時期・タイミング: 継続的な枠であってほしいです。 "ハッカー協会 > Coinhive事件" は候補先でしたが、一瞬で埋まってしまいました。 悲しいことに13人と合意形成するには時間が掛かるのです。
  • 金額・プラン: 利益の範囲内であってほしいです。 "Let's Encrypt" は候補先でしたが、名前が掲載されるプランは、少々お値段が張りまして……。
  • 信頼性・リファラル: パブリックなプランが用意されていない場合、私が信頼している知人・友人の推薦があると、 お互いに安心できるのではないかと考えています。

うーむ。我ながら面倒臭い条件だなぁと思います。 だけど!!!!必要な条件を書き出したら!!!!こうなってしまうのだが!?!?

逆に言うと、将来もし自分が寄付を募る側になったときは、せめて寄付者の名前を掲載しようと思いました。

5-2. 経理について / 自費出版(合同誌)の仕訳処理

おそらくこれで問題ないとは思いますが、 もしお気付きの点があればご指摘いただけると幸いです。

  • 委託販売での売上(委託先サークル主である @nabettu さんと連携)
    • 現金払いの分 > イベント終了後に現金で受け取る
      • 借方:現金
      • 貸方:売上高
    • 現金払いの分 > 翌日に事業用口座へ入金
    • 後払い決済の分 > 金額確定後に請求書を出す
    • 後払い決済の分 > 請求書を元に振り込んでもらう
      • 借方:普通預金、振込手数料(お願いする立場なので手数料はこちらが負担)
      • 貸方:売掛金
  • Boothでの売上
    • 月末に販売数と金額が確定する
      • 借方:売掛金、販売手数料(BOOTHの取り分)
      • 貸方:売上高
    • 販売手数料はWEBコンソール「売上管理」>「アイテム別」で確認できるので証跡としてキャプチャを取る
    • 翌月下旬に口座に振り込まれる
    • 振込手数料は毎月のメールで確認できるので証跡として保存する
  • Kindleでの売上
    • 月末に販売数と金額が確定する
    • 翌々月末に口座に振り込まれる
    • 振込時期にコンソールの支払い情報が埋まるので証跡としてキャプチャを取る
  • 執筆者への山分け(源泉徴収対象外事業者)
    • Amazonギフト券での支払い(人数分処理する)
      • 「印刷前の原稿凍結時=最終納品」と判断(書籍奥付に記載)
        • 借方:支払報酬料
        • 貸方:買掛金
      • 事業用クレジットカードでAmazonギフト券を購入(謝礼である旨をメッセージに記載)
        • 借方:買掛金
        • 貸方:未払金
      • 翌月に事業用クレジットカードの銀行引き落とし
    • 口座への振り込み(人数分処理する)
      • 「印刷前の原稿凍結時=最終納品」と判断(書籍奥付に記載)
        • 借方:支払報酬料
        • 貸方:買掛金
      • Misocaで請求書を発行してもらう(証跡記録用)
      • 事業用口座から執筆者の指定口座に振り込む
        • 借方:買掛金、支払手数料
        • 貸方:普通預金
  • 執筆者同士で打ち上げ&今後の相談
    • 事業用クレジットカードで居酒屋の支払い
      • 借方:接待交際費
      • 貸方:未払金
    • 翌月に事業用クレジットカードの銀行引き落とし
  • 書籍の印刷・郵送
    • ローソンのプリンター for MVP
      • 借方:消耗品費
      • 貸方:事業主借(事業用の財布を持っていないため)
    • 割引用にPixivの有料登録(印刷終了後に解約)
      • 事業用クレジットカードで支払い
        • 借方:支払手数料
        • 貸方:未払金
      • 翌月に事業用クレジットカードの銀行引き落とし
    • 日光企画への銀行振込
      • 借方:印刷製本費、前払金(支払い後に「この割引も適用されるのでは?」→「ほんまや!」→「余剰金は次回繰越で!」)
      • 貸方:事業主借(諸事情で事業用口座のWEB振込機能が一時的に使えなかったので私用口座から振込)
    • 書籍の郵送
      • 借方:通信費
      • 貸方:事業主借(事業用の財布を持っていないため)
  • 読者還元キャンペーン(ブログで本書を紹介するとAmazonギフト券をプレゼント)
    • 事業用クレジットカードでAmazonギフト券を購入
      • 借方:広告宣伝費
      • 貸方:未払金
    • 翌月に事業用クレジットカードの銀行引き落とし
  • 在庫の管理(三分法を採用)
    • 製本時の原価を計上する
      • 借方:仕入
      • 貸方:支払報酬料、印刷製本費
    • 関係者への献本
      • 借方:広告宣伝費(=配布した本の冊数 * 印刷した冊数 / 製本時の仕入高)
      • 貸方:仕入高(=配布した本の冊数 * 印刷した冊数 / 製本時の仕入高)
    • 在庫と販売数記録が合わない
      • 借方:棚卸減耗費(=紛失した本の冊数 * 印刷した冊数 / 製本時の仕入高)
      • 貸方:商品(=紛失した本の冊数 * 印刷した冊数 / 製本時の仕入高)
    • 決算整理
      • 借方:期首商品棚卸高(=0)、商品(=残っている本の冊数 * 印刷した冊数 / 製本時の仕入高)
      • 貸方:商品(=0)、期末商品棚卸高(=残っている本の冊数 * 印刷した冊数 / 製本時の仕入高)

こうやって振り返って思うのですが、複式簿記は便利な道具ですよね。 正確に帳簿を付けさえすれば、正確に事業活動を可視化できる。 こういう仕訳の実例がもっと世に出ると良いなぁと思いました。

6. 仲間と歩む

6-1. チーム:採用(知見)

最初はSlackやTwitterで呼び掛けました。 「いまサービスを作っています」「これからサービスを作ろうとしています」という方はお断りしました。 リリース経験のない人は、本を書くよりも、まずリリースに専念してもらうのが一番だと考えたからです。

また、イベントでLTをしたり、交流会で声を掛けたりもしたのですが、 そういった場所ではポジティブな反応は得られませんでした。 「そんなの売れるんですか?」「そういう合同誌は失敗しやすいですよ」とか言われました。 ベテランの皆様は手厳しいですね。

各種SNSのDMで以前から知っている人に相談するのが、最もコンバージョンしました。 知人スカウトが効いた理由は2つあると思っています。

1:お互いを知っているのでワークしやすい。 既に信頼貯金があるので、関係構築の工程をスキップできました。 相手がどういうタイプか把握しているので、最短のコミュニケーションを取ることができました。 めちゃくちゃやりやすかったです。

2:相手に対する期待を明確にしやすい。 理由なしに声を掛けたのではなく 「自分は今こういうことに困っている」「あなたのこういう点をすごいと思っている」 「だからこういう点で力を貸してほしい」のフォーマットで相談しました。 この期待に答えてくださったと思っています。 この期待に答えてくださるような方々だと知っていたからこそ、相談したのです。

なお、人数面では、当初「10人の合同誌」を想定しました。 日常生活で10進数を扱うことが多い私たちにとっては、違和感なく受け入れられる数字です。 2桁なので「合同誌」であることを強調できます。

ただ、人数はコンセプトを投影できるポイントなので、最終的には「13人」という数字にしました。 不吉な数字。「1」と「自分」を除けば、何者にも割り切れない数字。 反骨心溢れるクリエイターたちに相応しい数字。 世に抗いながら生きる、闇の探求者たちの数字。 だけど、あくまでも「1」ではない。 このプロダクトのコンセプトにこれ以上なく適した数字だと思いませんか。

6-2. チーム:活躍(感謝)

各メンバーが、それぞれの得意なフェーズに、それぞれの得意な形で活躍していたなぁと思います。 私はひたすら「どうしよう」「つらい」「こうしたい」「うううう」しか言っていなかった気がします。

1 - 立ち上げ期:過去に一緒に仕事をしたことのあるメンバーに助けられました。 特に @macinjoke は迅速に原稿を書き上げてくれました。 その原稿がなければ、あっという間に私の心が折れていたでしょう。 自分以外の誰か1人でも共感してコントリビュートしてくれたというだけで心強いものです。

また、 @isbtty7Tanem Apps が 快く協力してくれました。 カルチャーが同じでお互いを良く知ってる人。スピード感がある人。 早い段階でコンテンツが集まったからこそ、スムーズに走り出せたと思います。 新しいことを始めるときは、アウトプットこそが正義です。 アウトプットが遅いと、アウトプットしないから経験値が少なく、 経験値が少ないから知見を持たず、知見を持たないから議論が的外れになる。 行動に繋がらない議論が続いてばかりだと、私にできるのは 「とりあえず原稿を書いてみましょうか^^」botになることだけです。

2 - 混乱期:「いやいやここは決めないとダメでしょ」で大議論になりました。 主に @tRaieZ1 さんがメインになって声を上げてくれました。 言いにくい中ではっきり言ってくれたのはありがたかったです。 タックマン・モデルにおける「混乱期」を突破しないと、チームは機能しません。 13人もいるのに混乱が起きなかったらそれこそ不自然です。 水面下で不満を言うか、テーブルの上でぶつかるか、2つに1つです。 ここで遠慮なく意見を言ってくださる人がいたことは、 チームの進化において意味があったと思います。

3 - 広報発信期:対外的な動きを活性化させたいが、手が回らないという状況でした。 @rubys8arks さんの推進力に助けられました。 私がプロダクト(書籍内容)のブラッシュアップ作業を人に振ることができず、 マーケティング・セールス・対外広報が何もできていないという危機感がありました。 当時の私の焦りっぷりは自分でもひどかったなぁと思っています。 そんな状況の中で、一歩踏み出して、ボールを拾ってもらえました。 本当にありがたかったです。 一方、ここで私が根本原因を解消できなかったことが、今回最大のミスでした。

4 - エンハンス期:着々とプロダクト改善を進めていただきました。 安定感のある方々、@ShiraAndroid さん、 @hrz31 さん、 @morizyun さんが、 コツコツと担当原稿をアップデートしてくれました。 毎週リリースの度に、3人のうち誰かしらが原稿を更新していました。 差分があるというのは大事なことで「あの人が頑張っているなら自分も頑張ろう」と勇気をもらえます。 そうした勇気を与え合えるからこそ、最後までやり抜けるのだと思っています。

5 - 炎上&追い上げ:経験豊富な10年選手たちが粘り強く付き合ってくれました。 @mogya さん、 @dala00 さん、 @nabettu さんがサポートに入ってくれました。 それぞれ広報・印刷・会場のタスクを進める傍らで、 私が呪いの言葉をSlackに吐きながら作業しているのを見ては 「うんうん」「わかるわかる」「そうだね」「がんばれ」「あとちょっと」とひたすら励ましてくれました。 ここは幼稚園かな?恩は忘れません。

上の原因ですが、マーケティング(広報)とプロダクト(本)にギャップが生じました。 対外的には「こうします!」と言っているけど「本の内容は全然違うじゃん!」という状態です。 いわゆる営業とエンジニアの対立みたいな感じですね。 それはそれで健全ではあります。 異なる視点がぶつかり合うからこそより良いものができるはずです。 が、最終意思決定者が存在しない合議制だったので、全てが泥沼になりました。

時間が経過して「もう猶予はありませんよ」という状態になったことを全体に伝えたあと、 本当は打ちたかったプロダクト施策&マーケティング施策の多くを諦めて、さまざまな調整を掛けました。 意識が朦朧としながらひたすら怒涛の50時間編集。 Crieitに軸足を置いて対外広報メッセージを軌道修正。 同時並行で印刷やイベント参加の手続きを進めました。

6 - 販売・打ち上げ:終わりよければ全て良し! @Meijin_garden さんが大活躍でした。 実は最初のキックオフでも盛り上げてくれていて、完全にイベント大臣のブランドを築き上げています。 当日は委託先サークルの @_hyme_ さんにもお世話になりました。

6-3. 利用したシステム・ツール

GitHub + md2review + ReVIEW: TechBoosterのリポジトリをCloneして、md2reviewで変換するスクリプトを追加しました。 マークダウンで原稿を書いて、GitHubで管理して、md2review → ReVIEW → PDFファイルを出力します。 ビルドについては私が突貫で作った仕組みがずっと動き続けることになりました。 @mogya さんがGitHubとSlackを連携してくださって、一気に盛り上がりました。 もっと色々とハックしたら楽しい執筆体験を実現できたのではないかとは思います。 TechLeadというかシステム整備担当を1人設けたほうが良かったかもしれません。

Keynote: 表紙・目次・各部の扉ページ・アンケートの見開きなど、 ReVIEWで表現できないレイアウトはKeynoteで作りました。

Adobe Photoshop: 印刷所への入稿に当たって利用しました。 @mogya さんが最後の仕上げで一役買ってくださいました。

Slack: フロー情報のやり取りに使いました。 課題ごとにチャンネルを作り、完了したらクローズしました。 @rubys8arks さんがスタンプを一括インポート → コミュニケーションを盛り上げてくれました。

Facebookメッセンジャー: Slackでの議論がカオスになりました。私の責任でもあります。 「今その議論をしても生産性ないからアウトプットを早く出そうよ」と思いながらも、上手く促せなかった。 で、後半に誘ったメンバーは議論に巻き込まないように、メッセンジャーで私が個別にやり取りしました。 改めて言語化すると、かなり evil だ。 正論で解決するならそりゃそれがベストだけれども!

Scrapbox: ストック情報の管理に使おうとしたのですが、残念ながらすぐに使わなくなりました。 私自身をはじめとして、メンバーは誰も使いこなせていませんでした。 「有名な人が良いって言ってたから」という理由で慣れないツールを使うのは本当に良くないですね。 ツール導入の基本です。 まずは自分が試しに小さく使う。 ワークする確信が持てたらチームに導入する。 このステップを踏んだかどうか確認してから承認する。 会社で当たり前にやっていたことを、なぜ私は自主活動だとできなかったのだろうか。 余計な問題が起きるくらいなら G Suite だけで良いのではないかと最近は思っています。

6-4. プロセス:アウトプット(初稿提出)を重視

執筆初心者向けに以下のように伝えています。 Slackからコピペします。

特に「ポエムやノウハウを書こうとして筆が進まず悩んでいる」という方がいたら、ぜひ参考にしてください。

・やったことを淡々と書くだけでもそれなりの内容になる
・感動する文章や役に立つ文章をがんばって書こうとしなくていい
・むしろケーススタディとして貴重な内容になる
・同じことを言っていても運営するサービスが違うとニュアンスも違ってくる
・だから具体的なサービスやエピソードがあると分かりやすいし、その人ならではの個性や魅力が出てくる
・こういうのがいっぱい集まるだけで本の価値になる
・だからブログやQiitaのコピペで何も問題ない
・「がんばって書くこと」(手段)じゃなくて「良い本を作ること」(目的)にフォーカスしたら、ラクな方法はいくらでもある

こういったことに気付けると、筆が進みやすくなるのかなと思います。

書籍の奥付に記載した「Joined」は(一部の例外を除き)参加表明日ではなく初稿納品日にしています。 この手の自主活動ではフェードアウトする人がいるので、宣言ではなく成果物だけを「正」としました。 途中からは「初稿提出済みメンバー」で相談事項を会話して 「未提出者」には「まずは初稿執筆に専念してください」と案内しました。

というのも、最初に議論するだけ議論して、ルールを決めた張本人が真っ先に消えて、 どうでもいいルールだけが残る、といった悲劇を懸念したからです。 関係者全員が疲弊するだけで、アウトプットがゼロだと最悪です。 「成長だけが痛みを癒やす」とはグロースハックの根本原則です。 グロースハックに携わる個人開発者なら、グロースにコミットする存在であってほしいと願っています。

アウトプットに貢献するのは、予防線を張ることにエネルギーを費やす人間ではなく、 アウトプットの創出にエネルギーを費やす人間だと思っています。 ゆえにアウトプットを重視しました。

「議論はもういいから早くアウトプットを出そうぜ!」と、 あの手この手で伝えようとし続けた、私のSlack発言集をご覧ください。

いただいたアドバイス: 製本とか販売はどうとでもなるから、執筆に意識を傾けよう。 とにかく書き出そう。まずはアウトラインを書いてみたらどうか。書き出してみると発見がある。 他にも細かい話は色々とありましたが、ざっくりこんな感じでした。

書きづらい人は、ブログやQiitaの内容をベースにしたら良いのでは?

xxxやxxxの編集者の方と話すと 「多めに書く分には後からカットや編集しやすいけど、 少ないものを付け足すのは大変なので、 執筆者は変に体裁や文字数を意識せずどんどん書いてくれるのが一番助かる」 というのは皆さん口を揃えて仰っていました! 執筆の王道パターンだそうです! 個人開発で言うところの「環境構築に時間を掛けてリリースできない」 みたいな状態になるのがモチベーション的にも一番辛いので、まずは中身を埋めたいっす!

20分の突貫工事ですがPDFを出力してみました!ドヤ!

書き出しやネタが思いつかない人:ターゲットやメッセージを考えてみる。ブレスト的にここで会話する。 既に思いついている人:書き出してみる。他の人の意見は参考にしつつも、無理に引きずられなくても良い。 という形で、まずは走り出してはいかがでしょうか?

『はじめての技術書ライティング』という本だと「です・ます」を推奨していますね。 ですが、まずは書きやすい形で20点版を書き出す → 本に反映してみる → 推敲を重ねていく (そこで文体や記号の使い方などチェックする / 他の原稿と合わせたときの違和感などを確認する) で良いかと思います!

とりあえずコンビニで印刷してみました!本だー!

みなさま、形だけでも埋めたいのですが(目次欄の雰囲気を出すためにも)、 Qiitaやブログのコピペをマークダウン形式でいただくことって可能でしょうか??? 「本を書くぞ!」「執筆するぞ!」って考えると、作業着手のハードルが上がって辛いだけなので、 むしろぜひ「作業時間5分のコピペ集」をバージョン1にしたいです!

ブログやQiitaのコピペを中心に、低コストで作成したかったですね。 仮にWordPressmarkdownに変えるのに手間取ったとしても、 1週間あれば全員の原稿が集まるだろうと思っていました。 後工程でやりたいセールス・マーケティング施策が山程あったので、初稿をいかに早く集めるかが鍵でしたね。 中途半端に遠慮して遠回しな伝え方をしたのはミスでしたね。 うぐぐぐぐぐぐぐ。

6-5. プロセス:ブラッシュアップ(改善)を重視

CanaryReleaseで!かなりリリース!(ドッ

『文章を整える技術』『超スピード文章術』を読んで思いました。 文章は「書き上げて終わり」ではなく推敲あってこそです。 プロダクト開発と同じです。 リリース後が本番です。 磨き込みにこそ価値があります。 せめてサイトを運営する個人開発者には分かってもらいたかった!!!

毎週PDFをアップデートしてメンバーに配りました。 いわゆるCanaly Release(カナリアリリース)です。 身内やチームメイトにPDFを読んでもらって、著者本人が何度もPDFを読み直して、 気になったところを手直しする、という座組みです。 書籍を販売して、あとで読み直してから「あそこを直せば良かった」みたいなことを言いたくなかったです。 私は100回以上読みました。 にもかかわらずTypoがあった!!!

少なくとも納期ギリギリに提出するような進め方だけは回避したかったです。 回避したかったです……。 百害あって一利なし。 お手本として自分の原稿は初日に仕上げました。 これで勢いをつけたかった。 そこから全員の原稿が出揃うまで4ヶ月。 初稿から全面的に書き直された第二稿が、最後の最後で突然提出される。 Canary Release の意味とは。 「素早く出そう」って個人開発では散々言うとるやないですか……。

くぅ〜〜〜。難しい。一筋縄じゃいかないものですね。 逆に言うと、ここを上手く仕組み化できれば、今後の複数人プロジェクトでは、 可能性が一気に広がるということ!!!

(と言いつつ、私も人のことを言えませんけどね。 商業版の編集が!遅延しまくりんこ! 頭ではね!分かっているんですけどね!)

6-6. チーム:運営(反省)

チーム運営はお世辞にも上手くいったとは言えません。 お恥ずかしい話ではありますが、少々強引な手を使って、無理やり話を前に進める場面もありました。 私の至らなさだと反省しています。

1:そもそも13人もいると合意形成が極めて困難でした。

「こういうポリシーで進めます」「こういう哲学を大切にします」というマニフェストを最初に作るべきでした。 ただ、「そのポリシーや哲学やロードマップを13人で合意する」(=大変)という循環参照が生じないように、 最初は私の仕事の進め方を知っている人と一緒に草案を作って、共感してくれる人だけを歓迎する。 その方が余計な擦り合わせをしなくて済むのではないかと思います。

また、最終的な意思決定者については握るべきでした。 ハード(決まり)がなくても、自分のソフトパワー(影響力の行使)だけで、上手くやれる自信がありました。 一応無事に終わりましたが、かなり無駄な時間とエネルギーの使い方をしたと思っています。 意思決定者が明確なだけで多くの問題を回避できたはずでした。

2:メンバー1人に1ロール以上をお願いするのは無理がありました。

「原稿を書く人」「編集する人」「対外広報する人」「進行管理する人」など、 明確にロールを分けたほうが良かったと思っています。

でなければ、1冊の本を仕上げるだけでも、難易度はそこそこ高くなります。 ただでさえ仕事の合間に貴重な時間を確保してもらっているのに、 あれもこれもと全員を議論に巻き込んで、1ロール以上を押し付けてしまいました。 いつまでたっても各自の担当原稿が進まないのは当然のことでした。

「むしろこの状況で投げ出さずに良く書き上げてくれたよなぁ」と、 今になって、改めて、感謝の気持ちが湧いてきました。

ロール分割はマーケティング・セールス施策の改善にも繋がるでしょう。 エグゼキューション面での敗因は「プロダクト側のタスクを自分が抱えてしまった」からだと思っています。 例えば「プロダクトのリード1人」「マーケティングのリード1人」を立て、私が全体を見たら、 もう少し上手く動けたのではないかなとか妄想しています。

でもなぁ〜〜〜、こういうの、振り返りで「こうすべきだった」と言うのは簡単なんだけど、 じゃあ実際にやるとしたら、誰に何をどうお願いしたらワークするんじゃい!ってのはありますね。

7. 自分を導く

7-1. 最初こそモメンタム(勢い)を重視

本を作ろうと決めて、即座に自分の原稿を書き上げて、ローソンで印刷した「MVP」がこちらです。

見てくださいよ。この手作り感。このスタートアップ感。最高じゃないですか。 このMVPを持ち歩きながら企画について何人か壁打ちをさせてもらいました。

「実際に手に取れるもの」「実際に見えるプロダクト」があると、論点がシャープになります。 空想ベースで筋の悪い議論を進めるよりも生産性が高いと思っています。

7-2. Googleカレンダーで「作業時間」と「場所」を確保

モチベーションに身を委ねていては(私の場合)なかなか進捗が出ません。 未来の自分が「モチベーションが上がらなかったのでxxxできませんでした」と言い訳する姿を想像すると 「気持ちは分かるがお前の人生それで本当に良いのか」と言いたくなります。

なので「いつ」「どこで」「何をするのか」を決めるように心掛けています。 私の場合、作業が前に進まないとしたら、最大の理由は「着手していないから」です。 着手さえすれば何かしら前進するはずです。

『天才たちの日課』『なぜあなたの論文は進まないのか』にも似たことが書かれています。 執筆を生業にする人たちは、一気に書き上げるように思われがちです。 しかし、実際は違っていて、毎日コツコツと書くのが有効だそうです。 特別な理由がないのなら、プロのやり方・デファクトスタンダードを模倣するのが、妥当だと思います。

7-3. 最後は自分で帳尻を合わせる

50時間以上を費やして、怒涛の原稿編集を行いました。 発狂するかと思いました。 というか発狂しました。 最後はだいぶ荒れていた気がします。 反省しています。 まぁ、その甲斐あって、最低限のクオリティは担保できたと思うので、勘弁してください。

合同誌に限らず、最後に帳尻を合わせられる人がいるかどうかで、 共同プロジェクトの完成度は変わるだろうと思います。 辛いのは分かっているけど、そこで文句を言いながらでも、躊躇せずに貧乏くじを引く。 私の思う「強い現場」というのは、そういう人たちのことです。

もともと、これができる自信と実績があったからこそ、合同誌で行こうと決めました。 PyConJP(ベストトークアワード受賞)の資料は一週間前に白紙に戻してそこから150ページを作ったので。 翌年のデブサミ(ベストスピーカー受賞)の資料は前日で一気に白紙から280ページまでまとめ上げたので。

ただ、こういうのは、できることなら、もう二度とやりたくない、とは思います。 プロフェッショナルなチームで安定して高いパフォーマンスを出したいですね。 そういうチームが自然と形成されるような進め方・促し方を、私自身が身に付けていきたいですね。

終わりに

商業版について

ありがたいことに、出版社から刊行の話をいただいています。

  • 商業版のタイトルは変更する予定です。 本の表紙を見た人が思わずニヤッとしてくれると嬉しいなぁと思っています。
  • 同人版そのままではなく別バージョンにする予定です。 レイトマジョリティ向けで、商業版のほうが全体的にリッチな内容になります。
  • 現在発売中の本は、良くも悪くも同人誌です。 筆者と読者が同じ目線に立って、お互いに語り合うための本です。 「クリエイターを鼓舞する本」だと認識しています。 アーリーアダプター向けです。
  • 両者の内容は8割方は同じですが「同人版でしか読めないコンテンツ」と 「商業版でしか読めないコンテンツ」を設けます。 ポケモンの赤と緑のようなものです。 商業版を買った人の一部が「同人版も買おうかな」と思うようなフックは仕掛けたいと思っています。 思ってはいますが、仕掛けられないかもしれません。

何が言いたいかというと、このブログの読者に関しては、商業版を待つくらいなら、ぜひ同人版を買ってください。 そして、できれば商業版も買って、二度楽しんでください!笑

商業版の出版時期は未定です。 Twitterで告知しますので、興味のある方はぜひフォローよろしくお願いします。

もし話が白紙に戻ったとしたら、それは私の作業が遅すぎたせいだと思ってください。 私の負担を軽くしてくれるような素敵なビジネスパートナーたちに出会いたいなぁと願いながら、 私は今日も元気に生きています。

成功だったか?失敗だったか?

成功でした。最高の1冊になったと思っています。 この企画を否定した人たち ―― 分かっていないやつら ―― を、 知恵と工夫で出し抜いたのは、企画屋冥利に尽きるというものです。 世の反逆者というか、闇の探求者というか、こういうのは「個人開発」っぽくて好きです。

そして、失敗でした。私の心の中は敗北感と焦燥感だらけです。 1冊の形にまとめるだけで手一杯でした。 広義の企画力を伸ばしたいと思いました。 この記事を読み返すとプロダクトデザインばかりに目が向いています。 最初の狙いに比べると、数ヶ月掛かって(=高コスト)、10xを逃した(=低リターン)という失態。 もっと上手くやれたはずでした。

正直なところ、マーケティング(特に「勝ち筋を模索する分析業務」と「高速にPDSサイクルを回す業務」)を やらせてもらえる会社があれば、今すぐにでもジョインしたいくらいです。

また、もっとクリエイターとして挑戦したいと思いました。 編集の過程で、この本を100回以上読み返して、他ならぬ私自身が一番背中を押されました。 私のやりたいことリストには1,000個以上のアイデアがあります。 この本の出版でようやく1つを達成しました。 まだまだ実現したい企画だらけです。

Reconnected ...

プロジェクトが炎上して大変でした。 良くも悪くも自分は「1つの会社での働き方」が染み付いていて、 外でやるとこんなにも違うのかと痛感しました。 これはまずいぞ。 個人で活躍していきたいなら、さっさと外に出たほうがいいぞ。 そう思いました。

そして、それ以上に、めちゃくちゃ楽しかったんですね。 他の執筆者と交流したり、彼らの原稿を読んだり、 ディスカッションしたり、自分の企画が人を動かしたり、 描いたアイデアが形になっていったり。 こんな楽しいことを思い出してしまったら、もう止められないですよね。 「もっとチャレンジしたい」「自分の企画を次々と世に出したい」という欲望が溢れてきました。

リクルートを退職しました

今まで長いことお世話になりました! リクルートグループを退職しました! これからもよろしくお願い致します!

はじめに

自己紹介

ITmedia著者紹介欄から引用します。

リクルートテクノロジーズ プロダクトエンジニアリング部所属

途上国から限界集落まで各地放浪、ベンチャーキャピタルから投資を受けての起業や会社経営、リクルートグループ会社における複数の新規事業の立ち上げを経て、現職。

現在は急成長プロダクトを対象に、システムアーキテクチャの再構築やエンジニアチームの立ち上げ、立て直しに従事。

他エントリーTwitterもご覧くださいませ。

誰に何を伝えたいか

  • 私を知っている人たち、これまで私がお世話になった人たちに「懐かしいですね!」「色々やってきましたね!」「新しいことをやるんですね!」と思ってほしいです。
  • これから私を知る人たち、これから私がお世話になる人たちに「こういうことに興味があるのですね!」「新しい企画を実現しようとする人なのですね!」と思ってほしいです。
  • あわよくば「これから応援しますよ!」と思ってほしいです。

注意事項

  • 情報提供や企業解説を目的とするエントリーではありません。ひたすら自分語りが続きます。約27,000文字で、ずっと自分語りです。
  • ヨーロッパを横断しながら雰囲気で書いています。雰囲気で読んでください。旅をしながらブログを書いてるのに、ポエミーにならなかったら、それはそれでイヤじゃないですか。
  • 執筆時点での心境になります。時間が立てば志向・思考・嗜好は変わります。来年には真逆のことを言っているかもしれません。そういうものだと思ってください。
  • 私にとって都合の良い形で記憶が改竄されているかもしれません。無意識でアレオレ詐欺をしているかもしれません。大目に見てください。
  • お世話になった方々のうちTwitterで相互フォローしている公開アカウントについてはリンクを張っています。「追加してくれ!」「消してくれ!」ご要望はDMください。
  • 本エントリーの内容は個人的な見解であり、当時の所属組織を代表するものではありません。もし誤りや考慮不足だと感じる点があれば、それは全て私個人の力不足によるものですので、どうぞ私個人当てにご指摘のコメントをいただけると幸いです。

もくじ

やったこと(概略)

大企業で経験したかったことは一通りやらせてもらえたと思っています。

  • 【所属】持株会社1社、事業会社3社(人材領域2社・販促領域1社)、機能会社1社。
  • 【領域】主要メディア(HR系)、マッチングサービス、クライアント業務支援SaaS、営業支援ツール、社内基盤など。
  • 【業務 /ライン】UIデザイン、開発ディレクション、デジタルマーケティング、プロジェクトマネジメント、ソフトウェアエンジニアリング、カスタマーサポート、データ分析など。
  • 【業務 /スタッフ】ヒト(採用・配員・育成・評価)、モノ(調達/購買・資材管理・導入推進・除却)、カネ(予算調達・費消管理)、情報(社内Wiki運営・会議体設計・勉強会運営・広報)など。
  • 【フェーズ /事業】 0→1の新規事業、1→10の土台整備、10→100のグロース、100+の磨き込み・再成長。
  • 【フェーズ /組織】部署・チームの立ち上げ・立て直し・方向転換・安定化・拡大・縮小・統廃合。特にお世話になった機能会社では、社員が150人→1000人まで急増する場面に立ち会うことができた。
  • 【規模】1人夜なべプロジェクトから、100人体制の大規模案件まで。
  • 【立ち位置】誰にも認められない野良活動から、役員お抱えの最重要案件リードまで。

社外公開している案件については、いくつか後述します。


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入社の経緯

当時のリクルートの「IT化を進めよう」という風潮のもとでジョインしました。 入社を決めたのは(ズルズルと入社してしまったのは)、以下の理由があったからです。

入社理由①: ITの可能性にワクワクした

月並みな言葉ですが「IT」というものに興味がありました。

  • 子供の頃にゲームを作っていた。
    • クソゲー量産屋だった。新しい遊びを考案してクラスに広めるのが好きで、その延長上でゲーム開発にのめり込んだ。
    • 当時はデジモンロックマンエグゼサマーウォーズというコンテンツがあった。あの世界観が好きだった。「子供の頃に熱中したライトなSF」は「IT」と確かに結びついていた。
  • 大学時代にはITが生活の一部になっていた。
    • Financeの研究で統計ソフト(のつもりだったが実際はコードを書かないといけないツール)に慣れ親しんだ。機械が計算を肩代わりしてくれるのは最高だった。
    • 国際環境NGOでデジタルマーケティング施策を何年か担当した。途上国の水問題に関心があったのでやりがいを感じていた。
    • 量産したツールやサイトでお金を稼いでいた。これで生活できていたので、実は就職する必要はなかった。というかあれがなければ生活できていなかった。
    • 勘違い大学生だったのでSNSにクソポエムというか怪文書を垂れ流して炎上しまくっていた。あれはあれで今思うと楽しかった。
  • 心を揺さぶるような体験があった。
    • 東日本大震災(3・11)のときに募金情報まとめサイトを世界最速で公開した。Livedoorブログにテキストで列挙しただけだったが、多くの人から「募金したよ」「自分にできることはないか探していた」「少しでも誰かの役に立てるなら」といった言葉をいただいた。trippiece創業者の石田さんと一緒に国際協力メーリングリストを運営していたご縁で広く認知いただけたと記憶している。
    • Finance(研究)とNGO(仕事)を掛け合わせて、分散ポートフォリオ型の寄付システムを考案した。トレンドマイクロ社主催の国際コンペで世界500チーム中3位相当賞を受賞した。世界に通用する価値を自分の手で生み出せるかもしれない。そう思うと胸が熱くなった。ちなみにセキスペ最年少合格の矢倉さんが同賞受賞。
    • グラミン銀行と連携して、都内の小学校とバングラデュの農村部をSkypeで繋ぐ「国際交流」特別授業を実施した。当時は小学校の英語必修化に伴って「国際教育とは何か」が社会的関心の的になっていた。大人が描いた机上の空論や教育マニュアルで子供を振り回すのではなく、実際に子供が国際交流を体験できる機会を提供したかった。笑顔は世界の共通語と言うけれど、インターネットを通して、画面のこっちと向こうとで、子供達の笑顔が国境を超えた瞬間を目の当たりにした。バングラ側はe-educationの税所さんが取り持ってくださった。
    • 名古屋の友人からSkypeで「東京に遊びに行くから面白い人をアテンドしてくれ」と言われ、即席でイベントを立案した。1週間で関東・東海・関西の学生を50人くらい集めて、フリーペーパー見本市を開催した。とにかくスピード感があって、次々と人を巻き込んでいくのが刺激的だった。当時はmixi全盛期でコミュニティと日記をハックしてこうしたイベントを企画しまくっていた。ちょうどUstreamが話題だった時期で、ABEJAの岡田さんが映像配信を担当してくださった。

特に最後の4つは、いずれも0から自分で企画・提案して、実現まで漕ぎ着けたものでした。 期待してくれる人たち、喜んでくれる人たちの声が嬉しかったのを今でも覚えています。 自分の描く未来を実現できる。 そんなITの可能性にワクワクしました。

そして「リクルートなら何かできるのではないか」と思いました。 転職・旅行・飲食・美容・住居・教育・結婚など、人々の生活に密着するビジネスでITを活用する。 新しい体験。新しい価値提供。新しい可能性。 世界中の人々が抱える不を解消して、現実を理想へと近付けていく。 理想郷へと向かう旅。 色々な企画を考えて次々に実現していけると思うと、めちゃくちゃワクワクしました。

入社理由②: 武者修行したかった

もう1つの理由がこれです。武者修行の場を求めていました。

VCから出資を受けて、自分で会社を経営したのですが、アンチパターンをことごとく踏み抜きました。 出資者のアドバイスは的確だったのに、当時の私は意図を理解できず、歩み寄ることもできず、せっかくの機会を活かせませんでした。 後から『スタートアップ・マニュアル』や『リーンスタートアップ』を読んで「このことを言っていたのか」「全然できていなかった」と反省しました。 最終的には、会社を引き継ぎたいと仰ってくださる方に、株式を譲渡することになりました。

自分がイヤになりました。とにかく場数を踏んで修行したいと考えました。 私は器用なタイプではないので、実際に経験しないと何も理解できないし、行動に繋げられない。 小さい子供が公園で遊びながら急成長するように、新規事業を立ち上げまくって、ありとあらゆる業務を試行錯誤しまくる。 そういう時間が自分には必要だと考えました。

そんなときに新聞記事を見かけました。 リクルートは「IT x 新規事業」を次々と打ち出す方針である。 多産多死は覚悟の上だ。 そういったメッセージがなされていました。 「まさに自分が求めている環境だ!」と思いました。

記事に目が行ったのは、もともとリクルートに興味を持っていたからです。 当時知り合いだった経営者の何人かはリクルート出身で、入社を勧められたことがありました。

「反骨心の塊のような人材だからこそ、人一倍活躍できる。リクルートはそういう会社だよ。 僕はリクルートで修行させてもらった。本当に多くのことを学ばせてもらった。 君も似てるタイプだから、きっとリクルートは合うと思うよ。」

みたいなことを言われた記憶があります。

入社理由③: 最高のクリエイターと出会った

そんなこんなで面談を受けました。

社員「何したい?」

私「遊びたいっす!」

社員「いいね!採用!」

こんな感じで決まったのを覚えています。 面談を通して、私にとっての「企画」とは「遊び」の延長にあるものだと気付きました。

とりあえずお試しということで、希望した新規事業部署にアルバイト枠でジョインしました。 プロダクトマネージャー見習いとして、UIデザインやマーケティングの仕事を手伝いました。 ビジネスチャットアプリをようやくリリースした直後に、世間ではSlackがバズってしまって、即クローズとなったのは今でもトラウマです。

多産多死の中、唯一まだURLが生きているのが「postd」というメディアで、私はその前身ブログ(=MVP)の記事作成を中心に手伝いました。 『Pythonにサヨナラを』というエントリーが伸びたことで上手く話が進んだと記憶しています。 ちなみにこの記事がバズったときの施策を提案したのは他ならぬ私ですからね!!!!!

遊び尽くしたら辞める予定だったのですが、嬉しい誤算で、最高のクリエイターとの出会いがありました。 「コトノハ」などを個人開発した@ohidaさんがメンターとして付いてくださったのです。 彼に影響を受けたことで、WEBサービスを個人開発するようになり、その延長で本格的なエンジニアリングを学ぶことを決意しました。 空想のアイデアが現実のサービスになって、顔も名前も知らないユーザーが使ってくれて、ポジティブな感想を寄せてくれるというのは、めちゃくちゃ快感でした。

社員の仕事を次々と巻き取っていたら「アルバイトの安い給料でここまでやってもらって本当に申し訳ない」とよくご飯を奢ってくださったことを覚えています。 その食事会がまた最高でした。 当時はFacebookブームの真っ最中で、新しいサービスやビジネスが次々と台頭しました。 チームランチの度に「このサービスはここが素晴らしい」「このビジネスを自分が伸ばすならこうする」とディスカッションが白熱しました。 この体験が素晴らしすぎて、一緒にいるうちに、そのままズルズルと社員になりました。

入社理由④: 最強のチームと出会った

社員になってすぐ問題が起きました。 新規事業部署のポストが埋まっていたのです。

人事「(こいつの配属どうしよ)何したい?」

私「この新規事業の部署で引き続きお願いします!」

人事「(アルバイトならともかく社員の枠は今ないんだよなぁ)」
人事「えーと、重点的に伸ばしたいスキルとかある?」

私「自分でビジネスを企画・運営していきたいです!」
私「ゼネラリストとして幅広く伸ばしていくつもりです」

人事「何か1つ切り口がないと配属を決められないのだが」

私「えっ」

人事「えっ」

→ 色々と話を聞く

私「(配属枠がないなら新規事業をやるとか新聞で言うなよ……)」
私「(企画職募集とか求人に書くなよ……)」
私「えーと、あ、じゃあ、辞めます」

人事「えっ」

私「えっ」

人事・私「えっ……」

役員「だったら俺のところに来い。全部やらせてやるよ」

ということで拾っていただき、役員直下の、まだ部署にさえなっていないところに、自分の名前がポツーンと載りました。 リクルートのIT内製化を推進する部隊(になる予定の何か)です。

「圧倒的な成果を早急に出して部署として認められなければ半年後に俺たちの席はない」という修羅の環境で、私としては居心地が良かったです。 いわゆる課(グループ)への配属が正常ルートなのですが、多分それだと退屈すぎて1週間で辞めていただろうなと思います。 私のような問題児であっても、しっかりと拾い上げてくれる器の大きい会社だからこそ、50年以上も進化し続けてきたのだなぁと感動しました。

半年後には無事に部署になり、最強格の人材が続々と集まりました。 IPA未踏出身者、元ベンチャーCTO、有名ライブラリ開発者、後のGooglerといった強いメンバーです。 「このメンバーで会社を作ったらあっという間に数億は調達できるだろ……」と思えるような面々でした。 ここでエンジニアリングの師匠となるような方々と出会えたからこそ、後にPyConやデブサミで評価いただくような成果を出せたのだと思います。

また、後輩の@toiroakrがジョインしたことで、私の価値観は大きく変わりました。 彼はめちゃくちゃ優秀で、さらに「先輩を応援したいので手伝いますよ」「やりたいこと言ってくれたら僕がやっておきますよ」というイケメンでした。 当時の私は「1人で戦い抜く力がいる……!」とクラピカみたいなことを言っていたのですが、「こんなにすげぇやつがいるんだ」「人に頼っていいんだ」と感動したのを覚えています。

同様に(別の部署での話ですが)@mactkg@shota_koharaがジョインしたときは「自分は老害になりかけている」と気付かされました。 影響力のある後輩たちが次々と入社して、彼らに教えてもらうことが増えると「代わりに彼らのために何か自分にできることをしてあげたい」「若手メンバーが活躍できるような環境を作っていきたい」と思うようになりました。

そんなこんなで会社に居着いてしまいました。 ここまでが入社の経緯です。長い。

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やったこと

社外公開済みの案件をいくつか貼ります。 ディレクション・エンジニアリング業務を中心に発信してきました。 ありがたいことにどの仕事も充実していたので、スライドはいずれも100枚以上のボリュームになります。

やったこと①: 大規模メディア・グロースハック・WebAPI開発

XP祭りのセッション内容より引用

10年物のレガシーシステムにおいて、120の開発案件を捌き、4ヶ月でユーザーアクション数を2.8倍にしました。 1つ1つボトルネックを愚直に解消していくことで、気付いたらアジャイルのプラクティスが適用されている状態になりました。


最初のボトルネックはプロセス面でした。 どの施策が当たるか分からない。しかし優先順位は決めなくてはいけない。 担当箇所は各サブシステムから依存され、15チームから改修依頼が寄せられた。 継続的にステークホルダーとの調整・軌道修正をしなくてはいけない。 短期間で大量案件に対応するためには、手戻りや障害対応などのムダ・ムラ・ムリは許されない。


次のボトルネックは発表者自身の個人スキルです。 開発経験がほとんどない状態で参画したため、プロセスが回り始めるとチームのボトルネックとなりました。 短間で戦力にならなくてはいけません。


最後のボトルネックアーキテクチャです。 大量のサブシステム同士の依存、3000テーブル・10万カラムを超えるDB、 Excel設計書のフローチャートそのままに深いネストで書かれた処理、 全ての責務が詰め込まれたCommonクラス。 多少のスキルを習得したところで、高速開発に耐えられる内部品質ではありません。


こういった課題に1つ1つ対応していきました。

師匠である@umemofumofuさんにエンジニアリングのイロハ(初級編)を叩き込まれました。 4ヶ月で3年分の経験ができました。

かなりレガシーな環境でしたが、だからこそ良くも悪くも「旧来のリクルート」のメディアに触れることができました。 短期間で120案件を担うと、どんな施策が短期間で実現可能なのか、どんな施策が効くのか、さすがに見積もれるようになりました。 特に「一覧→詳細→アクション」構造のカスタマー向けメディアについては、やれることは試せたのかなと思っています。 営業向け研修に忍び込んだり、ミーティングに勝手に参加したりと、片っ端から知識を吸収してビジネス理解に務めました。

技術的負債の蓄積したシステム構成と大規模体制で、良い設計とは何か?良いコードとは何か?を模索しながら開発しました。 特にNetflixの"Web API's Orchestration Layer"(今で言うBFF:Backend for Frontend)と、Martin Fowlerの"Microservices"に影響を受けています。 振り返るとプログラミングにのめり込んでいた貴重な時期でした。

ちなみに、このプロジェクトのあと、ストレスで胃腸炎になって3日ほどダウンしました。

やったこと②: モバイルアプリ・スクラム・チーム立ち上げ

開発チームのアンチパターンは大体踏みました。 当時は@kantarockさんや@kadoppeさんや@takefujisanさんに迷惑を掛けました。 この頃はストレスが溜まって、よく暴れていました。 偉い人たちにはめっちゃ怒られました。

やったこと③: システム再構築・プロセス整備・チーム立て直し

SPI Japanのエントリーシートより抜粋

問題: 急成長フェーズのプロダクトにて、開発・運用チームが疲弊し「不透明性→局所最適な行動→品質劣化→相次ぐトラブル→さらなる疲弊」の悪循環に陥った。


打ち手: 検査と適応を繰り返した。 サービスレベル定義→品質・障害対応の目線合わせ。 スプリントセレモニー開催→会話の活性化。 バリューストリームマップ作成→業務の可視化。 ドキュメントのデザインパターン化→知識共有の促進。


結果: 「可視化→全体最適志向→品質予防+SLA・OLAに基づく対応→安定化」の好循環が回り始めた。

めちゃくちゃ大変でした。

  • 「売上3倍/年」というプロダクトの急成長。
  • 「メンバー数2倍/Q」というチームの急拡大。
  • 「障害2件/営業日」という危機的状況。

ここから立て直しを図りました。

他の企業だとこの状況に陥ることはありえないでしょう。マネジメントの崩壊です。 ただ、リクルートでは次世代を担う事業を育てるときに、このような「垂直立ち上げ」をあえて行うそうです。 そして 無茶振り 期待に応えたメンバーが、事業のグロースと共に、次世代を担う人材として育つのだそうです。

ちょうどリクルート生活の折り返し地点に当たり、私が最もレベルアップを実感できた仕事です。 この修羅場を乗り越えたことで「急成長フェーズはどうにかハンドリングできる」という自信を得ました。

一流のソフトウェアエンジニアに囲まれながらのシステム再構築や障害対応で経験値を荒稼ぎしました。 @shoitoさんにエンジニアリングのあれこれ(応用編)を叩き込まれました。 正攻法のチューニングを積み重ねてレスポンスタイム300倍改善を実現しました。

@i2keyさんには毎日の1on1を通して「上手くやっていく」ためのイロハを叩き込まれました。 帰る前に次の方針を決めて、翌日試してみて、ダメで、また帰宅前に相談して。 原理・原則はこうで。現場の課題はこうで。プロセスをどう設計するか。チームをどう促すか。 トップクラスのビジネススクールに通ってリアルなケース課題に朝から夜まで打ち込むようなものです。 しかも給料も毎月振り込まれる。最高の時間でした。

また、チームを立て直しながら、片手間で「アプリ内ポイント購入機能」や「クレジットカード決済機能」を開発しました。 お金周りが絡む案件は、ビジネス観点・システム観点ともに難易度が高いものです。 ビジネス面では@hisonlと二人三脚で、資金決済法を通すところから始め、特商法プラットフォーマー規約を踏まえて、各種要件を定義しました。 システム面では@taisho6339の助力を受けて、Android Studioを開くところから始め、1ヶ月の隙間時間で決済機能を実装しました。 かつての自分では全力を出しても(支援を受けても)達成できなかったであろう案件です。 そんな高難易度の案件を、片手間で速やかに捌けたことで「大抵の案件はどうにかできる」という自信を得ました。

間違いなくターニングポイントとなった仕事でした。 ちなみに、立て直しのあとは、ストレスで1週間ほど寝込みました。

やったこと④: 使われるデータ基盤の構築

PyCon JPのプロポーザルより抜粋

Python(JupyterNotebook)とBigQueryを用いたモニタリング基盤・データ分析基盤の開発・運用について話します。 多様な部署・職種が関わる大企業において、どのような目的・用途・制約が与えられ、そのためにどのようなシステム・プロセスを採用したのか共有します。


現場ならではの泥臭い話をたっぷりお届けします。


モニタリング編: 非技術者が作った重厚長大Excelシートをいかに置き換えるか。 「時間を掛けて作ったが誰にも使われない」悲劇をいかに回避するか。 モニタリング内容の正しさをいかにテストするか。


アドホック編: 分析経験のないエンジニアチームでいかにデータスキルを装着させるか。 システム開発の現場で仮説検証プロセスをいかに組み込むか。

@sone_zoneさん、@oosugi_naoyaさん、@tky_bpp氏、@isbtty7くん、@lapis_zero09さんなど、多くの方々に助けてもらいながら取り組みました。 これまでの仕事で学んだことを「データ活用」というトピックに応用することで価値創出へと繋げました。

グループ会社の壁を感じることもなくスムーズに業務を遂行できたのはプロ開メンバーのお陰でもあります。 @beniyamaさん、@_mponさん、@reizistさん、@nobuokaさん、@reoy_くんたちがWelcomeな雰囲気で盛り上げてくれて、ツール周りでも色々と支援いただきました。

社内向けではありますが、私はデータ基盤を1つのプロダクトだと位置付けています。 社外向けにWEBサービスを運営するのと同じです。 やることは「自分が構想したプロダクト」の構築・運営です。 オーナーシップを持ちたい私としては念願の案件でした。

Jupyter Notebook や BigQuery は触っているだけでも楽しかったです。 目先の仕事に限らず、様々な企画・研究・開発の役に立つ。 このテクノロジーはきっと可能性を広げてくれる。 そう感じました。

ちなみに、カンファレンスに登壇するようになって、ようやく社内外で評価をいただき始めたのがこの時期です。 @poohsunnyさんが背中を押してくれました。

やったこと⑤: DataOps / データ活用の推進

Developers Summitのセッション紹介より抜粋

データの民主化、データ基盤の構築、分析チームの立ち上げ、機械学習プロジェクト。世を見渡せばキラキラした事例に溢れています。 しかし、いざ自分たちでやろうとしてもなかなか上手くいきません。理想に辿り着くためには、泥臭い過程が存在します。


本セッションでは「登り方や道のりを知りたいんだ!」という方に向けて、DataOpsの観点から案件・システム・プロセス・文化・組織をエンジニアリングしてきた現場のリアルをご紹介します。 データ活用に携わる全てのエンジニアが今すぐ行動するためのヒントを持ち帰っていただければ幸いです。

「データ活用」に関して、現時点で世に出ている日本語の資料の中で、最も内容が充実したものの1つだと自負しています。 それも当たり前で、大企業のリソースをフル活用して、投資と学びのサイクルをぶん回したからです。 (50年以上の歴史があるレガシー企業でDataとOpsを繋げるという意味では)世界の最先端を走っていました。 アクセル全開で片っ端から施策を試して、本来であれば3年を費やして少しずつ咀嚼・浸透するような知見・経験を短期間で引っ張り出し、役員・部長・マネージャー陣にフィードバックすることで、組織の時計の針を前進させたと(私は勝手に)思っています。

これもひとえにお力添えいただいた100人以上の方々がいたからこそです。 私が担当していない事業領域については@yusaku_tokunagaくんや@masuo_kettleさんたちに相談させていただきました。 というか私はコンセプトを描いただけで、実際には「周りのすごい人たち」が良い感じにやってくれた、というのが実態です。 アルバイトの@sukukyon@macinjokeに助けられることも多く、人伝てで「随分と懐かれていますね!楽しそうに話していましたよ!」と聞いたときには、あぁ自分のアルバイト時代もこんなだったかなと感慨深いものがありました。

個々の案件を取っても、◯◯億のマーケティング施策に影響を与える分析だったり、社会的意義のあるプレスリリースを打ったりと、ビジネスとシステムの境界に立つからこそ担えた案件ばかりでした。 色々な意味でリクルート生活の集大成と言える仕事だったと思います。

ちなみに、この頃にはストレス管理も小慣れており、事前調整した上で1ヶ月のバカンスを楽しみました。 試行錯誤して「Workは朝に専念する」「2時間のシエスタを取る」「18:00には会社を出る」といったルーティーンを固めました。

やったこと⑥: 新規事業の立ち上げ

最後の仕事として、エースプレイヤーである@RyoMa_0923さん、@int_ttプロ、@orisanoプロ、@mic_psmくん、@yuriettysたちと一緒に新サービスを立ち上げました。 コードネームは「Heisei Final Project」(平成最後のプロジェクト)です。ヤバいよね。 社内的にはデータ組織とエンジニア組織が密に連携してプロダクトにコミットするという象徴的なプロジェクトでもありました。 このプロジェクトを担当したことが退職理由の1つとなります。後述します。

やったこと⑦: その他いろいろ

まぁとにかく(良い意味で)騒がしい出来事だらけでした。 もはや自分でも何をやっていた人なのか分かりません。

強いていうなら「リーン」(トヨタウェイ)の原理・原則を業務に適用する人だったのかなと思います。 事業・組織・システムにおける、立ち上げ・立て直しフェーズが得意でした。 変革の経験者は少ないため、変化が求められるタイミングであっても、無意識のうちに旧来的なパラダイム・手法を採用しがちです。 しかしフェーズと打ち手がマッチせず、アンチパターンに陥ってしまいます。 そういった状況に対してリーンの原則(=反直感的な成功法則)を適用することで、上手く軌道に乗せるのが私の勝ちパターンです。

もうちょっと分かりやすい話を取り上げると、社内勉強会の運営が挙げられます。 社内勉強会を運営するときには、スクラム開発と同じ要領で、バックログを設けて継続的な改善を行いました。

勉強会の運営は@hotchemiさんや@saori_murookaさんと一緒に始めました。 そのあと部署の統廃合を経て@cauchy_6くん、@chiiia12さん、@susunshunとの運営体制に変わりました。 退職時点では@maxmellon_9039くんが運営を引き継いでくれています。 社内勉強会の運営をきっかけにして話をした@_tanayukさんとは、その後も社内外でお世話になる機会があり、今でも仕事を紹介してもらったりしています。

繋がりが続いていくのは本当にありがたいことです。

振り返ってみてどうだった?

色々ありましたけど、それなりに楽しかったです。

類は友を呼ぶと言いますか、私がお世話になったところは、トップから現場まで動物園みたいでした。 すごい治安が悪くて、みんな田舎のヤンキーっぽくて、私は完璧にカルチャーフィットしていました。

正論が1ミリも通らないところがいいですね。 「そんなに正しいと思うならお前が自分でやれば?」みたいな。 んで、1人で勝手に突っ走っていたら、周囲は面白がって支援し始める。 「そんなにやりたいと思うなら俺も全力で手伝うぜ!」みたいな。

魂ドリブンで前に進むところは最高にエモーショナルでロックだと思います。 これは皮肉ではなく本気で褒めています。 「正しいだけで面白くない」みたいなことって世の中には沢山あって、安易な正しさに逃げてしまうと、長期的には破綻するのだろうなと思います。 そういった意味で、とてもしなやかというか、器の大きい会社だったなと感じています。

そして「どんなことでも変えられる」と教わりました。 最初は「イケてねぇなぁ!」と思っていた環境が、今では「悪くないじゃん!」と思えるまでに変わりました。

基幹システムはCobolと汎用機。 WEBサイトの開発環境は32bitのwindowsマシン。 「Git導入のメリット・デメリットを説明しろ」と言われて前に進めない。 少しずつ時間を掛けて、愚直に1つずつ課題を乗り越える。 ときには圧倒的な成果で周りを黙らせてから進める。 そんなこんなで、できるところから、モダンな環境に徐々に移行しています。

対外的な話では、昔は時給900円のアルバイト枠しか許されなかったのが、 今では月60万円のアルバイトを募集できるようになったり、 昔は社名・プロダクト名・個人名を出して外部発表できなかったのが、 今では個人ブログで会社のアドベントカレンダーに参加できるようになったり。

ここで挙げた事例はあくまで表面的な話で、根本にあるのはカルチャーの変化です。 IT部門がビジネスのドライバーとなるべく急変革してきた結果です。

文句を言うヒマがあったら、どんどん変えていけていけばいいじゃないか。 そういう人達が集まって、少しずつ変わっていきました。 時間は掛かるかもしれませんが、きっとこれからも色々なことが変わっていくはずです。 「どんなことでも変えられる」と思えると、ずいぶんと生きやすくなります。

何ができるようになった?何を得た?

1つ目は広義のエンジニアリングスキルです。 リーンとかITILとかDevOpsといった「仕事の考え方やノウハウ」に少しだけ触れることができました。 ソフトウェアエンジニアリングの特徴として「知見を展開しあうオープンな文化である」「フィードバックサイクルが早い」ことが挙げられます。 そのため他の分野・業種に比べて業界全体の進化が早いように思います。 パラダイムが次々と変わる真っ只中に身を置き、世界最先端の知見に触れることができる。 エキサイティングで最高の分野だと感じています。

2つ目はInvestmentのControllです。 足を使い、目を使い、耳を使い、頭を使い、口を使い、手を使い、現場の最前線で各論1つ1つにぶつかったことで、微に入り細を穿つような意思決定力が身に付いたと思います。 徹底的な現場主義・経験主義の風土で働けたからこそです。 リクルートが培ってきた泥臭い文化と、リーン(トヨタウェイ)に精通した上司たちの影響を強く受けています。 プロダクトオーナーの役割は「InvestmentのControll」と「ReturnのManagement」と言われていますが、前者についてはそれなりの水準で習得できたのではないかと思っています。 後者を習得するのが次のステップで、退職理由の1つでもあります。

3つ目はちょっと曖昧ですが「何とかするパワー」です。 振り返ってみて思うのですが、自分自身の能力で問題解決したことは一度もなくて、各案件に1人以上は「この人に助けてもらった」という名前を挙げることができます。 結局のところ「優秀な人と巡り合い、彼らに助けてもらうことで、結果的に上手く行った」という状況を何度も繰り返してきただけでした。 そういう経験を繰り返す中で、気付いたら人並みに何とか物事をやり遂げるスキルというか、運というか、習慣のようなものが少しは身に付いたかな、と思います。 いや、でもやっぱり運ですかね。1人だと相変わらず何もできないですね。


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椅子が前面に出ている残念な卒業記念写真(左)、悪意のある提案「あえて低い天井で胴上げやろうぜ」(中央)、最後のSlack投稿になるはずだった投稿(右上)、RTC名物#ultra_soulチャンネル(右)、最後のSlack投稿になってしまった投稿(右下)


#「迷い」と「決断」

退職の検討に当たっては特に@takesakoさんにお世話になりました。 無理に留めるでもなく、積極的に押し出すでもなく、フェアな視点で考えるためのヒントをいただけたと思っています。 何か1つ決定的な理由があったのではなく、うだうだと迷って、色々な出来事が重なった上での決断となります。

退職理由①: 人に対する焦りがあった

1つ目。ある人との出会いがありました。 その人は子供の頃から好きだったことに10年以上も打ち込んで仕事にしていました。 先が明るい業界とは言い難く、大変なことも多々あるだろうに、それでも楽しそうにやっているのを見て「あぁ、すげぇな」「負けたくないな」と思いました。 その人に比べて自分はどうだろうか。子供の頃の自分に対して、今の自分の姿を自慢できるだろうか。 入社当時にやりたかったことは、本当にできているのだろうか。これからできるようになるのだろうか。そう思いました。

2つ目。同僚が次々と辞めていきました。さすがに5年も経つと、人は入れ替わります。 特に最近はスペシャリストが働きやすい職場へと急変貌を遂げているので、相対的にゼネラリストが残りにくい時期なのかなと思います。 「特定技術に強い人」が明瞭な成果を出して高く評価される一方で、「特定事業を担う現場リーダー」は次々と退職して、ベンチャーに転職したり、起業するパターンが続きました。 私も根っこではゼネラリスト志向なので、共感できる仲間が減って「人が変わってきたなぁ」「寂しいなぁ」という気持ちになりました。 そして彼らが新天気で活躍するのを遠巻きに見て、置いてけぼりにされているような、追いかけなければいけないような、そんな気持ちになりました。

3つ目。学生時代にバングラデシュ原丈人さんにお会いして影響を受けたのですが、彼が本格的に事業活動を始めた年齢に追いついてしまいました。 まぁ、あまり年齢で物事を考えるのは好きではないというか、子供でも老人でもやろうと思えばいつだって何だってできるだろという思想を大事にしたいのですが。 そもそも日々を楽しく過ごしていたら、年齢は意識しないと思うんですよね。というか他人と自分を比較すること自体がナンセンスですよね。 だけど多少なりとも意識してしまいました。雑念を振り払うことができませんでした。これはもう何かを変えるタイミングなのだろうなと思いました。

退職理由②: 環境に対する焦りがあった

1つ目。担当サービスの勝ち筋を模索するためにアメリカ出張に行きました。 海外の伸びているサービスの強さの秘訣はどこにあるのか、各社の経営者に話を聞いて回りました。 決定的な差は「マーケットサイズが違う」という一言に尽きます。 あまりにも規模が違いすぎて、小手先の試行錯誤では太刀打ちできないと悟りました。 マーケットを読むことが勝ちに繋がる。 マーケット感覚を身に付けてReturnをManagementできる企画屋になりたいと痛感しました。 大企業の内輪で好き勝手やっている場合じゃねぇぞと思いました。

2つ目。少数チームに再現可能な方法論を身に着けたいと思いました。 特に3ヶ月単位でOKRを設定して高い目標にフォーカスするような働き方はぜひ経験したかった。 自分の企画を次々と世に出すためには「フォーカス」(集中)と「モメンタム」(勢い)が必要でした。 リクルートには、200以上のサービスがあって、その1つ1つに歴史があります。 10を超えるグループ会社があって、それぞれに50の組織があって、そこに所属する10,000人の従業員がいて、さらに常駐パートナーがいて、1人1人のメンバーが違うミッションを持っています。 そういう状況で擦り合わせながら仕事を進めるだから、どうしてもリードタイムは掛かります。 まぁ、だからこそ「リソースを動かして面を取る。勝ちを抑える。」といった発想が生まれるのかなとも思います。 この発想があるのとないのとでは話が変わってくるので、大企業ならではの働き方を知る事ができたのは良かったです。 ただ、いつまでも会社の脛をかじっている場合じゃねぇぞと思いました。

3つ目。『個人開発がやりたくなる本 - クリエイター13人の実録エッセイ』自費出版しました。

ということで始めたのですが、プロジェクトが炎上して大変でした。 良くも悪くも自分は「1つの会社での働き方」が染み付いていて、外でやるとこんなにも違うのかと痛感しました。 これはまずいぞ。個人で活躍していきたいなら、さっさと外に出たほうがいいぞ。そう思いました。

そして、それ以上に、めちゃくちゃ楽しかったんですね。 他の執筆者と交流したり、彼らの原稿を読んだり、ディスカッションしたり、自分の企画が人を動かしたり、描いたアイデアが形になっていったり。 こんな楽しいことを思い出してしまったら、もう止められないですよね。 「もっとチャレンジしたい」「自分の企画を次々と世に出したい」という欲望が溢れてきました。 誰かのアイデアにフルタイムで従事している場合じゃねぇぞと思いました。

退職理由③: 節目だった

1つ目。組織のフェーズとして求められる役割が変わってきたと感じました。 リクルートにおける「データ活用」は混乱期を抜けつつあります。 経営層と現場が互いに歩み寄って、ガバナンスが効き始めていました。 このフェーズで必要なのは、私の得意なチェンジマネジメント(立ち上げ・立て直し)ではなく、1人1人の地道な取り組みと擦り合わせです。 私がこれ以上頑張らなくても、組織は良い方向に進むだろうと思えました。

2つ目。デブサミ夏2018のアンケートで満足度No1をいただけました。 入社時に拾ってくれた役員が数年前に同じ枠で登壇していたので、少しだけ近付けたのかなと嬉しく思いました。 一緒に飲みに行って、その旨を伝えて、きちんとお礼を言うことができました。 「俺はアンケート2位だったよ。この野郎。」と言われて、なぜか2人とも笑ってしまいました。 入社直後はイラっとすることも多く、いつか何か1つ見返してやろうと思っていたのですが、ようやく5年越しに目標を達成できたのかなと思います。 帰宅して一息ついてから「やってやったぜ。ざまぁみろ。」と思いました。

3つ目。さすがに5年もいると組織に対して執着心が湧きました。 長いこと時間を費やしたからにはもっとリターンを得なければいけない、という焦燥感が年々大きくなりました。 サンクコストに振り回されて、過剰な見返りを求め続けても、いずれ破綻するのは明らかです。 残るか辞めるか天秤に掛けたときに「せっかくこれだけ長く在籍しているのだから」「こういう予算や権限を使えるのだから」と頭の片隅で思ってしまいました。 「ワクワクするから」「こういう学びを得られるから」「こういうやりがいがあるから」という理由よりも先に不純な発想が出てきました。 「随分とつまらない人間になったなぁ」「子供の頃の自分がなりたくなかった大人になってるじゃねぇかよ」と思いました。 愛着なら良いのですが、執着はダメですね。邪な執着心が意思決定を歪めて、巡り巡って自分の首を締める。そんな未来が容易に想像できました。 さすがに長く留まりすぎた。潮時だ。これ以上残るべきではない。そう痛感しました。

また、アルバイト時代を入れると6年弱の勤務で「小学校の入学から卒業まで」「中学+高校と同じ年数」だと思うと「そろそろかな」という気持ちになりました。 あと、人生で一度はやりたかったことや心残りだったことを、プライベート面で色々と消化したので「もういいかな」という気持ちになりました。 平成も終わるし!時代は流れる!

退職理由④: 企画屋でありたかった

最後の仕事で新規事業の立ち上げに関わって刺激を受けました。 新しい価値を創出するというか、これまでなかったものを実現するというか、やっぱりこういうのが大好きだと思いました。

私は(名目上)データ活用をデザインする立場としてアサインされました。 一方で、数少ない事業開発の経験者でもあったので、立ち上げ期のPM代理として振る舞うことが実質的な提供バリューだったと思っています。

そこで一緒に働いた若手メンバーたち、特にソフトウェアエンジニアは優秀で、本当に素敵なチームメイトたちでした。 「すげぇな」と思ったし、「彼らの本当の仲間になりたいな」と思いました。 スキルがあることがすごいのではなく、彼らが技術と真っ直ぐに向き合っていて、未知の状況でも前向きに挑戦していることがすごいなと思いました。 エンジニアとかPM代理とか、そういう(今の自分が心の底から楽しいと思えない)立場で、彼らと一緒に仕事をすることに、後ろめたさと物足りなさを感じました。

当時のエモいメモをコピペします。

俺は企画屋でいたいんだ。 俺の企画を彼らと一緒にやりたい。 俺の企画を彼らに認めてもらいたい。 俺の企画を彼らに楽しんでほしい。

他の誰かが考えた企画を彼らと一緒に実現したいわけじゃない。 そうじゃないんだ。俺の企画を彼らと一緒に実現したいんだ。

一流のすごい仲間と、お互いに尊敬しあえる友達と、対等な関係で、一緒に遊びたい。 それだけなんだ。憧れた人と一緒に遊びたいだけなんだ。仲間に入れて欲しいだけなんだ。 子供の頃から何も変わらない。有り余った力で走り回るのと同じ。本気で一緒に遊べる友達が欲しい。それだけなんだ。

どうしたら彼らの仲間になれるだろうか。 今の俺はまだ一流の企画屋ではない。 このまま進んだ先に、一流の企画屋を名乗れる未来があるだろうか。 今のままこの会社で働き続けることが本当にベストなのだろうか。

彼らと一緒にいたいと思うからこそ、ここに残る言い訳を探しているけど、 彼らと一緒にいるために必要なものは、ここに残っていたら手に入らない。

多分、俺がここに残る理由は、もうない。

退職理由⑤: 欲が出た

いやいや、待てや!探せば社内にも何かあるでしょ!ということで、色々な人に相談に乗っていただきました。 グループ会社の事業開発部門と海外投資部門に空きポストを見つけて、異動願いを受理いただきました。 退職しなければそこで働く予定でした。

ただ、色々な人と話をする中で「リクルートは新規事業を立ち上げるのは上手いが、どちらかというと組織的な強さであって、個人の強さを鍛える場ではない」と感じました。 私が業務で接した範囲ではありますが、この会社は「振り返る」「作る」力が強く、一方で「計画する」「売る」力は、私の求めるものとは異なりました。

※あくまでも主観です。私の立場からはそう見えました。

  • 「Plan」「Do」「See」において「Do」「See」が尋常じゃなく強い。
    • メンバー1人1人が自分の正しいと思うシナリオ・やり方で、同時多発的に大量の施策を打って、上手くいったものを勝ちパターンとして採用している。
    • 後から見たら確かに「筋が通っている」ように見えるが、一方で、他の「筋が通っているプラン」は大量の屍として横たわっている。
    • ホットペッパーの立ち上げがまさに好例で、全国で多様な営業施策を打ち、成果が出た北海道のやり方(=駅チカの居酒屋クーポン)だけが生き残って横展開された。
    • あくまでアメーバ経営やセットベース的な発想が元にあって、各論についてのPlanに力点を置く組織文化ではない。
  • 「作る」ためのエンジニア組織が急成長する一方で「売る」側は旧来の特徴が色濃く出ている。
    • 大規模予算投下によるマスプロモーションのインパクトが目立つ。一方で組織文化としてマーケティング思考が徹底されているわけではなく、予算消化目標ありきで振り回されていると感じる場面は少なくなかった。
    • コンサルティング型営業に強みがある。「圧倒的当事者意識で顧客に寄り添う」というスタンスは、高単価・高付加価値の営業モデルと連動している。米国滞在時に話した業務支援SaaSは少数メンバーで多くの顧客を獲得していたが、彼らと比べると売り方のスタイルは明らかに違う。

※あくまでも主観です。私の立場からはそう見えました。

これらは別に悪いことではありません。組織としての特徴です。 確固たる勝ち方を持っていて、その勝ち方を踏まえた経営がなされているからこそ、こういう顕著な組織の特徴が出てくるのだと思います。 しかし、私が良い企画を練られるようになるとか、私がマーケティング上手になるとか、私が独立したときに「自分でヒットさせる」ことができるとか、そういった個人としての強さを身につけやすい環境とは言えないのかなとも思いました。

※あくまでも主観です。私の立場からはそう見えました。

「そういう組織だからこそ学べたことが沢山ある」「次は別のことを学びたいので別の場所のほうが効率が良いのではないか」と私個人が思ったというだけです。 まだ見ぬ世界に憧れたというだけです。 要するに、欲が出たのです。

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渾身のポエムだ!聴いてくれ!

ということで、私が辞めるのは、会社の抱える不によるものではなく、私自身のフェーズの変化によるものです。 お世話になった方々が山ほどいて、色々なことを経験させていただいて、時には不満をぶつけて、腹を割って話し合って、そうやって何年も掛けて、リクルートという会社を咀嚼してきたつもりです。 いまさらこんなところに載せるような悪口は思いつきません。 そんなことより俺のポエムを聴いてくれ!

全ては表裏一体だと思っています。 「こういう特徴があるから、こういう人には合うし、こうなると合わない」というだけです。 泳ぎたいなら海に行くし、ハイキングなら山に行く。 海と山を比較して良いとか悪いとか正しいとか間違っているとか言うつもりはありません。 行きたいと思ったところに行くだけです。

人生を旅路で例えるなら、就職とか退職というのは、列車の乗り降りのようなもので 「車内にうんこ落ちてるやんけ!最悪!二度と来ねぇ!」とブチ切れて降りることもあれば、 「座りすぎて腰を痛めたのでちょっと外に出ますね」と一時的に降りてリフレッシュしてまた乗ることもあれば、 「あっちすげぇ!蒸気機関車やんけ!」とハイテンションで駆け降りることもあるわけです。 だから面白いんですよね。 自分の心が一番ワクワクする選択肢を選ぶ。 そういう旅をしていきたい。

そして、そういう旅をお手伝いするのが、リクルートの事業だと思っています。 特にHR領域はまさにそうで、旅人であるカスタマー(求職者)と、列車であるクライアント(企業)をマッチングするビジネス。 誰もが心のままに人生を旅するような、そういう世界を実現しようという会社。 果てしなく広がる陸路を示すのが、リクルートなわけです。 陸路。陸・路。リク・ルート。リクルート。はい上手。

リクルートの言葉の中で「Follow Your Heart」が一番好きです。 「心のままに」と勝手に訳しています。 風のように、心のままに、旅をしていきたいです。 リクルートという列車での旅はそれなりに楽しくて、次々と愉快な乗客たちが乗り込んでくるのですが、ちょっと窓を開けてみたら、爽やかな春の風に吹かれたものですから、心のままに外へと出てみようかな、と思った次第です。

またこの旅路のどこかで、愉快な乗客たち ―― リクルート時代の仲間たちと、巡り会える日が来ることを楽しみにしています。


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次は何をするの?最近どうよ?

しばらくは充電期間です。いまの自分には心を休める時間が必要だと思っています。

新しい旅①: 立ち上げ

最近は充実していて、夜は「明日もやるぞ〜」と思いながら眠りに付き、朝は「今日もやるぞ〜」と思いながら目覚めています。 子供の頃は毎日がこうだったのに、大人になってからは、この当たり前のワクワク感を失っていました。 いま自分の心に蓋をしたら、年老いてから後悔するだろうなという予感があるので、当面はイヤなことから全力で逃げて、楽しくやっていこうと思います。

具体的には、数社のお手伝いをして日銭を稼ぎながら、お試しで1つメディア事業を立ち上げているところです。 リクルートで学んだことをフル活用して事業を立ち上げるのは最高に楽しいです。

本当はさ〜、ここはさ〜、私の立ち上げた事業がバーンって明らかになって、 読んでいる人はズガガーンって衝撃を受けるとこなんですけど、 ちょっと急激にカオスになってきたので、落ち着いたらまたご紹介させてください!

まぁ、そういうところが楽しいんですけどね。

新しい旅②: お手伝い

数社のお手伝いをして日銭を稼ぎながら

こちらは主にITコンサルティングとして「データ活用に関連したシステムの要件定義・設計」を承っております。 特に業務委託の距離感は私にとっては快適で、執着心に囚われることなく、お客様が期待する価値の提供に専念できています。 ひとえに窓口の方々が便宜を図ってくださっているお陰だと感謝しています。

フルタイムの労働力提供は当面差し控えますが、知見のアウトプットや企業支援は引き続き積極的に行いたいと思っています。 「お世話になった業界に対して恩返しをしたい」「頼りにしてくれる人たちの役に立ちたい」という強い気持ちがあるからです。 少しでも関心を持ってくださる方がいましたら、お気軽にお申し付けください。

ちなみに手伝っているところの1つがメルカリ社のBIチームです。 「Plan・Do・See」の「Plan」と「作る・売る」の「売る」が強いチームだと解釈しています。 私は日本におけるDataOpsの第一人者として知見やノウハウを提供し、代わりに一流のアナリストたちから分析スキルを盗ませてもらっています。

特に@mattsun10919298さん、@hik0107さん、@shinya_131さん、@nakatomo____さんたちにお世話になっています。 また、チームは違いますがML界隈の@hurutoriyaさん、@dama_yuさん、@cocodripsさんたちにも影で助けてもらっています。 あと、たまに@tantantantan23さんや@tottie_designerさんにSlackを荒らされています。

基盤エンジニアを絶賛募集中ですので、興味のある方がいましたら、ぜひカジュアル面談にお越しくださいませ。

はい、そんな感じで相変わらずワイワイやっています。 せっかく大人になるなら、ジャック・スパロウやジン=フリークスみたいな、爽やかなクソ野郎になりたいです。

おわり。

おまけ

よもやま話をしようぜフォーム

1つ目。よもやま話をしようぜフォームです。カフェで30分ほどお話でもしましょう。お気軽に申請ください。 作成の経緯:退職直前にとあるミスが発覚して、後片付けを押し付けて去る形になってしまい「お詫びにランチを奢ります」「面白そうだからGoogleフォームを作って退職エントリーに貼っておきます」と宣言した。

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ex-Recruit Slack(非公式)

2つ目。ex-Recruit Slack(非公式)を作ってしまったので、ぜひジョインしてください。既に荒廃しています。

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ウィッシュリスト

3つ目。ウィッシュリストです。 ほとんどKindleなのでちょっとアレですが、ご祝儀ということで、どんどん送ってくれると嬉しいです。 あの日の#ultra_soulの残り香を少しだけ感じられるかも。

そんな感じです。やっていきましょう!

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#「迷い」と「決断」

りっすん×はてなブログ特別お題キャンペーン〜りっすんブログコンテスト2019「迷い」と「決断」〜 Sponsored by イーアイデム

2018年に読んだ111冊の本を全力で振り返る(45,000字オーバー)

この記事は今年読んだ本AdventCalendar2018-24日目の記事です。 間に合わなかった。

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https://www.pexels.com/photo/beverage-book-caffeine-coffee-261820/

はじめに

2018年1は111冊を読みました。 これらの本を振り返ります。 コミック2作品・計33巻を含めて111冊なので、作品数だけをカウントすると80作品となります。

過去に読んだことのある本の読み直しはカウントしていません。 仕事で1つの資料を作るために10冊を読み返すこともあります。 また、コミックはすぐ読める割に冊数・作品数が半端ないですからね。 とてもじゃないけど収拾がつかなくなるので除外とします。

今年は12作品を【My殿堂入り】として勝手に認定します。 読み終わったときに「これは殿堂入りだ」と思わず呟いた本が対象です。 「これは良い本だ」「なるほど〜」「面白かった」といった反応はノーカウントです。 後からじわじわと来るような書籍は選ばれにくい傾向にあります。

あと、基本的に技術書は読まない派です。 公式ドキュメントとGithubとStackOverflowを見れば十分かなと思っています。 アジャイル・リーン・DevOps系はもうお腹いっぱいというか、そこらへんの人よりは詳しいつもりなので、新規では読まないと心に決めています。 これ以上新しい本を読んでも手段先行のモチベーションが湧くだけで原理原則を疎かにするのがオチかなと。

フォーマット

- 【概要】
- 【この本の魅力】
- 【読んだきっかけ】

もくじ

文芸小説

01. 羊と鋼の森

羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

俺たちが探すのは四百四十ヘルツかもしれないけど、お客さんが求めてるのは四百四十ヘルツじゃない。美しいラなんだよ

長く部屋の隅に忘れられたピアノがあり、ひどい環境下に打ち捨てられたピアノがあり、それでもこの仕事に希望があるのは、これからのための仕事だからだ。僕たち調律師が依頼されるときはいつも、ピアノはこれから弾かれようとしている。どんなにひどい状況でも、これからまた弾かれようとしているのだ。

天文学と音楽が世界の基礎だという説にうなずこうとしている。無数の星々の間からいくつかを抽出して星座とする。調律も似ている。世界に溶けている美しいものを掬い取る。その美しさをできるだけ損なわないようそっと取り出して、よく見えるようにする。

  • 【概要】ピアノ調律師という仕事を通して主人公が成長する話。
  • 【この本の魅力】職場の先輩には1人1人のやり方がある。お客さんにも1人1人の依頼がある。それぞれの事情や背景がある。考え方やこだわりがある。大切にしたいものがある。フィクションが魅力的なのはこれだ。主人公のレンズを通して、ピアノの調律という仕事を通して、音楽という世界最古の文化を通して、「自分が気付いていなかった物事の見方」「自分が大切にしたいことは何か」に気付かせてくれる。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。駅前のストリートピアノ演奏を聴いて「いいなぁ」と思った。

02. コンビニ人間

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

完璧なマニュアルがあって、「店員」になることはできても、マニュアルの外ではどうすれば普通の人間になれるのか、やはりさっぱりわからないままなのだった。

「……なんか、宗教みたいっすね」そうですよ、と反射的に心の中で答える。これから、私たちは「店員」という、コンビニのための存在になるのだ。

皆の中にある『普通の人間』という架空の生き物を演じるんです。あのコンビニエンスストアで、全員が『店員』という架空の生き物を演じているのと同じですよ。

  • 【概要】「正解」を分からずに過ごしてきた主人公。コンビニ店員という「正解」の決められた役割を得て、平穏な暮らしを送るようになる。しかし「まだ結婚していないのか」「18年間もアルバイトを続けてきたのか」と指摘されたことで、また「正解」が分からなくなってしまう。
  • 【この本の魅力】印象的なのが幼少期のエピソード。死んだ小鳥のために花を添える。そのために花の命を奪う。おかしくないかと問いかける。アイデアを出した子は泣いてしまう。どうしてそんなひどいことを言うのと怒られる。間違ってはいない。ただ素直で不器用なだけ。そういう人の生きにくさを描いている。他の人が気付けないことに気付ける。これは1つの能力だ。だけど、その観察力や思考力を使いこなして、人生を豊かにできないなら、むしろ枷でしかない。才能とコンプレックスは紙一重だ。誰だって何かしら心の枷を持っている。枷を才能に昇華するという発想がなく、ただ息苦しさを感じていただけの、未熟だった自分を思い出しながら読んだ。そして、まだ枷に囚われている人は山ほどいて、コミュニケーションに注意を払わなければいけないとも思った。人間は繊細だ。1人1人違う。価値観の擦れ違いは起きる。そこに傷つく人もいる。お互いにほんの少し言い方や考え方を変えるだけで、変わった未来もあったんじゃないかな。そう考えずにはいられなかった。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。タイトルがいかにも大学生が好きそうな拗らせた感じで、たまにはそういうのも悪くないかなと思って買った。

03. 葉桜の季節に君を想うということ

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

ある時は六本木でガードマン、またある時はパソコン教室の講師、たまにはテレビドラマのエキストラ。自称、「何でも屋」ならぬ「何でもやってやろう屋」である。人の一生なんて短い。やれる時にやりたいことをやってしまわなかったら、かならずあとで後悔する。

「五十五の時の子供。いい歳して恥ずかしい」「そんなことないですよ。男はいくつになっても女を愛しく思うものです」 俺は穏やかに笑った。「結婚したのが五十四の時でね、これまた恥ずかしい話、相手は日暮里のスナックのおねえちゃん」「恥じることはないですよ。接客は特殊技能です。人をもてなし、いい気分にさせるなんて、誰でもできることではありません」

どうして俺が特別であってはいけないんだ。誰が決めた。特別か特別でないかは生きてみないとわからないじゃないか。優秀な人間を見て、自分は敵わないと思ったら、その時点でもう負けだ。自分の可能性を信じる人間だけが、その可能性を現実化できる資格を持つ。俺は生きているかぎり『何でもやってやろう屋』を続けるよ。明日死ぬと決まっていても、今日のうちは、やることはやる。だから君も、そう簡単に人生を放棄するな。あきらめるのは俺が死んでからでも遅くないだろう。それまでは俺と楽しくやっていこうぜ」

  • 【概要】一時期は探偵見習いをやっていた主人公のもとに次々とトラブル・依頼が舞い込む。駅のホームで自殺を図る女性。離婚した妻と娘が元気にやっているか知りたがる男性。紛失した麻薬を探し出そうとするヤクザ。ある会社が祖父の事故死に関与していると疑う一家。異なる時間軸・異なる登場人物の出来事が繋がっていく。
  • 【この本の魅力】最後に「なるほど」「だからこのタイトルなのか」となる叙述トリック。キャラクターや出来事やエピソードはバリエーションがあるので飽きない。が、何よりも魅力なのは、やはり最後のオチというか「葉桜を楽しもう」という強烈なメッセージだと思う。読み終えたときに勇気をもらえる。前向きに生きていこうと思える。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。タイトルがエモすぎて買った。最高にエモい一冊だった。

児童書・絵本

04. チョコレート戦争

チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)

チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)

  • 【概要】洋菓子屋の窓ガラスが突然割れた。店の前にいたのは子供達。彼らを犯人だと決めつける大人達。分からず屋の大人達に一泡吹かせようと子供達は作戦を立てる。
  • 【この本の魅力】児童書といえど、全員のキャラが立っていて読み応えがある。洋菓子屋のオーナーがどのような生い立ちで、どのような辛酸を舐めてきて、どのような思いでお店を立ち上げたのか。そんなエピソードまで描かれている。家庭電話や学校新聞が鍵になるのだが「たしかに小学生らしいな」と思った。
  • 【読んだきっかけ】絵本に関するWEBサービスを作ろうと思って、名作と呼ばれる児童書を探していたら見つけた。

05. 優しい人には優しい出来事がありますように

優しい人には優しい出来事がありますように。

優しい人には優しい出来事がありますように。

  • 【概要】Twitterで人気のイラストを書籍化。ほわほわしたキャラクターが、誰かのために何かをしている姿を描いている。
  • 【この本の魅力】真人間矯正器。激務でオラオラした後にそのままのノリが続くと人間関係を崩壊しかねない。この本を流し読みして「健全な人間が優しさを感じるというのはこういうことなんだぞ」「もっとほんわかしましょうね」と自分に言い聞かせるための一冊。サイコパスが婚活するときはこれ読んでから行けばいいと思う。
  • 【読んだきっかけ】イライラしたときに読む一冊として同僚におすすめされた。

ノベライズ

06. 小説 君の名は。

  • 【概要】田舎の女子高生と都会の男子高生が入れ替わってしまう話。
  • 【この本の魅力】好きなシーンを気軽にKindleで読める。男性・女性・田舎・都会と全属性を網羅していること、和風ファンタジー中二病的な要素が散りばめられていること、起承転結を何度か繰り返すジェットコースター型の展開であること、暴力・勝利ではなく危機回避型のシナリオということで、万人が受け入れやすく、しかも人によって「ここがいいよね」というポイントが違うのではないかと思う。映像・音響・声の魅力は損なわれてしまうが、それらを脳内補完できるならコストパフォーマンスは悪くないと思う。
  • 【読んだきっかけ】『秒速センチメートル』は書籍で補完される情報が多かったので、今作も同様の楽しみ方があるかなと思って読んだ。特になかった。

07. Just Because!

  • 【概要】高校3年の冬。男女5人の話。受験や卒業を目前に控えて、気持ちを伝えられずにいた。このまま時間が過ぎて、いずれ思い出になっていくのだろうか。それでいいのだろうか。地元に戻ってきた主人公とかつての親友は、そんなモヤモヤを振り払うために、ある勝負をする。
  • 【この本の魅力】青春。良い。高校3年の冬ね。分かる。分かるぞ。進路がバラバラになる。10代の終わりに差し掛かる。受験生なら緊張もある。冬の寒さもある。部活を引退して体を動かさなくなる。なんというか、こうモヤモヤする時期だよね。青春の1ページだよね。あの時のあの感じを味わいたい人はぜひ読んでみてください。真冬の校庭でバッティング勝負したり、初詣で受験合格を祈願したり、好きな人に会うために自転車をかっ飛ばしたり。恒例のイベントは一通り抑えているから。
  • 【読んだきっかけ】いわゆる深夜アニメのノベライズ。音響と台詞とカメラワークが良い。オタクアニメというよりジブリ新海誠氏に近いと思う。登場人物があえて気持ちを言葉にしない、という場面が多々ある。そのときの心情は映像作品では語られないまま。実際の人生みたいだ。その時々に思っていたことを全て伝えるわけじゃない。やがてその感情や記憶も薄れていく。なんだか切ないので「こいつはこの時に何を考えていたのだろう」と気になって小説版を買ってしまった。主役2人の心情は補完されていた。

コミック

08. ポプテピピック

  • 【概要】そんなものないです。
  • 【この本の魅力】勢い。
  • 【読んだきっかけ】インターン生からの献本です。メンターからインターン生への推薦書籍を指定してくれと言われたのですが、技術書を指定するのは面白くねぇよなということで本書を選んだ。推薦コメント欄に「勢いのある仕事をしてほしいと思っています」「遠慮せずに自ら周囲に働きかけることでチャンスを引き寄せましょう」と添えて申請。まさかの購入予算が降りてしまった。「ポプテピピックが予算で降りたらしいぞ」「メンターや管理職のノリが良いらしいぞ」と一部の優秀な学生エンジニアの間でひそかに話題になったとか。尖った若者はそういうの好きですからね。完全に作戦通りだ(ということにしておこう)!

当時の様子は以下の記事を参照。

yuzutas0.hatenablog.com

09. ハカイジュウ(全21巻)

  • 【概要】立川に閉じ込められた!恐ろしい生き物が人間を襲う!
  • 【この本の魅力】B級パニック作品。最初のほうは由緒正しい王道シナリオが続く。最後のほうは「どういう打ち合わせを経てこうなったんだ」という超展開が続く。酒を飲みながら読むとめっちゃ面白い。アルコールなしで楽しいかは分からない。
  • 【読んだきっかけ】定期的にB級パニック作品を摂取しないといけない体になってしまったため。

10. BMネクタール(全12巻)

BMネクタール 1 (少年チャンピオン・コミックス)

BMネクタール 1 (少年チャンピオン・コミックス)

  • 【概要】人々が当たり前のように食べている「肉」。ゴミ処理場で飼育されている「ある生き物」の肉。あらゆる有機物を栄養にして増殖するその生き物。もし何らかのトラブルで、その生き物が外に出てしまったら、人間でさえ……。
  • 【この本の魅力】由緒正しいB級パニック作品。ところどころで場面がガラッと変わる。B級映画だと続編が出る度にスケールが一気に大きくなるのと同じ。あの要領で読める。
  • 【読んだきっかけ】定期的にB級パニック作品を摂取しないといけない体になってしまったため。

WEB漫画

11. ふぞろいユモレスク(連載中)

https://ganma.jp/humoresque

  • 【概要】コミュ障女子とコミュ障男子の恋愛譚。最近はイケメン(地味)とイケメン(派手)がイチャイチャする場面が多い。趣があってよろしい。
  • 【この本の魅力】シュールなギャグが淡々と挟まれる。ツボな人はツボ。合わない人はおそらく合わない。
  • 【読んだきっかけ】エセ少女漫画マイスターとして密かに注目している作品。

12. おとぎのファルス

http://ganma.jp/otogi

  • 【概要】貴族と使用人の身分違いの恋から生まれた主人公。身寄りを失った彼女は、偶然知り合った肉屋(爽やかパパ)の世話になることに。しかし彼女を狙う暗殺者(イケメン)が送り込まれて……。
  • 【この本の魅力】悪役や脇役も含めて、登場人物全員をつい好きになってしまうような作品。
  • 【読んだきっかけ】上記作品と同じ作者の過去作品。

13. リアル胸キュン彼氏

http://seiga.nicovideo.jp/comic/21254

  • 【概要】乙女ゲームよろしく、イケメンたち(設定上)が何人か出てきて、ヒロインを取り合う。
  • 【この本の魅力】クソコラ好きには堪らない名作。ヒロインやモブは絵。だがイケメンたち(設定上)が、作者本人の写真になっている。自分で自分の写真を使ってイケメン漫画を展開しているのだ。天才か。バーチャルYoutubeが一時期流行したけど、そういう時代背景において、大きなポテンシャルを感じさせる。2次元と3次元の境界が曖昧になる異色の作品。
  • 【読んだきっかけ】何かでレコメンドされた。サムネイルを見て「これは読まなければいけない」と使命感を覚えた。

キャリア・人生

14. 人生の100のリスト

人生の100のリスト (講談社+α文庫)

人生の100のリスト (講談社+α文庫)

  • 【概要】著者が人生でやりたいことを100のリストに挙げて解説している。
  • 【この本の魅力】著者はいわゆるドロップアウト組だ。勝ち組ではない。だからこそドロップアウトした甲斐のある人生を送ってやろうという心意気でいる。風が吹くままに旅をするような人生。魅力的だ。本書をマネして自分なりにリストを書き出してみると面白い。欲望を書き記すことで、本当はどんな人生を歩きたいのか、自分で自分の心に気付けるようになる。
  • 【読んだきっかけ】キャリアに悩んだので、やりたいことの積み上げ式で人生を考えようと思いまして。

15. 死ぬ瞬間 - 死とその過程について【My殿堂入り】

死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)

死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)

  • 【概要】200人の末期患者へのインタビューをもとに「死の五段階仮説」をまとめている。
  • 【この本の魅力】死に近づいた人間が何を思うのか。何を心残りにするのか。同じ過ちをしないように何を心掛ければ良いのか。最高の死を迎えるために今日から何をすれば良いのか。死を知ることは、残りの人生をどう生きるかを考えることだと思う。
  • 【読んだきっかけ】キャリアに悩んだので、死ぬ瞬間から残りの人生を引き算で考えようと思いまして。

以下の記事でも言及した。

yuzutas0.hatenablog.com

16. SOFT SKILLS - ソフトウェア開発者の人生マニュアル【My殿堂入り】

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

あなたは好かれているか。友好的だろうか。親切で温かいか。前向きで協力的な態度の持ち主だと考えられているか、それとも容赦のない能力の持ち主だと考えられているか。背中、尻、脳、そして自分自身の手入れをしているか。25年以上コーディングをしている私に言わせれば、手入れしていないものは壊れるものである。

テレビゲームのコントローラを握ったら、落とし穴に落ちたり火の玉に飲み込まれたりせずにゲームに完勝できるなどとは思わないだろう。それならなぜ、失敗を経験せずに人生を生き抜けると思うのだろうか。

  • 【概要】アーリーリタイアしたソフトウェアエンジニアが、自身のキャリア戦略について解説している。
  • 【この本の魅力】給与交渉テクニックから恋愛指南に到るまで、ありとあらゆるライフハックを実践しようという本。全て含めてキャリアだ。全て含めて人生だ。だから全てをハックするということだろう。私たちはどうだろう。なんとなくアーリーリタイアしたいと思っているだけで、戦略・実践に繋がっていないことがほとんどだ。それでは目標を達成できない。そもそも目標設定が曖昧でマイルストーンさえ置いていない。なんとなくサービスを作っていたら、ある日突然成功することを夢見ている。そんなやつのサービスが成功する確率はゼロに近い。単価の高い案件を請けていれば安心だと思い込んでいる。景気が一度悪化したら節約生活に逆戻りだ。だから作戦を立てなければいけない。実現可能な作戦を。本書を読むとそう思える。
  • 【読んだきっかけ】キャリアに悩んだので、どうしたらアーリーリタイアできるかなと思いまして。

17. 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

下記エントリーを参照。著者からコメントをいただいた。

yuzutas0.hatenablog.com

伝記・人物エッセイ

18. 創造の狂気 ウォルト・ディズニー【My殿堂入り】

創造の狂気 ウォルト・ディズニー

創造の狂気 ウォルト・ディズニー

  • 【概要】7年間の取材をもとに、ウォルト・ディズニー氏の生涯を読み解こうとしている。
  • 【この本の魅力】まさに創造の狂気を追体験できる。勉強が嫌になったからこそ演劇やイラストを極める。都会が嫌になったからこそ田舎の古き良きアメリカを描画する。しまいにはアニメーションが嫌になってレジャー施設(ディズニーランド)を作ってしまう。現実が嫌だからこそ空想を追い求める。それゆえに不況や戦争で閉塞感に包まれていた人々の心を掴み、次々とヒット作を世に生み出していった。
  • 【読んだきっかけ】ウォルト・ディズニーみたいな奴に出会った。自分もこうなりたいと思ったので読んだ。

以下の記事でも言及した。

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19. ニコニコ哲学

ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち

ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち

一般的に、頭がいい人というのは、とても孤独なものです。だって、誰にも自分の本当のところをわかってもらえないんだから、そのことで傷ついたりしても、その気持ちを共有してもらえません。みんながバカに見えてしまうけど、そのことで相手を見下していると、さらに孤立してしまいます。

で、そういう頭がいい人の生き方は2つあるのではないかと思います。ひとつ目は、みんなを憎んで生きていく。もうひとつは、それでもみんなにやさしくする。川上さんは、後者を選んだ人だと思います。ニコニコという事業は、ドワンゴという会社は、そういう川上さんの「やさしさ」を体現したものではないかと思うのです。

  • 【概要】ドワンゴ創業者である川上量生さんが好き勝手に話すだけの本。
  • 【この本の魅力】好き勝手という言葉がしっくり来る。あとがきでは読者にさえ噛み付いている。「アイデアを出すことが企画ではない」「コミュニティ型のサービスにはライフサイクルがある」といった鋭いコメントもある。また「色々試したら結果的に繋がる」「やりたいという感情が先にあって理由は後でこじつける」といったスタンスにも言及しており、楽しそうで何よりですねという気持ちになる。
  • 【読んだきっかけ】「はじめに」の文章(上記引用)で「人生を楽しむために必要な考え方」を持ち続けているのだなと感じた。

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20. バッタを倒しにアフリカへ

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

彼女を浜辺で追いかけるように、群生相を執拗に追いかけ回し、逃げ惑うバッタたちと戯れる。なんと贅沢なひとときだろうか。怯えるバッタも愛おしい。しかしながら、この幸せな時間を私だけの思い出にしておいては、人類から妬まれる恐れがある。少しでも幸せをおすそ分けしなければ。そう、論文という形で。

毎月たくさんのバッタの論文が発表されてそのリストが送られてくるが、タイトルを見ただけで私はうんざりしてしまう。バッタの筋肉を動かす神経がどうのこうのとか、そんな研究を続けてバッタ問題を解決できるわけがない。誰もバッタ問題を解決しようなんて初めから思ってなんかいやしない。現場と実験室との間には大きな溝があり、求められていることと実際にやられていることには大きな食い違いがある」

被害は聖書やコーランにも記され、ひとたび大発生すると、数百億匹が群れ、天地を覆いつくし、東京都くらいの広さの土地がすっぽりとバッタに覆い尽くされる。農作物のみならず緑という緑を食い尽くし、成虫は風に乗ると一日に100km以上移動するため、被害は一気に拡大する。地球上の陸地面積の20%がこのバッタの被害に遭い、年間の被害総額は西アフリカだけで400億円以上にも及び、アフリカの貧困に拍車をかける一因となっている。

  • 【概要】バッタ好きな著者がアフリカに乗り込んでバッタの群れを研究する。
  • 【この本の魅力】日本よりも農作物被害が深刻なアフリカで研究したほうが予算が取りやすいとか、野生のバッタを観察すると研究室では得られない情報を山ほど得て論文を書きやすいとか、肝心のバッタが全く出てこないので代わりに別の昆虫を研究して当面の実績を出したりとか、その別の昆虫の研究が巡り巡ってバッタの調査に役に立ったりとか。リアルな課題に直面して、作戦を立てて乗り越えていく。そんな様子が描かれている。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。知人が学会発表をしているのを見て、自分も何かしたいなと思いながら読んだ。世界を旅して研究するのは憧れますね。鋼の錬金術師っぽさ。

以下の記事でも言及した。

yuzutas0.hatenablog.com

21. 人生エロエロ

調べてみるとパンティの歴史は古く、紀元前3000年頃が起源とされる。

そもそも男というものは太古の昔から女に褒めてもらうためだけに実力を発揮してきたんでしょ。本当は怖くて仕方ないくせにマンモスを獲りに行ったのも、「あなたならきっと獲れるはずよ」とか、「帰って来たらギュッとしようね♥」とか、おだてられたからこそ旅に出たに決ってる。

「なあ、今から見に行かへんけ? カーセックス」 いきなりの誘いに躊躇したが、興味は十分にあった。「でも、どこにいるねん? そんな車」「樹液がな、いっぱい出てるところに集まっとるもんや」

  • 【概要】「マイブーム」「ゆるキャラ」などの言葉を作った、みうらじゅん氏のエッセイ。
  • 【この本の魅力】「人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた」から始まるアホエピソードの数々。ひたすら話が斜め上に飛んでいく。読んでいると肩の力が抜ける。まるで中高生が夏合宿の夜にバカ騒ぎするような内容が延々と続く。いいっすね〜。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。会社の先輩が絶賛していたのを思い出して読んだ。

22. 天才たちの日課

天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々

天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々

  • 【概要】クリエイティブな実績を残した161人の生活を調べてまとめている。
  • 【この本の魅力】1日にどのくらい作業をするのか。運動や食事や睡眠にどのようなこだわりがあるのか。生活のあり方は十人十色で面白い。参考にしたくなるエピソードも多々ある。例えば、不規則な生活をしていた作家や芸術家の中には「結婚・出産を機に生活態度を改めたところ生産性が上がった」と述べている者が多い。読んでいて思ったのは、どんな天才と呼ばれる偉人であっても、24時間365日は平等に与えられているということだ。彼ら・彼女らは偶然や運で成功したわけではない。超人的な集中力や事務処理力があったわけでもない。当たり前だ。同じ人間だ。だから私たち凡人でも、きちんと作戦を立てて、週5日・毎日7時間・1つのことに打ち込むならば、きっと成功できるはずだと思えた。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。

23. デベロッパーのキャリアと働き方を語ろうvol.1

創業してから五十六年目になる日本の会社なんですけども、その中で新しくネット系のエンジニアの組織をつくっていくというのは、すごくチャレンジングなことかなと思って。それがもしもできるのであれば、いろんなほかの日本の大企業でもできる可能性があるかなと思って、それを成功事例として横展開していきたいなという思いがありますね。

力がある人はすごくいるのに。一部のネットベンチャーとか、ネット系の大きな企業は、ちゃんと働きやすい環境や制度を用意しているけれども、ほかの日本に昔からある会社はそこまで変わり切れていないところがあって、そういったところで何か、学校で育成したはいいけども、その人が活躍できる社会の場所を用意してあげるのは、大人の役目かなというのをすごく感じて。

  • 【概要】キャリアや働き方についてデブサミ関係者3名にインタビュー!
  • 【この本の魅力】前を歩く先輩たちの人生にほんの少しだけど触れられる。インタビュー形式なので、本人が都合の良いように脚色するのではなく「自分で気付いていないかもしれませんけど、こういうところ昔と変わりましたよ!」といったツッコミも入る。本音とかごまかせない部分も含めて、リアルな言葉を聞いているのだなと思った。業界を代表する人たちが何を考えてどういうキャリアを歩んできたのか。彼らの言葉を読むことで「自分は何を大切にしていきたいのか」と考えさせられる。
  • 【読んだきっかけ】著者の1人にキャリア相談したらオススメされたので読んだ。

旅行・カメラ

24. まりこふんの古墳ブック【My殿堂入り】

まりこふんの古墳ブック

まりこふんの古墳ブック

  • 【概要】古墳や埴輪を解説している。写真やイラストが豊富で文章も読みやすい。
  • 【この本の魅力】古墳ビギナーが最初に読むべき1冊。著者なりの味わい方が伝わってくる。空中撮影でなければ地表からはよく分からない古墳も多い。初心者が味わうのは正直難しい。一方で、埼玉古墳群や吉見百穴石舞台古墳キトラ古墳など、初心者が訪れてすぐに楽しめる古墳もある。「こんなところがあったんだ!」と気付ける。ちなみに、埴輪や装飾品はあの世に持っていくためのものだ。当時の人間が思い描く「あの世」は、当時の「この世」の影響を少なからず受ける。つまり埴輪や装飾品を見ると、当時の価値観や生活感を読み取ることができるのだ。古墳や埴輪を知ることで、1000年以上前の人たちの暮らしを想像できるようになる。なかなかロマンチックだ。
  • 【読んだきっかけ】私の中で空前絶後の古墳ブームが到来したので読んだ。

以下の記事でも言及した。

yuzutas0.hatenablog.com

25. 歴史読本「古代最強の豪族 蘇我氏

  • 【概要】蘇我氏(稲目・馬子・蝦夷・入鹿)4代の台頭から滅亡を読み解く。
  • 【この本の魅力】歴史の教科書において蘇我氏は「大化の改新」で討たれる存在でしかない。しかし実際には飛鳥文化を担う主要な一族だった。渡来人を束ね、大陸技術や仏教を積極的に導入。天皇家との婚姻関係を次々と結び、皇族の一員に成り上がる。聖徳太子を支える大臣として、古代日本の政治制度の基礎を築く。権力を握るにつれて分家が反発心を抱くようになる。中大兄皇子中臣鎌足蘇我家の内乱を煽ることで、要人を次々と始末していく。まるで映画のようにスリリングな展開だ。和風ファンタジー妄想勢としてはよだれが出る。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。石舞台古墳キトラ古墳をはじめとして、飛鳥の遺跡群を見学するに当たって読んだ。

26. 温泉の科学 - 温泉を10倍楽しむための基礎知識

  • 【概要】温泉の分類・分布・効能・利用法(例:飲泉や蒸気浴)・起源・文化などを一通り知ることができる。
  • 【この本の魅力】温泉ソムリエを取りたいな〜と一瞬でも思ったら読んでおいて損はないはず。Kindleなら安価でお手軽に読むことができる。ちょっと書き方がお堅い気もするが、真剣さや丁寧さは伝わってくる。まるで田舎の温泉で年配の方に教えてもらっているような気持ちで読むことができる。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。和歌山は熊野古道、山奥にある日本最古の温泉に行った。私はそのくらい温泉が好きだ。ということで、嗜む程度に読みましたとさ。

27. あの雲なに?がひと目でわかる!散歩の雲・空図鑑

  • 【概要】写真を見ながら雲の分類(十種雲形)を知ることができる。
  • 【この本の魅力】空を見上げるじゃないですか。雲を見つけるじゃないですか。どんよりしているとか、綺麗だなとか、可愛らしいとか、そういう感想くらいは抱くかもしれない。何も知らないとそこで終わり。だけど、雲について少し知るだけで「これはこういう雲なんだな」とか「これくらいの高度に浮いているのだろうな」とか「こういう気象条件だから発生しているのかな」とか、一歩踏み込んで想像することができる。ちょっとだけ世界が広がる。ちょっとだけ世界の秘密に触れられる。日常の小さな冒険ができる。そういうのどうですか。たまには悪くないと思いませんか。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。風景写真の一環として、空や雲をたまに撮影する。せっかくなら基礎知識くらいは知りたいなと思って読んだ。

28. 世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書

世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書(改訂版)

世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書(改訂版)

  • 【概要】テーマ(主題・副題・構図)→カメラ設定(絞り:速度・露出:明度)→光線(順光・逆光・半逆光)→色彩(ホワイトバランス・仕上がり加工)の一連の流れをご紹介。
  • 【この本の魅力】本書の冒頭はリンゴの写真から始まる。ただのリンゴ。にも関わらず、撮り方を変えることで、写真の雰囲気は全く違うものになる。何ページにも渡って、これでもかとリンゴ写真のバリエーションを叩きつけられる。今の自分が、同じようにリンゴを買ってきて、同じようにバリエーション豊かな写真を撮れるだろうか。自分が好きなテイストを表現できるだろうか。カメラの性能や被写体の良さではない。ましてやセンスや才能でもない。本書の魅力は「プロが使う高度な技法」ではなく「ちょっとの工夫でこんなに変わりますよ」を紹介している点だ。ミーハーな趣味フォトグラファー(自称)には最高だと思う。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。型落ちのカメラを安価で買って、とりあえず楽しみながら2万枚以上撮った。そろそろ基礎知識を仕入れようと思って読んだ。

スポーツ・運動

29. コーチは教えてくれない水泳のコツ

コーチは教えてくれない水泳のコツ (ぷち文庫)

コーチは教えてくれない水泳のコツ (ぷち文庫)

  • 【概要】平泳ぎは足で前に進むとか、クロールは腕で前に進むとか、初心者が意識すべきポイントを説明している。
  • 【この本の魅力】泳ぎの方程式を知ることができる。泳ぎとは水中において「前に進むこと」だ。「距離」=「推進力」ー「抵抗」だ。「体力」を消費して、手や足を動かすことで「推進力」を得たり、姿勢を維持することで「抵抗」を抑える。「体力」を配分して「距離」「速度」「時間」の目標達成を目指す。健康維持のために25mプールを10往復するなら、それはまさに「距離」の目標設定だ。これらの方程式を抑え、自分の泳ぎのどこに課題があるのかを把握した上で「これは推進力を得るための動きだ」とか「これは抵抗を抑えるための動きだ」と考えながら、本書の泳ぎのテクニックを読んでみてはいかがだろうか。泳ぎ方の試行錯誤を楽しめるようになるだろう。
  • 【読んだきっかけ】安価だった。健康維持のために時折泳ぐのだけど、他の泳法に比べてクロールがやたら疲れるので、フォームを直すべしということで読んだ。

30. 筋トレが最強のソリューションである

筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法

筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法

  • 【概要】筋トレが最強のソリューションであるという話が延々と続く。
  • 【この本の魅力】筋トレには2つのメリットがある。1つ目は身体的なメリットだ。エネルギーを消耗すると、お腹が空くし、眠くなる。必然的に健康的な生活を取り戻せる。2つ目は精神的なメリットだ。筋肉への負荷を徐々に増やして小さな成功体験を積み上げる。意志力で気分に打ち勝つのだ。これらを習慣化すると、成功体質を身に着けることができるので、社会生活にとって有益だ。ということを、熱い言葉で打ち込んでくれる。
  • 【読んだきっかけ】ジムに通い始めたという話をしたら、同僚にオススメされたので読んだ。

技術書典

31. はじめての技術書ライティング

はじめての技術書ライティング―IT系技術書を書く前に読む本 (NextPublishing)

はじめての技術書ライティング―IT系技術書を書く前に読む本 (NextPublishing)

  • 【概要】由緒正しい技術書を執筆するための全てが詰まっている。きちんとした出版向け。
  • 【この本の魅力】推敲で注意するポイントなどが細かく書かれている。ソフトウェアのインストール手順はWindows環境を前提としてキャプチャを撮ったほうがいいよ!といった具合だ。たしかに初心者向けに丁寧に執筆するというのはそういうことだよなぁと思った。知っておくべき情報だ。タイトルから想像するよりも粒度が細かいので、本を書き始める前に読むのではなく、ドラフトを書いた後のチェックリストとして使うのが良さそうだ。
  • 【読んだきっかけ】技術書典に出したいと思ったので、何人かヒアリングして自分なりに考えをまとめてから読んだ。

32. 技術同人誌を書こう

技術同人誌を書こう!  アウトプットのススメ (技術書典シリーズ(NextPublishing))

技術同人誌を書こう! アウトプットのススメ (技術書典シリーズ(NextPublishing))

  • 【概要】由緒正しい技術同人誌を執筆するための全てが詰まっている。同人誌ならではの作法を学べる。
  • 【この本の魅力】ネタ出し・表紙・執筆環境・印刷・イベント設営・販売・収益&税金などなど。出典者が公開しているブログ記事を漁ると、どうすればいいのか何となくはイメージできるが、まとまった情報という意味では本書が頭一つ抜けている。技術同人誌を書くなら一度は目を通すのが良いと思う。
  • 【読んだきっかけ】技術書典に出したいと思ったので、何人かヒアリングして自分なりに考えをまとめてから読んだ。

33. 電子書籍を無名でも100万部売る方法

電子書籍にとって必要なのは「上手さ」よりも「インパクト」だ。 そもそも、素晴らしい書籍とは一体何か? それは各個人の主観に依存する。あなたの書籍は、世界中の誰もに認めてもらう必要はない。特定の読者に届き、満足してもらえれば良いのだ。

「特定の読者に向けて執筆」し、「彼らを集客する方法」が分かれば、自ずと成功できるのだ。

本書の手法は一過性のテクニックではない。今後、何十年にもわたり活用できる方法である。なぜなら、あくまで読者との信頼関係を構築することを目的としているからだ。これはビジネスの原理原則でもある。人は、信頼している人からモノを買う。紙に書いて机に貼っておいても良いぐらい重要なコンセプトだ。

インディーズ出版とはつまり、あなたに共感する仲間を探す活動のことです。単なる販売活動ではないのです。実践すればするほど仲間は増え、あなたの電子書籍も売れていきます。

  • 【概要】100万部を達成した著者が実際に採用した戦略・戦術。
  • 【この本の魅力】ニッチ&共感を切り口に、コンテンツ(ブログ)とチャネル(SNS)を活用して、読者との信頼を築くマーケティング手法。 ニッチなテーマだからこそ有名サイトや著名人が注目・共感してくれる可能性もある。 彼ら・彼女らが本を紹介してくれたりインタビューに応じてくれるとブログや販売サイトへの流入数は跳ね上がる。 そうしたイベントで流入数を非連続に伸ばしつつ、SNSやメーリスで読者を囲い込んで着実にリテンションしてもらう。 感想・フィードバックに目を通してニーズを分析して、既存書籍を加筆・修正したり次の出版書籍に反映する。 まさにグロースハックだ。
  • 【読んだきっかけ】電子書籍を無名でも100万部売りたいと思ったので読んだ。

WEBメディア運営

33. ブログ飯 - 個性を収入に変える生き方

ブログ飯 個性を収入に変える生き方

ブログ飯 個性を収入に変える生き方

私の最初の成功パターンは「新しい商品/サービスがリリースされたら誰よりも早く、誰よりも詳しく、誰よりも多くの情報を提供する」という単純な原理でした。文字で読むと当たり前のように感じるかもしれませんが、当時のインターネット上では意外とこんな単純なことをやっている人が少なかったのです。だからこそ、単純なことでも徹底的に行動することによって、そのジャンルで頭一つ突き抜けることができたのだと自負しています。

あなたの「仕事や趣味で得た知識や経験」というのは、あなたにとっては当たり前のことでも、知らない人・その情報を調べている人にとってはとても有益な情報になります。自分が経験し理解しているものですから、その内容を分かりやすく、自分の表現方法で、できれば事例を交えて解説してあげれば喜んでくれる人は必ずいます。特にマニアックなテーマや狭い範囲に絞ったテーマを取り扱うことにより、簡単にその分野の第一人者になることができるわけです。

自分の好きなテーマで書けば、自然と記事の本数は増えますし、それに伴って自動的に関連するキーワードは増えていきます。有益な情報が載っているブログであれば、いろいろな場所でその記事はシェアされ、自動的にリンクも増えていきます。

  • 【概要】自分の好きなことを掘り下げて、他の人に役立てるつもりで情報発信していこう!小遣いくらいは稼げるよ!
  • 【この本の魅力】この本を読んで思ったのは「家計簿駆動」執筆というコンセプト。家計簿Webサービスを見ると、何にお金を使っているのかが分かる。旅行とか、カメラとか、書籍とか、食事とか。そこに記されているのは、自分がお金を使ってまで得たかった体験だ。きっと他にも同じような人がいるのではないか。その体験・商品を紹介してはどうだろう。趣味に使うお金。ブログで収益が出るなら事業だ。(妥当な範囲で)取材費用として経費計上すればいい。そのくらいのモチベーションで始めるのはアリじゃないかな。
  • 【読んだきっかけ】放置しているサイトの収益が落ちてきたので、新しいサイトでも作ろうかなと思って読んだ。

34. 沈黙のWEBライティング【My殿堂入り】

  • 【概要】ゴール設定→想定検索キーワードで上位表示されている既存サイトを分析→サイト訪問者に対する提供価値を定義する→コンバージョン向けの記事・知識を啓蒙する記事・リンク獲得しやすい記事を作る→読みやすい文章の法則やシェアされやすい見せ方を意識して記事をブラッシュアップする→アクセス解析ツールを見ながらサイト全体をブラッシュアップする。
  • 【この本の魅力】オウンドメディアやWEBコンテンツの運営に必要な知見が詰まっている。あれこれ読み漁るくらいなら、まずはこの1冊をバイブルにして、愚直に施策に取り組むのが良いと思う。
  • 【読んだきっかけ】放置しているサイトの収益が落ちてきたので、新しいサイトでも作ろうかなと思って読んだ。

金融投資・節税

35. 投資で勝ち続ける賢者の習慣

投資で勝ち続ける賢者の習慣

投資で勝ち続ける賢者の習慣

本書の目的は、「金融資産を市場で増やすこと」ただ一つ。

全体の動きに応じて投資するのだ。全体の動きに逆らってはいけない。また、森の中をかき分けていって、木の中をかき分けてその下の草を見る、その下の苔を見るというような緻密なこともやらない。つまり、細密な分析もしない。大雑把でいいのである。成功している者は、たいていは大雑把である。大局を読むことが肝要なのだ。

賢者にとっては、原理原則を持たない二流、三流投資家の狼狽売りは、好個のバーゲンセールであり、熱狂買いは絶好の利食い好機である。二流、三流が多くいてくれるほど、市場は一流投資家にとってはいともやすい「狩り場」である。暴落局面でパニックに陥った愚者が、先を争って投げ売りすることが、市場にはときどきある。自分の株が買値よりも大幅に下がっているにもかかわらず、さらなる下げの恐怖が正常な判断を失わせる。一刻も早く手放さなければ、不安で仕方がない。このとき、テクニカルなケイ線上から見ても、実体価値の分析から見ても、明らかに不自然な割安現象が生ずる。これこそ、賢者にとっては絶好の安値買いの好機である。

  • 【概要】著者は40年で6回の景気変動を体験し、その度にチャンスを掴み財を築いた。その際の投資ポリシー・手法を述べている。
  • 【この本の魅力】圧倒的な説得力。今すぐ儲けるための本ではない。3年後に大金持ちになるための本でもない。長い人生において、しかるべき時に、しかるべきマーケットで、しかるべき手を売って、しかるべき利益を得るための本だと思う。自分のクセと向き合いながら、無理を捨てて理を取ることができるように、自分自身を習慣付けていく。そういう地道な戦いをするための本。
  • 【読んだきっかけ】自分の投資ポリシーを整理したいと考えて、考え方が近そうな本を探して読んだ。今年の例を1つ挙げると秋にLenovoの株価が急落したが、ファンダメンタルズ影響なしですぐ戻ると読み、ニュースが投資家に広まるのを待ってから底値付近で買ったところ、見事に1ヶ月で15%上がった(下落前の水準に戻った)ので利益確定した。安く買って相場で売るが鉄則だと思う。

36. はじめての確定拠出年金投資

はじめての確定拠出年金投資

はじめての確定拠出年金投資

  • 【概要】老後に備えて非課税枠を上手く利用して超長期投資をしようね!
  • 【この本の魅力】上限が決まっているので目一杯掛けたほうがいい。超長期投資なので年単位で経済状況を読んでアセット・アロケーションを組み替える。リスク許容度と他の資産ポートフォリオを考慮して個人資産運用全体方針を決める。給与所得が日本円なので全体のバランスを考えると外国資産に投下するのもアリ。非課税枠を考慮すると新興国資産や株式といった相対的にリスクの高い資産に投下するのもアリ。などなど、検討すべき事柄を知ることができる。実務観点だと、どの口座が良いのかとか、老後にどう切り崩すのか、といった手順が丁寧に説明されている。
  • 【読んだきっかけ】同僚と資産運用の話をしてDCの存在を思い出した。完全に失念していた。慌てて1冊読むことにした。

37. 個人事業の経理と節税のしかた

  • 【概要】開業、帳簿付け、外注/雇用、決算書、確定申告。一連の流れを解説してもらえる。
  • 【この本の魅力】Amazonで購入可能な類似本の中では最安値。この1冊で十分。イラスト・図解・平易な言葉で分かりやすい。話が複雑になったら税理士さんにお願いせざるを得ないので、個人が読む本としてはこれ以上のクオリティは不要だと思う。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。税理士さんに丸投げスタイルだったけど、週末フリーランスにデビューしたのをキッカケにして読んだ。

不動産投資

38. 不動産投資 最強の教科書【My殿堂入り】

  • 【概要】そもそも不動産とは何か、どう物件を選ぶか、どうローンを組むか、どう賃貸経営するか、どう売り抜くか。一連の流れを教えてもらえる。
  • 【この本の魅力】Q&A形式で気になる論点をピンポイントに突いてくれる。それぞれのフェーズで具体的に何をすれば良いのか。どこに気をつけると良いのか。それはなぜなのか。アンチパターンを回避しながら勝ち筋を模索するために、最低限必要だと思われる情報を提示してくれている。
  • 【読んだきっかけ】SOFT SKILLSを読んで不動産投資に興味を持ったので、何人かヒアリングして自分なりの考えをまとめてから読んだ。

39. 借金ゼロで始める「都市部一戸建て」投資法

借金ゼロで始める「都市部一戸建て」投資法

借金ゼロで始める「都市部一戸建て」投資法

  • 【概要】実体験を踏まえた著者なりの勝ちパターンが書いてある。
  • 【この本の魅力】現実的かつ実践的で良いと思う。郊外で最寄り駅まで自転車で移動できるなら、ペットやガーデニングや子育てで中古一戸建ての需要はある。価格交渉して安く購入して、ポイントを絞って最小コストで見た目をリフォームして、相場通りもしくは少し高めで貸し出そう。購入時の価格交渉の材料としては、物件や土地の抱える問題点(リフォームの必要性)、物件を立て直すときの問題点(面積が小さくなる)、売主のニーズに即した提案(現金一括払い)といった要素を提示しよう。誠意と戦略を持って正しく交渉しよう。といったことが書いてある。
  • 【読んだきっかけ】メルカリのクーポンで購入。どうシミュレーションしても、都内23区のマンション購入だとインカムゲインが赤字になるので、他のパターンを検討するために読んだ。

40. まずはアパート一棟買いなさい

  • 【概要】人が1人でも引っ越してくる地域ならば!努力次第でどうにかなる!どうにかするのだ!その過程で事業経営スキルを磨くのだ!的な本。
  • 【この本の魅力】不動産投資による不労所得を確立するには、銀行融資でレバレッジを掛けて、取り扱うキャッシュフローの規模を2-3年ごとに伸ばす必要がある。逆説的だが、それだけのスケールを狙うには、まず最初のキャッシュフローを獲得するところから始めないといけない。購入費用が低く戸数の多いアパートで高利回りを実現するのは王道手段だ。当然ながら空き室を始めとしたリスクがある。いかにそれらのリスクをコントロールするかが事業経営の肝になる。本書はアパート経営における一連のリスクと向き合うための情報を提供する。
  • 【読んだきっかけ】どうシミュレーションしても、都内23区のマンション購入だとインカムゲインが赤字になるので、他のパターンを検討するために読んだ。

マッチングサービス

41. ビッグデータの残酷な現実

  • 【概要】マッチングサイト「OKQupid」創業者がオンラインのデータを活用して人々の行動を分析する。
  • 【この本の魅力】男女の年齢の好み、長続きするカップルの交友関係(共通の友人は多いか)、人種の好み、自己紹介文・SNS投稿内容・検索キーワードの特徴、行政における地域区分とサイト上でマッチングする(実際にユーザーが行動する)地域区分のズレ。こうしたテーマについて、データの集め方・読み解き方・社会的トピックを交えて述べている。やや冗長な表現も出てくるが、元はブログなので1つ1つのトピックはライトで読みやすいと思う。米国の当時のデータ分析ブームを象徴する1冊でもある。
  • 【読んだきっかけ】出張先(アメリカ)におけるカスタマー行動の特徴を把握しておこうと思って読んだ。

yuzutas0.hatenablog.com

42. 愛を伝える5つの方法【My殿堂入り】

愛を伝える5つの方法

愛を伝える5つの方法

人間の最も基本的な感情的欲求は、恋に落ちることではなく、心から愛されることです。そして本能ではなく、理性と選択から生じる愛を知ることです。私たちが本当に必要としていること、それは、私たちを愛することを選んでくれる人、私たちの内に愛に値するものを見出してくれる人に愛されることなのです。 そのような愛は、努力と献身を必要としています。これは、相手の益になるためにエネルギーを費やすことを選ぶ愛です。あなたの努力によって相手の人生が豊かになり、そうすることであなた自身も満足感を得ることを理解している愛です。

1 配偶者がすること、またはしないことで、あなたが最も深く傷つくことは何ですか。その正反対があなたの愛の言語でしょう。 2 配偶者に最も願ってきたことは何ですか。あなたが相手に一番頻繁に懇願してきたことが、おそらくあなたの愛の一次言語でしょう。 3 いつもどのような形で配偶者への愛を表現していますか。あなたは、自分自身が「こうしてもらうと愛されていると感じる」ことと同じことをして、相手に愛を表現している可能性があります。

  • 【概要】5つの分類にもとづいて、パートナーが「愛されている」と実感できるように、好意の伝え方を模索していきましょう。
  • 【この本の魅力】互いに好意を伝え合うことで、お互いの信頼は積み重なる。しかし、好意の伝え方は人によって違う。言葉で愛を表現されないと不安に思う人。プレゼントを喜ぶ人。そばにいて触れ合うことを重視する人。自分がよかれと思った伝え方がパートナーが望む伝え方と違えば2人の好意はすれ違ってしまう。回避できるはずの不本意な別れを2人の意思で乗り越えていこうというメッセージが込められている。夫婦がやり直していくエピソードの数々は「Give」がいかに美しい行為であるか教えてくれる。熟年離婚しそうな夫婦を想定した本だが、まだ付き合っていない人にも当てはまるし、友情や仕事における人間関係構築にも通用しうる内容だと思う。
  • 【読んだきっかけ】出張先(アメリカ)で結婚相談所の経営者にオススメされたので読んだ。

以下の記事でも言及した。

yuzutas0.hatenablog.com

43. 損する結婚 儲かる離婚

損する結婚 儲かる離婚(新潮新書)

損する結婚 儲かる離婚(新潮新書)

  • 【概要】離婚時に生じる費用を解説して、金銭観点から最適な結婚戦略を検討した本。
  • 【この本の魅力】主な費用は慰謝料(互いに相手の有責を訴訟しあう)、財産分与(結婚した後の貯金を分配する)、婚姻費用(離婚成立までの生活を支える)、養育費(共同で子供のために負担する)の4種類。慰謝料だけではないので、総額としてはフロー所得の多い方が支払い続ける構造。最悪の場合には不倫・托卵された挙句に生活の面倒を見続ける構造。離婚が当たり前の社会において、金銭面だけに注目するなら「自分より給料の高い相手と結婚する」「これから稼ぎそうな人と結婚する」が最適解。防御側は「稼いだあとに結婚する」「愛人関係や婚外子にする」が最適解。といった内容。えぐい。
  • 【読んだきっかけ】同僚が「稼ぐつもりがあるなら結婚しないほうがいい」と強く主張するので、どういうことだろうと思って読んだ。

プログラミング・エンジニアリング

44. 恋するプログラム Rubyでつくる人工無脳

下記エントリーを参照。

yuzutas0.hatenablog.com

45. 宇宙船地球号操縦マニュアル

宇宙船地球号操縦マニュアル (ちくま学芸文庫)

宇宙船地球号操縦マニュアル (ちくま学芸文庫)

  • 【概要】現代における生態・歴史・経済・科学・デザイン・テクノロジーのあり方を見直そうとする古典的名著。
  • 【この本の魅力】人間は物事を包括的に捉えることができる。実験と発明を繰り返してきた。冒険と思索を繰り返してきた。生き残るためにありとあらゆる知恵を手に入れてきた。経験から帰納的に学び、演繹的に再配置することで「より少ないものでより多くのことをなす」術を身につけてきた。資源→製品→富を作り出す技術だ。しかし科学の進歩が早すぎて、スペシャリストばかりが増え、全体をデザインできる存在がいなくなってしまった。だからこそ人類社会は個別最適に陥り、環境汚染や戦争、エネルギー問題を抱え続けている。こうした世界観と問題意識を掲げるバックミンスター・フラーは、人類のための工業開発として「エネルギー効率が既存に比べて向上する」「全作業工程をパッケージ化した」「地球上どこでも使える」ものとして「ダイマクション展開ユニット」などのプロダクトを提唱。多くの工業デザイナーに影響を与えてきた。そのコンセプトに触れる一冊だと思う。
  • 【読んだきっかけ】部分的には読んだことがあったので改めて通読。

データ組織運営

46. マネジメント [エッセンシャル版] - 基本と原則【My殿堂入り】

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

  • 【概要】現代社会における組織・マネジメントのあり方を述べている。自分なりに1枚の絵にまとめてみたのだけど、密度が濃すぎて未読者には意味不明なので、「ドラッカー図解」というWEB記事を読んでいただくと分かりやすい。
  • 【この本の魅力】文句なしの名著。人・組織・社会・顧客・事業とそれぞれの関係性について網羅的に解説している。私たちは時に労働者として、時に消費者として、何らかの形で経済に影響を与え、何らかの形で経済から影響を受けている。こうしたビジネスを取り巻くありとあらゆる要素がどのような力学で作用しているのか、リアリティのある各論まで事細かに述べている。日々の仕事で試行錯誤している人間ならどの立場であっても何かしら気付きを得られると思う。しかも耳の痛いことが結構書いてある。自分が成長して物事の見方が変わったら、この本から得られる学びもきっと変わるだろうと思う。立場が変わったら読みたい。躓きそうになったら読みたい。失敗したと思ったら読みたい。まさに名著。
  • 【読んだきっかけ】データ組織を立ち上げて、組織運営の難しさを痛感した。前に執行役員直下でエンジニア部署を立ち上げたときのことを思い出した。そのとき彼はこの本を何度も読んでいると言っていた。同じような課題で私も悩んでいる。ついに読むべき時が来たと感じたので読んだ。

47. 最強のデータ分析組織

最強のデータ分析組織 なぜ大阪ガスは成功したのか

最強のデータ分析組織 なぜ大阪ガスは成功したのか

  • 【概要】大阪ガスのデータ組織を紹介している。
  • 【この本の魅力】データ組織運営における代表的な1冊。メンバー全員に読んでほしい。個人的に好きなのは現場密着スタンスであること。良い意味で泥臭い。ついついデータ分析という言葉に踊らされがちだけど「何か特別なインサイトを見つけること」だけが仕事だとは限らない。多くの企業だと、そもそものデータが揃っていなかったり、数字を元に判断するという当たり前ができていなかったりする。組織フェーズや現場課題によって求められるデータ分析組織のあり方は違ってくるはずだ。
  • 【読んだきっかけ】データ組織の業務定義の参考にした。

48. 本物のデータ分析力が身に付く本(流し読み)

本物のデータ分析力が身に付く本 (日経BPムック)

本物のデータ分析力が身に付く本 (日経BPムック)

  • 【概要】大阪ガスのデータ組織を紹介している。
  • 【この本の魅力】『最強のデータ分析組織』を読めばいいと思う。
  • 【読んだきっかけ】データ組織の業務定義の参考にした。

49. 会社を変える分析の力(流し読み)

会社を変える分析の力 (講談社現代新書)

会社を変える分析の力 (講談社現代新書)

  • 【概要】大阪ガスのデータ組織を紹介している。
  • 【この本の魅力】『最強のデータ分析組織』を読めばいいと思う。
  • 【読んだきっかけ】データ組織の業務定義の参考にした。

50. データ解析の実務プロセス入門(流し読み)

データ解析の実務プロセス入門

データ解析の実務プロセス入門

  • 【概要】タイトル通り。解析(意思決定支援)のプロセス。
  • 【この本の魅力】良い意味で泥臭い部分をきちんと書いている。好き。初心者にも読みやすいと思う。
  • 【読んだきっかけ】データ組織の業務定義の参考にした。

51. 仕事で始める機械学習(流し読み)

仕事ではじめる機械学習

仕事ではじめる機械学習

  • 【概要】タイトル通り。ML(ソリューション)のプロセス。
  • 【この本の魅力】機械学習をなるべく使わない方法まで書いてある。好き。初心者にも読みやすいと思う。
  • 【読んだきっかけ】データ組織の業務定義の参考にした。

52. データ分析プロジェクトの手引き(流し読み)

データ分析プロジェクトの手引: データの前処理から予測モデルの運用までを俯瞰する20章

データ分析プロジェクトの手引: データの前処理から予測モデルの運用までを俯瞰する20章

  • 【概要】解析・MLを網羅してプロジェクトの進め方が書いてある。
  • 【この本の魅力】網羅性は高いと思う。他の書籍は現実を踏まえた上で「こうなっちゃいますよね」「こうすると良いですよね」「まずはここを抑えましょうね」といったニュアンスが強いのだが、本書はあるべき像を描いているように読み取れた。海外はプロジェクトの進め方がかっちりしているのだろうか。本書をざーっと読むと今のチームやプロセスで何が欠けているのか可視化できる。その上で必要なら補えば良いし、補う必要がないと判断するならそれでも良いだろう。マネジメント担当にとって重要なのは、自分たちに欠けているものまで正確に把握した上で、合理的な意思決定をすることだと思う。
  • 【読んだきっかけ】データ組織の業務定義の参考にした。

53. Head First データ解析(流し読み)

Head Firstデータ解析 ―頭とからだで覚えるデータ解析の基本

Head Firstデータ解析 ―頭とからだで覚えるデータ解析の基本

  • 【概要】ひたすら手と頭を動かすための書籍。
  • 【この本の魅力】超初心者はこの本から始めれば良いと思う。手を動かさずに座学で話を聞いたり本を読んでも、何となく分かった気になるだけで、実際には何も身につかないだろう。かといって、自分が思いつく程度のささやかな集計・分析をブログに上げるだけでは、なかなかストレッチしたスキルアップには繋がらない。解説付きの課題をひたすらこなすところから始めるのが良いだろう。王道ゆえに強力だ。
  • 【読んだきっかけ】新人研修や育成メニューを設計するための参考にした。

yuzutas0.hatenablog.com

54. デザイン組織のつくりかた(流し読み)

デザイン組織のつくりかた デザイン思考を駆動させるインハウスチームの構築&運用ガイド

デザイン組織のつくりかた デザイン思考を駆動させるインハウスチームの構築&運用ガイド

  • 作者: ピーター・メルホルツ,クリスティン・スキナー,長谷川敦士,安藤貴子
  • 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
  • 発売日: 2017/12/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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  • 【概要】デザインチーム運営の本。
  • 【この本の魅力】日本語で「デザイン」x「組織運営」について解説した書籍は、本書が初めてではないだろうか。その意味では1冊読んでおいて損はないと思う。
  • 【読んだきっかけ】データ組織の業務定義の参考にした。データ組織の本ばかり読むと考え方が偏りそうだったので、別領域の本を読んで抽象化して考えようとした。

開発チーム運営

55. エラスティックリーダーシップ

エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方

エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方

  • 【概要】チーム立ち上げや体制変更の直後「サバイバルモード」には、安定化が最優先で「指揮統制型」リーダーが求められる。ゆとり時間を確保した「学習モード」には、メンバーに問題解決を促す「コーチ型」リーダーが求められる。メンバーが自走を始めた「自己組織化モード」には、メンバー全員がリーダー相当まで成長できるように「ファシリテーター型」リーダーが求められる。
  • 【この本の魅力】様々なリーダー論があるが、求められるリーダーシップのあり方は文脈によって変わる。そこまでは同意するだろう。では具体的にどういう状況ならどういうリーダーシップを発揮すれば良いのだろうか。そう問われると言葉に詰まってしまう。本書はその問いに答えを示す。状況と対応をパターン付けするということだ。チーム運営が怖いのは相手が人間だからだ。判断を誤ると予期せぬ悪影響を与えてしまう。だから本書が強力なのだ。原理原則を理解することで、小手先のテクニックや表面的な現象に惑わされなくなり、チーム運営における意思決定の精度と速度が上がるようになる。
  • 【読んだきっかけ】偉い人に相談をしたときにオススメされたので読んだ。

56. 君主論 新版

君主論 - 新版 (中公文庫)

君主論 - 新版 (中公文庫)

君主論』が扱うのは、主に国を興すときの問題である。

㈠ 国の分類と、その征服と維持の手段(第1〜11章)。国の分類は、世襲君主国と新君主国とに分かれ、新君主国には、併合した国と全面的に新しい国との細分がある。著者の関心は、とりわけ「市民型の新君主国」に向けられている。

㈡ 攻撃と防衛に関する軍事的側面(第12〜14章)。永年、軍事担当のテクノクラートだっただけに、武力を自国軍、傭兵軍、支援軍、混成軍と類別し、それぞれの特徴を具体的に論じる。なかでも傭兵や支援軍の欠点を解き明かし、持論の自国軍整備の必要性、日常的訓練の大切さを説く。

㈢ 君主の資質(第15〜23章)。ここでは為政者と民衆の力関係を、とくに人間心理の面から考察して、力量ある君主像について論じる。従来の理想主義的な君主像をくつがえして、チェーザレ・ボルジアなど、同時代の非情なリアリストを賞揚する。

㈣ イタリアの危機的現状の分析、さらに危機をのりきる君主の待望論。運命観をも含む(第24〜26章)。イタリア半島の危機意識という面から、従来の君主たちの失政の原因を論じる。運命観では、悲惨な現状を逆手に取って、逆境こそ試練の場と把える独自の理論を展開する。最終章は「檄文」の趣きがあり、新君主への期待が熱く語られる。

  • 【概要】上記引用の通り。
  • 【この本の魅力】今の時代だと何をやるにしても不確実なことだらけ。課題に立ち向かうために、あるいは新しい企画を実現するために、プロジェクトチームが立ち上がる。そのときチームは『エラスティックリーダーシップ』におけるサバイバルモード(混沌期)に該当する。当時のフィレンツェもそうだった。だからこそチェーザレ・ボルジアが台頭して、マキャベリは強硬的指導者の有効性を説いたのだ。本書には力強さがある。サーバントリーダーのような生温い存在では、国を滅ぼしかねない政治状況なのだ。心を鬼にしてどんな手を使ってでも火の粉を払わなければならない。そういう覚悟を突きつけられる。スキルや経験がまだ一流とは言えない人材でも活躍できる環境を作りたい。しかしそのためには、彼らが「こういうリーダーであってほしい」と願うような、優しくて聞き分けの良いリーダーでいるだけではダメだ。船が沈む。
  • 【読んだきっかけ】仕事やサイドプロジェクトを誰かと一緒に進めようとしても「主体的に行動する人」「先陣を切る人」はごく少数だ。大抵の人は「それ今話すことじゃないよね」という事柄についての合意形成や議論にばかり時間を費やす。非生産的で未熟な感情論ばかりをぶつけ合う。実態は何も進まない。閉塞した状況を打破してチームを動かさなければならない。そのためには何が必要なのかと考えたときに、マキャベリから学べることは多いだろうと思い、読んだ。

57. はじめてのケアマネジメント

はじめてのケアマネジメント―仕事のコツがわかるチェックポイント

はじめてのケアマネジメント―仕事のコツがわかるチェックポイント

  • 【概要】ケアマネジャーの実務(電話を受ける→訪問・ヒアリング→支援計画策定→支援実施→モニタリング)における勘所をチェックリスト形式で説明。
  • 【この本の魅力】人間は1人1人違う。リーダー経験のある人なら分かると思う。コミュニケーションは本当に難しい。相手に寄り添って、何にどう困っているのかを読み解いて、アクションを選ばなければいけない。だからこそケアマネジメントの業務設計は参考になる。要介護者と向き合うケアマネジャーはまさに典型だ。自分と異なる年齢・健康状態・生活習慣・家庭環境・考え方をしている人に対して、どう寄り添って、どう手助けするのか。人間関係は互いのGiveで成り立つ。早合点で正解を押し付ければいいわけじゃない。ケアマネジャーの仕事を知ることは、相手に寄り添うスキルを身に付けるための第一歩になるのではないだろうか。
  • 【読んだきっかけ】メルカリのクーポンで購入。『君主論』で勇気を得たが、今度は優しさが不足しているなと思って読んだ。

58. ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術 3分間コーチ

  • 【概要】1日3分でいいから時間を確保して部下の話を聞きに行こう、と叱ってくれる。
  • 【この本の魅力】マネジメント系の書籍は色々あるけど、ややこしい考え方や手法を詰め込んでも、すぐに全てを実践できるわけじゃない。本書の言う「1日3分」はクリティカルかつシンプルで実践的だ。10人チームで全員と1日3分だけでも話せているだろうか。打てば響くメンバーばかりと話して、そうでないメンバーとは無意識に距離を置いていないだろうか。彼らこそ上司のサポートを真に必要としているのではないだろうか。3分間だけでいい。勇気を出して声を掛けよう。じゃあ何を聞くか。どういうスタンスで聞くか。キーワードは未来志向だ。詳しくはぜひ読んでみてほしい。
  • 【読んだきっかけ】メンバー育成に悩んだ。昔の上司が当時この本を読んでいたのを思い出した。今の自分に必要かもしれないと思って読んだ。

59. 図解&事例で学ぶ入社1年目の教科書【My殿堂入り】

図解&事例で学ぶ入社1年目の教科書

図解&事例で学ぶ入社1年目の教科書

  • 【概要】全体像(お金の流れは社会→会社→労働者、影響力の流れは労働者→会社→社会)から説明。だから上司のニーズや後工程に注目することに意義があると説明している。その上で、振られた仕事の進め方・コミュニケーションの取り方・モチベーションの保ち方・問題解決のコツを一式説明している。
  • 【この本の魅力】入社1年目向けに書かれているからこそ、自分が既に忘れてしまった当時の不安・不満・心情を想像しながら読むことができた。どういう気持ちに寄り添えば良いのか。どういう伝え方だと伝わるのか。教える立場で読むと気付きが多い。似たタイトルの『入社1年目の教科書』と違って「忘年会では体を張るぞ!」といった記述はない。パワハラ扱いされにくいという意味で「これを読んでおいてください」と渡しやすい1冊だと思う。仕事術の本を10冊読むくらいならこの1冊を極めるのが良いと思う。
  • 【読んだきっかけ】アルバイト・インターン・新入社員向けの教材として読んだ。週末フリーランスを始めたときは自分用に読み直した。

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60. エンジニアリング組織論への招待(流し読み)

  • 【概要】「エンジニア」x「マネジメント」の切り口で、各概念・手法を説明した本。
  • 【この本の魅力】書かれている内容自体は、一昔前の「課長」や「プレイングマネージャー」ブームに出版された書籍と同じため、大企業で課長(あるいは課長補佐)を経験したビジネスパーソンにとって、本書で得られる新しい情報は特にないと言える。ただ、当時の書籍は営業組織を題材にしたものが多く、脳内で自分の立場に置き換えたり「これは1on1と同じだよね」と考えながら読む必要があった。そういう意味では、モダンな概念・手法を体系的にまとめて、エンジニア向けに編成した本書は有意義だ。エンジニアとして腕を磨いてきた人が、チームを率いる立場になったときに、最初に読む1冊として最高だと思う。これまでは後任の開発リーダーを育成する際に「プレイングマネージャー」本を勧めていたが、今後は代わりにこの本をオススメしようと思う。
  • 【読んだきっかけ】出社したらデスクに置いてあった。エンジニアリングマネージャーやテックリード全員に配布されたらしい。せっかくなので読んだ。

61. エンジニアのためのマネジメントキャリアパス(流し読み)

エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド

エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド

  • 【概要】SOFT SKILLS が独立志向キャリアの本であるのと対照的に、本書は企業・開発チーム内で活躍するキャリアの本だと言える。CTOやVPoEを目指すといったトピックが出てくる。
  • 【この本の魅力】開発メンバーとの1on1で役立つと思う。個人的に好きなのは以下の部分。空想のマネージャーと現実のマネージャーの違い。役職がついたところで自由になるわけではない。さらに上の役職の指示を受けながら、部下の面倒も見なければいけない。空想のテックリードと現実のテックリードの違い。好き勝手に1人でコードを書けるわけではない。スキルの足りないメンバーをフォローしなければいけない。リアリティのある描画で思わず「あるある」と頷いてしまった。本書に書かれていることは一度経験したら分かる内容だろうなとは思う。だけど誰もが気軽に役職を経験できるわけではない。単純に「大変そう」「自分には早い」と思い込みだけでシャットダウンしている人も多いのではないだろうか。もったいないなとは思う。現代は自分の意思と行動でキャリアを切り開ける時代だ。「こういう選択肢がある」と知ることから全ては始まる。そういう意味で、リアルな情報が書籍にまとまっているのは非常に価値があると思った。
  • 【読んだきっかけ】出社したらデスクに置いてあった。エンジニアリングマネージャーやテックリード全員に配布されたらしい。せっかくなので読んだ。

62. コンピテンシー面接マニュアル

コンピテンシー面接マニュアル

コンピテンシー面接マニュアル

  • 【概要】知識・技術・動機といった要素ごとに点数をつけて採用しても、入社後に思うような成果が上げてもらえないということは多々ある。個々の要素を繋げて行動に移すコンピテンシースキルが大事だからだ。どのように面接を設定すると、コンピテンシースキルを見極めることができるか。採用活動の全体像を抑えるところから、実践可能な面接の進め方まで、余すところなく抑えている。
  • 【この本の魅力】人事業務に関わるなら読んで損はない。また、本書の内容は採用だけでなく人材育成の参考にもなる。本書では「活躍できる人材」を定義している。外から採用するだけでなく、今いるメンバーを育てることも1セットだと思う。
  • 【読んだきっかけ】採用要件を作るために何人か相談したところ、本書をオススメされたので読んだ。

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コンセプト・思考法

63. アイデアのちから

アイデアのちから

アイデアのちから

彼らが偉業を成し遂げたのは、人々に影響を与えるアイデアを練り上げたからだ。彼らには、権力も名声もPR会社も広告予算も広報官もなかった。アイデアがあっただけだ。 それが、アイデアの世界の素晴らしいところである。しかるべき洞察と適切なメッセージさえあれば、誰でもアイデアを記憶に焼きつけることができる。

この本の要旨は、優れたアイデアとは、発想力があるアイデアマンが天才的な思いつきから生み出すものではなく、一定のフレームワークに従ってもとのアイデアを練り込んでいけば、高い確率で優秀なアイデアが生まれるということである。そして、その鍵は、ほんの少しだけ、私たちの心に、そのアイデアの記憶の粘り・焼き付けを起こすことに成功することであり、そうすれば、誰でも相手に浸透しやすい、わかりやすい、優れたアイデアが出せる、ということを訴えている。

  • 【概要】人が思わず他の人に話してしまうようなアイデア。バイラルするコンセプト。そこには特徴がある。単純明快で(Simple)、意外性があり(Unexpected)、具体的で(Concrete)、信頼性があって(Credentialed)、感情に訴える(Emotional)物語(Story)だ。略すとSUCCESs(成功)だ。
  • 【この本の魅力】コンセプトデザインに使える思考フレームワークを学べる。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。私は企画者でありたいのです。

64. 仮説思考

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考で最初から自分なりにある程度まで踏み込んだストーリーを組み立て、それが正しいかどうか調べ、間違いに気がついたらただちに軌道修正し、あらためて他のストーリーを考える。この方法が最も効率的だ。

「現状分析をしてみると、こんな分析結果が得られるだろう。その中でも問題の真因はこれで、その結果としていくつかの打ち手が考えられる。中でも最も効果的なのはこの戦略だろう」という筋道を、仮説ベースでつくってしまう。

仮説を検証するために分析を行なう場合、必要となる分析もおのずと限られ、最小限の工数ですむからだ。これを忘れて、分析結果から何かを発見しようとすると、あれもこれもと闇雲に分析することになり、結局は情報洪水に溺れてしまう。

ビジネスで大事なことは、どれだけたくさん働いたかではないが、どれだけ正確に調べて分析したかでもない。どれだけよい答えを短期間に出して、それを速やかに実行に移せるかである。

  • 【概要】最初に仮説を立ててストーリーラインを描きましょう。そのあとにリサーチ(インタビュー・ディスカッション)、実験(テストマーケティング)、財務シミュレーション(財務三表とKPIによる定量分析)を通して検証しましょう。
  • 【この本の魅力】読んでいて共感の嵐。そうだよなぁ。仕事というのはそうやって進めるものだよなぁ。論文を書くときだってアタリをつけてから着手するよなぁ。フルコースが全部出る前に食べ始めるよなぁ。ポーカーだって山札を全部引く前にコールするよなぁ。国語事典を全ページ暗記してから受験勉強を始めるわけじゃないよなぁ。レベル100で最強武器コンプリートする前でもラスボスに挑むよなぁ。40億人の異性を全員見比べてから1人に交際を申し込むなんてありえないよなぁ。必要最小限の判断材料で意思決定して、目標以上の効用を得ることが経済合理的だよなぁ。なあハム太郎!!!!お前もそう思うだろ!?!?!?!?
  • 【読んだきっかけ】議論が行ったり来たりして話が進まないときに「暫定で良いのでポジションを取りませんか」と提案した。ステークホルダーパラダイムシフトを促すに当たって、どのような伝え方をすべきか検討するために読んだ。

65. コピーキャット

コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす

コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす

「我流は駄目だ、生きている時間が少ないから。先例から教訓を学ぶ」

戦略上の五つの問いとは、「どこを模倣するか」(どの業界や領域から模倣の対象を選び出すか)、「何を模倣するか」(何を模倣の対象にするか、製品か、プロセスか、ビジネスモデル全体か)、「誰を模倣するか」(モデルの背後にある本質をどう見抜くか)、「いつ模倣するか」(模倣するタイミングをどう決めるか)、「どのように模倣するか」(どのような模倣の形態やプロセスをとるか、たとえば、大まかなロードマップを作るのか、青写真の詳細まで描き出すのか)

  • 【概要】顧客のためにならない独自性よりも、マーケットに影響を与える模倣をしようぜという本。
  • 【この本の魅力】模倣はただのコピペではない。模倣こそがイノベーションのプロセスだと思い知らされる。社内外の事例をリサーチして、状況の違いを踏まえた上で咀嚼する。既存の知見を活用して、目的をより早く安く高品質に達成する。模倣元と自分では置かれた状況が違うのだから、自分なりの要素を掛けあわせざるを得ない。結果的にオリジナリティが滲み出る。
  • 【読んだきっかけ】市場を1から作ろうとすると理解されないし大変だし時間が掛かるよなぁ。差別化をやたら意識する企画はことごとく失敗するよなぁ。成功している起業家は手堅いマーケットに乗るがうまいよなぁ。みたいなことを思って読んだ。私は企画屋でありたいのです。

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意思決定・思考法

66. 「好き嫌い」と経営

「好き嫌い」と経営

「好き嫌い」と経営

経営者は「行動のリーダー」でなければならない。現実に商売を創り、戦略ストーリーを構想し、ストーリーを動かし、稼ぐ。こうした本来の経営という仕事は、いずれも「何をするのか」「何をしたいのか」という経営者の行動を問うものであり、運動エネルギーにかかっている。経営者の運動エネルギーはビジネスの成果を最も大きく左右する要因の1つだ。

好き嫌いの復権を主張したいですね。「良し悪し」「正しい・間違っている」とは別に、経営者は「うちはこういう商売が好きなんだ」という話を大いにすればいい。そこで働く1人ひとりにしても、「自分はこの会社のここが好きだ」っていう、良し悪しと別の動因があるはずです。仕事でも「自分はこういう仕事が好きなんだ、こういうのは嫌いだからやりたくない」というものがありますよね。それなのに「これからはこの仕事が稼げる」とか、客観的な良し悪しばかりを基準にしてしまうと、仕事にしても、経営にしても、戦略にしても、すべて台なしになる気がします。

工夫することが好きです。自分で工夫をすれば、安上がりでよりよいものが手に入る可能性が高くなりますよね。苦労してでも、ちょっとしたこだわりで人生を豊かに、というようなことが好きです。

人をビックリさせたり喜ばせたりするのが好きです。友達の誕生日会ならサプライズをしたいと思うし、チャンスがあれば何かしら企画したい。それと同じことをやっていたら、ビジネスになったのです。サービスだったり、商品だったり、アイディアだったり、自分の好きなことを選んできたら、「それがお金になった」というのが、僕にとってのビジネス。基本はずっと「自分の好きな仲間や友達をビックリさせてやろう、驚かせてやろう」ですね。

若い頃は「今に見てろよ!」というのはありましたね。ライムスターの曲のなかにも、「黙らしてやる いつか全部」という歌詞があったし。今の僕はそれなりの期間、上場企業の経営をやっています。そうでなくても僕くらいの年齢になると、ゆるみそうになる。「まあ、いいです。どうぞ、どうぞ」みたいな部分が出てくるのです。でも、ベンチャー精神を維持しないと会社を拡大できません。そういう意味でヒップホップは大事ですね。

自分だったら何か貢献できるかもしれない」と思うような仕事しか請けないというのがポリシーです。

課題がない人というのは、仕事をしていない人です。しかしチャレンジすれば、副産物として必ず課題を抱えることになります。チャレンジしている途中の一点を捉えて評価したら、何一つ成果は出てこないし、課題しか見えません。しかし、一皮むけたその先には、もっと大きな成果が出るかもしれない。どんなことであれ、時間的な流れのなかで物事がどう推移したかが大切だと思っています。

ビジネスというのは、何でも矛盾するものを追いかけます。わかりやすく言うと、品質を求めれば求めるほどコストが上がる。利益を求めれば求めるほど品質を犠牲にせざるをえない。こういう矛盾は典型的な事例です。これは単純化した話ですが、すべてのビジネスは、矛盾に立ち向かうことですよ。

ビジネスは、どちらも取らなければならないのです。同時に両方取れることはほとんどないから、ナビゲーションしていきます。つまり、ある時点では利益を求め、ある時点ではコストを上げてでも品質向上を求める。そうすることで、時間の流れとともに利益と品質の両方が上向きになっていきます。

  • 【概要】15人の経営者・研究者に「好き嫌い」をテーマにインタビュー。
  • 【この本の魅力】目次だけでも面白すぎる。特に、新浪剛史氏(ローソン取締役会長)の "「嫌いなやつに嫌われる」のが好き" というサブタイトルは一番エッジが効いていた。本書を読むと、意思決定はつまるところ「好き嫌い」だよなぁと思えるようになる。「好き嫌い」を深堀りすると、明文化されていないコンテキストに行き当たる。経営陣の強み・弱み。組織やマーケットの状況。目指したいこと。避けたいこと。そうした情報を無意識に処理した結果が「好き嫌い」なのだと思う。さすがに業界トップクラスの経営者となると、個人的なエピソードだけではなく、社会の公器を担う役割として物事を見ている。彼らの「好き嫌い」は「経営哲学」と置き換えても良さそうだ。意思決定において、最低限のデータやエビデンスは必要だけど、じゃあどういうデータやエビデンスを取るのかというと、仮説にもとづくわけだ。先に答えがあって、経営理論やデータ分析は後からついてくる。一番根っこにあるのは「好き嫌い」なのだろうなと思う。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。スタンスを考える参考として手に取った。自分が戦うマーケットを選び、そこで突き抜ける。そのためには内発的動機付けが必要だ。他の人の事例をたくさん知ることで「これは共感」「これは違うかも」という自分の心の動きを見極めながら読んだ。

67. 傷つきやすい人のための図太くなれる禅思考

  • 【概要】理不尽なことや悲しいことだらけだけど、良い意味で鈍感にポジティブに生きて行こうぜ!
  • 【この本の魅力】図太いとどうなるか。逆境や失敗に強くなる。人間関係を大切にできる。感情の切り替えが上手くなる。本書はそうした図太さを手に入れるための本。読んでいて安心するというか、丁寧に教えてもらっている感がある。ロールモデルを思い浮かべながら読むのがコツだと思う。私は2人の人物を思い浮かべた。1人は実在の人物。芯が強くていつも笑顔だった。彼女は「ダンスのレッスンで笑顔をキープしないと怒られるんだよね!」と言っていた。生まれ持った才能じゃない。訓練の賜物なのだ。自分もそうなりたいなら、同じくらい頑張らないといけない。同じように頑張りたい。そういう勇気をもらえた。もう1人はフィクションのキャラクター。辛いときには、自分はそのキャラなんだと思い込んで、少々大げさでも明るく振る舞う。ただし変なところを真似してもただの痛い人になってしまうので、具体的にどういうポイントを真似するかと言うと、それは本書が解説している箇所に注目しましょう、ということになるわけです。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。1ヶ月のバカンスで地方滞在した。宿坊に泊まったり、禅の修行を受けたりした(正確には禅ではない)。かなりハードで発狂しそうだったので「心をどう保つべきか」判断の寄る辺として適当に1冊買って何度も読み直した。おかげさまで脳内OSはメジャーアップデートしたと思う。

68. 金持ち父さんと貧乏父さん

  • 【概要】資本家になろうという内容。金を奪っていく負債と支出を抑え、金を生み出す資産に投資する。サラリーで稼ぐのが専門家(労働集約)。投資で稼ぐのが資本家(資本集約)。専門家にお金を払い、専門家に助けてもらい、専門家に教えてもらいながら、浅く広い知識を活かして稼ぐ。
  • 【この本の魅力】胡散臭いという人もいるが、内容自体は良いことを言っていると思う。内容を2点補足する。1点目は具体例。不動産や株式の下落時に安く買って高く売るとか、賃貸収入をローンに当てることで元手を使わずに稼ぐといった例が挙げられている。2点目はスキル。会計力(収入と支出、資本と負債)、投資力(お金がお金を作る科学)、市場理解力(需要と供給の情報)、法律力(ゲームのルール)。キャッシュを生み出す仕組みを作るにはこれらのスキルが必要だと言う。
  • 【読んだきっかけ】SOFT SKILLS で言及されていたので面白そうだと思って読んだ。

69. 富を築く技術

富を築く技術 (フェニックスシリーズ)

富を築く技術 (フェニックスシリーズ)

稼ぐには明晰な頭脳が必要だ。2足す2は4であることが分からなければならないし、これまでの反省と今後の見通しをもとに計画を立案し、事業の収支を細かく検証できないといけない。 ビジネスで成功するためには、事業計画を立てることのできる頭脳と、それを実行するための理性が必要だ。

やるべきことを徹底的に実行して富を築く者もいれば、ものごとを中途半端にしかできず、貧乏にとどまる者もいる。意欲や活力に満ちていること、勤勉であること、粘り強いことは、ビジネスで成功するために不可欠な要素である。

人生はおしなべて、まず「種をまき」、次にそれを「刈り取る」のが鉄則である。農家を見ればそのやり方がよく分かる。まず、育てたジャガイモやトウモロコシから種を取り、それを畑にまいたら、しばらく別の仕事をしている。やがて時が来たら、収穫する。けっして最初に刈り取って、あとから種をまくことはない。

  • 【概要】バーナム効果の語源になったバーナムさんの著書。いわゆる成功法則(誠実さ、信頼構築、職選び、資産運用、宣伝の重要性など)を説いている。
  • 【この本の魅力】バーナムさんはサーカスの原型を作った人だ。興味深い。どういう時代背景でどういうキッカケがあったらサーカスを作ろうという発想になるのだろうか。私の友人は地下アイドルのプロデュースをしているのだが、そういうモチベーションなのかな。それとも、珍しい動物を見せるという意味では、今でいう動物園のようなコンテキストなのかな。文中にバーナムさんの人生が垣間見えるのは面白い。私は大道芸が好きだ。静岡では年に1度、世界的に有名な大道芸イベントが開催される。ぜひ行ってみてほしい。あれは良い。大道芸人は世界を旅しながら出会った人たちを笑顔にする仕事だ。素敵だと思う。サーカスと大道芸は必ずしも一致しないが、大道芸好きの私からすると、バーナムさんはいわばジェダイ・マスターのような存在だ。こんな安価でマスター・バーナムの教えを学べるなんて良い時代だな!
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。富を築きたいと思って読んだ。

事業経営

70. あと3ヶ月でどうにかお金を稼ぎたいと思ったらスモールビジネス戦略【My殿堂入り】

  • 【概要】タネ銭を稼ぎながら、街中でお店やサービスを見かけたら全部メモして、一番やりたいと思ったやつをやってみろ。既に成功しているビジネスモデルなら、模倣でキャッシュを稼ぎやすい。まずは稼ぐスキルを身につけろ。タネ銭の一部でテストして、どういうチラシなら顧客を呼べるのか、どういうセールスなら決済に繋がるのか、どういう商品設計なら利益が出るのか、徹底的に調査しろ。上手くいったやり方があれば、タネ銭を徐々に多めに投下して、着実に売上を伸ばせ。いいから3ヶ月でこれをやれ。そういう本。
  • 【この本の魅力】個人的にはぶっ刺さった。著者が意識しているかは分からないが、本書は『LeanStartup』『RunningLean』『コピーキャット』の実践編と解釈できる。地に足のついたビジネス立ち上げの手引きだ。いま成功している起業家の経歴を見てほしい。大きなビジネスを立ち上げた創業者も、最初の一歩はスモールビジネスから始めて、徐々に手持ちの資本とゲームの舞台を大きくしていったように思える。素直にこの本をマネするのが第一歩なのだろう。中途半端なスタートアッププログラムや起案コンテストに時間を使うくらいなら、この本の通りに3ヶ月を過ごした方が間違いなく伸びる。大手企業はそういう休職制度を設けてもいいんじゃないかとさえ思う。これはバイブルにしたい。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。あと3ヶ月でどうにかお金を稼ぎたいと思ったので読んだ。

71. サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい

優良企業の社員が受ける「高度な教育」、それはOJT(On-the-JobTraining)です。「指導社員について仕事のイロハを教えてもらった」「先輩から引き継いだ仕事を覚えた」「業務改善の中、目の前の仕事をしっかりこなしてきた」、そういう経験を通じて、かなり質の高いOJT教育を受けてきているといえるのです。

大企業にいるあなたは、経営効率や生産性を高めるために営業管理、経理・財務管理、倉庫・物流管理、調達管理など、さまざまな業務管理システムが導入されていて「当たり前」と思うでしょう。 でも、中小企業の多くは、そんな新しいマネジメントモデルがほとんど導入されていません。

経営者育成といっても、団体によっては、ワードやエクセル、パワーポイントの〝使い方〟を勉強したり、アジェンダの作り方や議事運営の仕方、人前でのしゃべり方を勉強したりしています。一般企業の新入社員研修さながらの内容です。しかし、これが中小企業の社長に求められる平均的なレベルだったりするのです。 そこで私が言いたいのは、「それでも中小企業は回っている」ということです。大企業で鍛えられた人にとっては、びっくりするほど前近代的で、まともな管理もされていない。にもかかわらず仕事が回り、経営は黒字で安定している中小企業がたくさんあるのです。

なによりも中小企業を買うことの大きなメリットは、あなたが専門性を生かすことができ、勘所もわかる業界で、今、経営が成り立っている会社を設備も、顧客も、従業員も、仕入れ先も、取引銀行も、そのまま引き継ぐことができる点です。 どんな企業であれ、経営上の一番の課題は「事業が継続できること」です。きちんと利益が出ているのであれば、とりあえずは現状の業績をそのまま保てばOK。そう考えれば、マネージャー経験のある人にとって決して難しい仕事ではありません。

事業そのものは良いが、経営のやり方を間違えているために利益が出ていないような会社を比較的安価で買収する。そして、大企業では当たり前と思われることを実行し、経営のテコ入れをして黒字化させ、次のオーナーを見つけ、売却する。 そのとき会社の価値は、5倍にも10倍にも跳ね上がっている可能性があります。出資した金額は、何倍にもなって返ってくるのです。

  • 【概要】後継者不足の中小企業のオーナーになりましょうという本。
  • 【この本の魅力】そうした中小企業は製品や販路がすでに確立されているからこそ、これまで回ってきた。しかし経理や銀行員以外は(経営者でさえ)自社の財務状況を把握せず、昔ながらの非効率な組織運営を続けていることも多い。大手企業で長年働いて部下を持つサラリーマンなら、社員1人1人の声に耳を傾けて(ここが大事!)、経営状況を読み解けば、適切な課題設定と打ち手の考案・実行推進はそう難しいことではないだろう。中小企業が活力を取り戻せるチャンスだ。オーナーになって世の中にインパクトを与えることはエキサイティングに思える。また、事業家・資本家を志向するのであれば、ゼロからモデルを作るよりも、既に回っているモデルを改善する方が確度高く成功できるだろう。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。①キャリアの1つの選択肢として純粋に面白そうだと思った。チームやプロダクトの立て直しは散々やってきたので知見・経験はあると自負している。②1ヶ月のバカンスで地方を放浪して中小企業経営に興味を持った。③中小企業支援SaaSの立ち上げに関わる機会が何回かあった。ということで読んだ。

72. 地方創生大全

地方創生大全

地方創生大全

本来は「ゆるキャラ」なんかに予算をかけて全国区で戦う前に、地元の経済活動と向き合うべきです。個別の商品力を高め、付加価値を上げていこうとか、地域内の遊休不動産などを活用して新規開業者を増加させるなどの地味な取り組みのほうが、地域内で雇用も生まれ、他の自治体との不毛な競争にも巻き込まれず、適切な設備投資などが促されます。

他の成功事例を見る前に「自分たちの地域の課題は何か」を明確に認識し、さらに自分たちのチームは「週にどの程度労力を割けるのか」「いくらずつこの事業に資金を出せるのか」というリアルな話を詰めなくてはなりません。自分たちにできることをもとにして、取り組む「ネタを選ぶ」ようにしなくてはならないわけです。

地域の新規事業とは、巨額を要する工場を建設するわけではなく、まずは数十万円程度で試しにやってみることができる類のものが多いのです。こうした小規模事業を始める前に、皆で議論するのに数百万円もの予算をかけ、皆の労力を割くこと自体が滑稽です。

「行政」が新たな地域政策に取り組むときは、必ずと言っていいほど「目玉事業」をつくりたがります。なぜなら、全国の見本となり、その政策がいかに地方に必要であるかを具体的に示す材料がなければ、「そもそもそんな政策は必要なのか」という指摘を受けてしまい、予算がつかないからです。 政策の有効性を示すためにも、そうしためぼしい政策の文脈に乗っている自治体の取り組みを選定し、重点的に税金で支援を行い、その政策がさも成功しているように見せるという方法をとる場合があります。このときに生まれるのが「官製成功事例」なのです。

地域活性化においては、責任をとらない100人の意見を集めるより、行動する1人の覚悟のほうが尊いのです。 小さなチームが自ら取り組みを始めるときには、いちいち合意形成などというものは気にせず、「衰退を引き起こしている問題の解決に必要なトライ・アンド・エラーを、どんどんやってみよう」という状況に地域を持って行くことが大切です。

地域活性化に取り組む組織は「アイデアがないから失敗する」と思い込み、現地にも「新規性」のあるアイデアばかりを求めます。奇抜なアイデア頼みになり、むしろ実行プロセスには配慮しないため、結果として「組織」が疲弊し、頓挫してしまうプロジェクトが山のようにあります。 実際に地域において成果を出す上では、アイデアの新規性よりも、プロセスの現実味のほうがよほど重要です。

  • 【概要】地方自治体が補助金や制度を頼みにして事業をはじめると、手段が目的化した状態でスタートするので、最終的には赤字を垂れ流すだけ。民間が主導になって地道に経営課題を解消していくしかないよ!
  • 【この本の魅力】地方の現実が書いてある。失敗事例は分かりやすい。B級グルメゆるキャラ。成功事例は面白い。ど田舎だけど、バレーボール練習に特化した体育館(観客席がない・フォーム確認用カメラ付きetc...)を作って、全国のバレーボール団体が合宿のために押し寄せるとか。そして本書の魅力は事例もさることながら注目すべきは背景解説。年次予算制度に振り回される地域行政と、その地域行政に金銭面で依存する地域企業の構造。大企業と同じだなと思った。全員が良かれと思ってやっている目標設定や予算配分や事業計画が、構造の歪みによって逆効果をもたらすことになる。専門家が必死に考えて、今できるベストを尽くした結果が今の構造なのだから、それ自体に良いも悪いもない。ただしその構造でどういう力学が生じるのかは意識しないといけない。そして地道な取り組みと課題解決の繰り返しでしか、長期的な成功を掴むことはできない。地方の行政や中小企業はもちろんのこと、大企業や週末起業でビジネスを推進する人が読むと、共感と学びの嵐だと思う。
  • 【読んだきっかけ】1ヶ月のバカンスで地方放浪して色々と話を聞いた。学生時代にも地域活性活動に携わったことがあるが、当時は分かったふりをして結局何も分かっていなかった。今の自分は当時に比べて解像度高くビジネスを見ることができるようになったと思う。そんな今の自分が地域活性化というトピックに触れたら、何に気付けるだろうかと思って読んだ。

仕事術・テクニック

73. SPRINT 最速仕事術

SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法

SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法

  • 【概要】GoogleVenturesと出資先スタートアップが1週間でアイデア(仮説)を検証するときに使うプロセス。
  • 【この本の魅力】1週間の流れを追体験する構成になっている。月曜に目標を決めて、火曜にアイデアを出して、水曜にテスト計画を立て、木曜にプロトタイプを作って、金曜にテスト・分析する。本書が魅力的なのは、ただ単にスコープを小さく抑えるのではないということ。大きなゴールから逆算して、リソースをフル活用して、大胆に素早く動くんだぞ!というのが伝わってくる。徹底的に時間を圧縮するために、意思決定者の時間をどう抑えるか、休憩時間をどう使うと効果的に休憩できるのか、といった点まで細かく述べている。フルコミットで新しいプロジェクトを立ち上げるなら、自分たちが手を抜かないように監視役・進行役のスタッフを雇って、この本の通りに進めれば間違いないと思う。
  • 【読んだきっかけ】短期間で圧倒的な成果を上げたくなったので読みました。

74. たいていのことは20時間で習得できる 忙しい人のための超速スキル獲得術【My殿堂入り】

  • 【概要】著者の6つのエピソードを通して「スキルを効率的に身につけるためのスキル」を身につけよう!
  • 【この本の魅力】いつまでたっても「プログラミング勉強中です」みたいな人におすすめしたい。一時的にモチベーションが上がったときにだけ、中途半端に本を読み散らかして、中途半端に講座を受けて、中途半端にブログに書いて、だけど「これをやりました!」と胸を張って言える「何か」がない。よくある話だと思う。だけど悪いことじゃない。これが失敗パターンなのだから、この逆をやれば成功するということだ。例えば「これをやりました!」と胸を張って言える「何か」を最初に設定して、そこから逆算して学習するとか。本書はそうした成功の手順を示している。
  • 【読んだきっかけ】短期間でスキルを身につけることには自信がある。自分の武器の1つだと思う。武器を磨き込みたいと思って読んだ。

75. 東大首席弁護士が実践!誰でもできる<完全独学>勉強術

  • 【概要】きちんとインプットするための方法論。教科書を7回読もうぜ!という勉強法。
  • 【この本の魅力】この通りにやれば座学はばっちりだと思う。成長曲線に合わせてステップアップしようという考え方。まずは「こういう全体感・流れなのね」と見出しを3回通読→「ふーんそういうものなのね」と内容を知るために2回通読→「どういうことや」と考えながら2回通読。7回も読むと頭に残る。その後で問題集をやると、理解不足の箇所があぶり出される。そこを重点的に読み込む。複数科目がある受験の場合は2つコツがある。1つ目は、得意な教科をまず1つ極めてから、次の教科に着手すること。リズムを作るため。2つ目は、苦手科目はパターンだけ覚えて最低限の得点を確保して、得意な科目で点数を伸ばすこと。読んでいて納得感がある。
  • 【読んだきっかけ】資格試験の勉強前に読んだ。おかげさまで一発合格。やったね。

76. コンサルタントの読書術 確実に成果につながる戦略的読書のススメ

コンサルタントの読書術 確実に成果につながる戦略的読書のススメ

コンサルタントの読書術 確実に成果につながる戦略的読書のススメ

  • 【概要】仕事で成果に繋げるための読書法。簡単に言うと「インターネットで調べ物をするときと同じ要領で本を読もう」という内容。
  • 【この本の魅力】仕事で成果を出すためのシナリオ(仮説)を最初に立てて、必要な情報だけを集める。目的さえ達成できるなら別に書籍ではなくてもいい。書籍を読むにしても必要なところだけ。インターネットのコンテンツなら、わざわざサイトの隅から隅まで読むわけではない。そんなことをしても非効率だからだ。同じように読書すればパフォーマンスが爆上がりしますよ、ということに気付ける。
  • 【読んだきっかけ】本を置くスペースがない→自炊&Kindle活用→電子化すると便利だと気付く(=読書が目的化しない・情報収集の1つの手段として最適化される)→自分にとっての読書のあり方を考え直そう→考え方が近そうだったので本書を読んだ。

77. 10倍速く書ける 超スピード文章術

10倍速く書ける 超スピード文章術

10倍速く書ける 超スピード文章術

  • 【概要】目的と読者を決める(誰に何を伝えたいか)→素材を集める(エピソード・数字・根拠・意見)→構成を決める(どう話したら伝わるか)→一気に書き上げる(20点版)→修正する(論理破綻がないか・嫌味がないか・リズムは良いか・削る形で字数調整)。この5つのステップを効率的に進めよう。
  • 【この本の魅力】本書の良さは4点あると思う。1つ目はインパクト。現代は文章を書く機会が多い。素早く書けると生産性が上がる。2つ目はマインドシフト。情報を伝達できれば良い。詩的な表現である必要はない。この事実に気付ける。3つ目は方法論。具体的にどの手順で何をすべきかが分かる。4つ目は実践機会。毎日のように文章を書く時代。読んですぐに実践できる。これら4つのメリット。効果は複利で効いてくる。今日読めば今日から恩恵を享受することができる。
  • 【読んだきっかけ】今年は@ITで記事連載を受け持った。文章を書くコツを知ろうと思って読んだ。

yuzutas0.hatenablog.com

78. リサーチの技法

リサーチの技法

リサーチの技法

  • 【概要】リサーチの流れは、テーマ/課題設計→誰に何を伝えたいか→アウトライン→補強する形で調べる(素材集め)→素材をならべかえる(議論)→ドラフトを書く→書き直す。ドラフトの構成は「背景・課題・回答」>「主張・エビデンス(データ/エピソード)・論拠/ロジック」>「引用・参考リスト」>「結論サマリー・残された課題・お礼」という形式。
  • 【この本の魅力】『アカデミックスキルズ』や『理科系の作文技術』の上級編・欧米版のような位置付け。テクニックについてはこれらの書籍と似た内容が続く。文は短くまとめる、既知の情報を文頭に置く、名詞は端的に・具体的に、修飾語ではなく動詞で行動させる、といった具合だ。また、コミュニティごとの関心や書き方を知る(学会に参加する・論文を読む)ことの重要性を述べている点は実践的だ。
  • 【読んだきっかけ】福利厚生で図書券をもらったので購入。社内コンサルと化したので、リサーチスキルを伸ばしたいと思ったので読んだ。

79. 30日できれいな字が書ける ペン字練習帳

30日できれいな字が書けるペン字練習帳 (TJMOOK)

30日できれいな字が書けるペン字練習帳 (TJMOOK)

  • 【概要】30日間ひたすらペン字を練習しまくる本。
  • 【この本の魅力】実践型。お手本を見て、書いて、差分を確認して、直すところを意識して、また書く。その繰り返し。安価だし、30日で終わるらしいし、とりあえずこれでいいかなという1冊。ちなみに私はこの薄い1冊を終えるのに1年を費やした。というのも普段ボールペンで字を書く機会が少なすぎて、丁寧に書こうとするとどうしても時間が掛かってしまうのだ。頑張った甲斐はあった。コツコツと続けるうちにパターンを意識できるようになった。「あ」と「お」とか。習字で賞を取ったことのある同僚からは「パターンが見えてきたら一気に楽しくなるよね」と太鼓判をもらえた。
  • 【読んだきっかけ】①ミーティング議事録代わりにホワイトボードの写真で済ませることが多いのだが、その写真を見返す度に自分の字が汚すぎると感じた。②資料作りにおいては iPad + ApplePencil + Noteshelf2 が最高だと気付き、今後は Keynote や GoogleSlides ではなく手書きで資料を作っていこうと思った。③旧友に手紙を出す機会があった。

以下の記事でも言及した。

yuzutas0.hatenablog.com

80. 外資系金融機関のExcel作成術 - 表の見せ方&財務モデルの組み方【My殿堂入り】

  • 【概要】前半はExcelのショートカットとビジュアライズ。後半は財務三表とKPIを整理して事業計画を立てるワークブック。
  • 【この本の魅力】「ExcelでXXXしよう!」系書籍を見ると、たまに思わぬ良本が見つかる。本書はその1つだ。計数管理業務は暗黙知だらけでコモディティ化されているとは言い難い。経営企画部門やコンサルの出身者なら先輩に叩き込まれてきただろう。しかし本当はビジネスに関わる人間なら、誰もが出来てしかるべき仕事だとも思う。いざやろうとすると綺麗には進まない。見よう見まねでシートを作り、魔改造しながら使い続けることになる。「これでいいんだっけ」「もっと良い方法はないんだっけ」と迷いながら作業することになる。寄る辺がないのは不安だ。そこで本書後半のワークブックが道を示してくれる。
  • 【読んだきっかけ】Kindleセール。財務三表とKPIを整理して事業計画を立てられるようになりたいと思ったので読んだ。

なお、本書は意義深い書籍なのだけど、だからこそ1点だけケチをつけたい。 第3章に「毎月の財務計画を立てる」という練習ページがある。 月単位でキャッシュフローを整理していく課題だ。

このデータを見ると1月末時点の数字はギリギリ黒字になっている。 そのため問題視されていない。 だがよく見ると、収入と支出のタイミングによっては、1月中旬にキャッシュが尽きうる財務状況になっている。 というか月初に収入が振り込まれるケースはそこまで多くないように思う。 経理のオペレーションとしては先月末に締めて、月中〜月末に掛けて振り込むのではないだろうか。

練習問題だから気にするなと言えばその通りだ。 経営企画・金融機関・コンサルは慣習的に月次で見るクセがあるだろう。 2週間程度なら金額によっては短期ローンで乗り切ることもできるはずだ。 しかし実際に自分で事業経営をするときは「1月末なら黒字予定だけど1月中旬にキャッシュが尽きました」はちょっとどうだろう。 そのくらいの解像度で物事を判断できる自分でありたい、とは思った。 私は企画屋でありたいのです。

まとめ

およそ週に1冊+αの頻度です。 読者家を名乗るには程遠いですが、無理のないペースで色々と読みました。

こうして振り返ると無難なビジネス書が多いようにも思います。 その割にはアクションに繋がっていない気がします。 1冊読んだら1つの行動に繋げてナンボなので、自分のアウトプット不足を痛感します。

来年は尖ったコンテンツにもっと触れていきたいです。 人類の歴史、生き物や地球の不思議、クリエイターの体験談。 自分の世界が広がるような本と出会いたいなと思います。

おわりに

  • このエントリーを書くの、めちゃくちゃ大変でした。二度とやらないことをここに誓います。
  • KindleのハイライトがPCに同期されない書籍があるのだけどどうしたらいいんですかねこれ。あと全角・半角横断で検索できないのも辛いですね。

  1. 記事公開(予定(遅延した))が12/24なので、2017年12月24日〜2018年12月23日の間に読んだ書籍を対象とします。

新規事業の担当者に「差別化の罠」を伝えたい

この記事はProduct Manager Advent Calendar 2018 - 25日目の記事です。 PMではなかったはずなのにズルズルとPM代行業をやることになって、新規事業の立ち上げで四苦八苦しながら綴ったポエムになります。

お願い

何歩も前を進んでいる先輩方からすると、この記事の言い分はアンチパターンなのかもしれません。 読んでいて「こいつはまだまだ青いな」と思ったら、ぜひツッコミをください!

背景

2018年には社内外でいくつかの新規事業に関わりました。 そこで多くのエンジニアが「xxxと同じものを作るだけではないか」と不満を持っているのを見ました。 中にはプロダクトマネージャー自身が「差別化の罠」に陥っているところもありました。

差別化の罠

「差別化の罠」と私が呼ぶのは、その名の通り「差別化にこだわったせいでかえって企画が失敗する」というアンチパターンのことです。 「このままじゃ既存のサービスと同じだ」と言って、本当にニーズがあるのかさえ分からない機能を押し込む。 ユーザーに響く保証もないキャッチフレーズ(そもそもどこで使うの?)作りに時間を浪費する。 「特別な何か」を追い求め、いつまで経っても要件がまとまらず、フォーカスとモメンタムが損なわれ、チームが迷走する。 こういう場面は多々ありました。

業務支援系のSaaSだと初期バージョンの機能面ではあまり差が生じないように思います。 ターゲットユーザーや支援対象業務のセグメントを細かく切ればまた違うかもしれませんが。 大抵の場合、機能面だけに注目するならば、最初は既存サービスのクローンを作るような形になるはずです。

稼げるサービスというのは、ある程度似通ってしまうはずです。 市場が大きいというのはそういうことだと思います。 キャッシュポイントが強いというのはそういうことだと思います。 わざわざ差別化を意識するくらいですから、それだけ強固で堅実なビジネスモデルが既にあるはずです。 伸びているドメインなら、最初は先人の知恵を借りて、既存のモデルに乗ってしまえば良いはずです。

Googleでさえ世界的には後発の検索エンジンで、被引用数を軸にしたシンプルなロジックから始まったそうです。 Yahooはリンク集だし、Facebook前略プロフだし、Amazonはマニアックな書籍の通販サイトだったわけですよ。 どれも世界初のサービスではありません。 ヒットするサービスに「特別な何か」なんてないんだということは声を大にして言いたいです。

コピーキャット

もっと身近に92・93年生まれの国内起業家を例にあげましょう。 Progateはプログラミング学習、Kurashiruは料理動画、mikanは英単語Tinder。 これらを聞いて、ドメインやアイデアが斬新ですごい、という感想は抱かないはずです。 むしろ手堅いマーケットとユーザー体験を抑えていますよね。

同じサービスを自分が0から担当するとしたらどうでしょうか。 今から3ヶ月以内に結果を出せなかったらクローズだと言われたらいかがでしょう。 3ヶ月後に50人のユーザー規模を突破できない人もいれば、3ヶ月後に5,000人のユーザー規模を突破させる人もいるはずです。 その差はアイデアじゃないですよね。 彼らがすごいのはそこですよね。

コピーキャット』という書籍を読むと、アイデアや機能だけが勝負を決めるわけではないと思い知らされます。 ビジネスを伸ばすための勝ち筋をどう抑えるか。 整合的でムダ・ムラ・ムリのないオペレーションをいかに構築するか。 地道な営業活動を粘り強く続けられるか。 「こっちのほうがいいかも」という誘惑を断ち切って1つの事業にフォーカスできるか。 極端な言い方をすると、誰がどうやるかの違いでしかないのだと思っています。

コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす

コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす

エグゼキューション

実行の過程で必然的に見えてくるものがあります。 業務支援SaaSであれば、ランディングページ訪問時の検索キーワードが、ユーザーからプロダクトへの期待です。 営業電話で「それなら使うよ」と言ってもらえるポイント(いわば殺し文句)が、ユーザーからプロダクトへの期待です。 その期待を満たすことがプロダクトの価値提供であり、その延長上に差別化があるのではないでしょうか。

もちろん仮説ありきです。 まずはビジネスとして大きい絵を描く。 絵がないとリソースは動かせないからです。 資金やメンバーはもちろん、それ以上に、自分自身をフルコミットさせられないでしょう。

ただし、絵を描くとしても、その絵は実行可能でなければいけません。 大きいけど複雑ではない絵、シンプルに留めた絵。 大きいけどユニークではない絵、パターンを抑えた絵。 肝心なのはエグゼキューションだからです。

プロフェッショナル

その肝心なエグゼキューション。 まず10人のユーザーに使ってもらう。次に100人に。1,000人に。10,000人に。 そうやって非連続に利用者を伸ばしていくわけです。 そのために愚直に施策を打ち続けるわけです。 ダメな施策を打っても無駄なので、マーケットの反応を見て、勝ち筋を探るわけです。

やることは単純ですが、しかしそれが難しい。 マーケがクソだと顧客が来ない。 システムがクソだと使い物にならない。 デザインがクソだと離脱されてしまう。 サポートがクソだと悪評が広まってしまう。 経営がクソだと組織が内側から瓦解してしまう。

だからこそプロフェッショナルがいることに意義があるのです。 そしてプロダクトを伸ばすための企画を考えるのが楽しいんじゃないか!と思うわけです。

で、どうしたらいいの?

関わるメンバーは「せっかくだからこういうのもやろうぜ」と小さな介在価値を入れ込めば良いと思います。 エンジニアなら技術的なチャレンジとしてテストツールを使ったり、デザイナーなら画面設計でモダンな思想を取り入れたり1。 プロフェッショナルが微に入り細を穿つことで、プロダクトの細部に神が宿り、その1%の進化が積み重なることで、競合優位性が構築されるのではないでしょうか。 要するに自分なりに楽しめば良いのだと思います。

そして「差別化の罠」に陥りかけているチームに対して伝えたいことは

  • 思いつきで要件を膨らませるだけのお偉い様方は少し黙ってください。あなたたちにしか出来ないサポートは他にもっと山ほどあるのですから、そっちを全力でお願いしたいです。
  • メンバーはきちんと声を上げていきましょう。あなたたちが動かなければ、プロジェクトが前に進むことはありません。何が決まれば作業に着手できるのかをリストアップして、さっさと全て決めてしまいましょう。

という感じです。

で、お前は何をしたの?

もう少しオブラートに包んだ言い方ですが各現場で実際にこのような話をしました。 私自身の正式なロールは Product Manager ではなかったのですが、いつまでたっても右往左往するだけだったので「いいからやるぞ!」ということで、気持ちとしてはポジションを半分ほど乗っ取らせていただきました。

その後、いくつかの事業は順調に動き始めたので、しかるべきPMにロールを移譲しています。 一方で、いくつかの事業は執行力の低さを理由にして2、オーナー・資金提供者3から撤退を言い渡されています。

両者に差があるとしたら、どのような形であれ具体的なアウトプットを素早く出したかどうかだと思っています。 開発途中の画面のキャプチャだけでもいいからステークホルダーに見せる。

アウトプットが出てしまった以上は、チームも資金提供者も、もうお互いに引っ込みがつかないので、対策前進するしかないわけです。 エグゼキューション力というのはそういうアウトプットを積み重ねて身に付くものだと思います。 アウトプットを積み重ね、ひたすら対策前進を繰り返し、仮説サイクルを回しまくって、そうやって勝ち筋に辿り着くのかなと思います。

もっと端的に言うと「口を動かす人よりも手を動かす人の数が多いチーム」や「メンバー全員の経験値が豊富でアウトプットの質が高いチーム」は確実に生き残っているのかなと思います。

おまけ

ということをSlackに殴り書きしたらコメントが寄せられました。

あわせてよみたい。

上司は思いつきでものを言う

by @takesako

あわせてよみたい。

Friction - Mary Poppendieck - Agile SG 2016

by @poohsunny

答えをもっているのはユーザーなので、簡単に実験できてそれが本当に意味があるのか・無いのかが分かるようにしたい。データ基盤、FeatureToggle、カナリヤリリース、ダークローンチ、etc...。

by @i2key

おわりに

プロダクトをきちんとマネジメントできるようになってからプロダクトマネージャーを名乗ろう!!!!! まともにファーストリリースさえできていないのにプロダクトもクソもあるか!!!!! キラキラしたPM像を描いてそれっぽいことを言ってるだけじゃプロダクトは作れないと思うんですよ!!!!!

半年以上掛けて方針を検討するくらいだったらなぁ、さっさと1週間でリリースしちまえよ!!!!! 会議を重ねたり、曖昧なヒアリングを続けたところで、いつまでたっても同じ話の繰り返しじゃねぇか!!!!! だったらむしろ、ペラ1のチラシを持って見込み客に声を掛けて、まずは1件の受注を目指そうや!!!!! 着手するのが今日だろうが半年後だろうが、どうせ考えていることなんて二転三転するだろうが!!!!!

もうね、一度全員ラーメン屋を経営して黒字にしてからPMを名乗るのがいいんじゃないですかね!!!!! めっちゃ大変だと思いますよ!!!!! 飲食店は全部の要素が詰まっていますからね!!!!! だからこそかなりの勉強になるんじゃないですかね!!!!!


  1. ただし十分な実力がない人材が思いつきで試すとプロジェクト炎上の原因になるのでその点は気を付けたいです。リテラシーが低い人向けのサービスで斬新なUIにしても離脱されるだけだったり。やるならユーザーインタビューやリサーチを踏まえて根拠のあるデザインにする、もしくはABテストで検証する。そういう徹底的な姿勢が前提にあるかと思います。もし私自身がそのレベルに至っていない見習いなら、金を払ってでも外部メンターを捕まえて、指導を受けながら仕事を進めるだろうと思います。

  2. 表立ってそうは言っていないけど原因を深掘ると執行力としか言いようがない感じでした。

  3. 持って回った言い方をしましたが、大企業の場合はプロジェクトをレビューする上位レイヤー(要するに社長や役員)のことです。

平成最後のECサイトを作りました #平成最後

この記事は平成最後の Advent Calendar 2018 - 23日目の記事です。

注意点

  • 閲覧する人によっては不愉快に感じる内容、不健全な表現を多分に含んでいます。気分が悪くなったらすぐにブラウザバックをお願いします。
  • 「クソアプリ Advent Calendar」がどれも結構しっかり作り込んでいて、なんというか「本当のクソサービスをお見せしますよ」「本当のクソエントリーをお見せしますよ」という気持ちになったので、この記事を捧げます。

【概要】平成最後のECサイトを作りました!

エモい気持ちで平成を振り返りながら、当時の懐かしいものを物色したり購入するサイトです。 サイト名が「平成最後のECサイト」です。

f:id:yuzutas0:20181225150952p:plain

平成最後のECサイト

https://heisei-final.yuzutas0.com/

【経緯】隣室の喘ぎ声が止むまでにWebサイトを作れるか

世はクリスマス連休。

とある地方都市。

お腹が空いたら外に出て美味しいものを食べる。

お腹がいっぱいになったら部屋に戻ってディズニー映画を観る。

ラインナップは「アナ雪」「ベイマックス」「ラプンツェル」などなど。

なんて贅沢な休日だ。

しかし、問題が起きた。

不規則で、くぐもった「キュッ、キュッ」という音。

最初は冷蔵庫か何かの音だと思った。

やがてはっきりとしてきた。

これ喘ぎ声やんけ!

ここ!めっちゃ壁が薄いのか!

隣の部屋のカップルは!

まさにいま!

ありのままの姿で!

Let it go してる!

「おいこの空気どうするんだよ……」

常人ならそう言いそうになる!

だがそれじゃダメだ!

人生を豊かにするコツ!

制約を楽しむこと!

そして閃く・・・!

悪魔的発想・・・!

「いまからWEBサイトを作り始めて、隣の部屋の喘ぎ声が止むまでに、リリースしてみよう」

自分の才能が怖くなった。

これまでも、昼ごはんと夕ごはんの間にWEBサービスを1から作ってリリースしたりニコ生放送中にリアルタイムで成人向けサイトを作ったりと、数多くのWEB開発RTAをこなしてきた。

だが今になって思えば、これらは大した話じゃない。

いずれも時間を見積もることができたのだから。

放送時間は決まっていた。

食事に至ってはタイミングを調整できる。

この程度の制約ではダメだ。

むしろ「いつ喘ぎ声が止むのか分からない」という状況!

ここでやってのけてこそ、真のラピッドプロトタイピング

かの偉大なる経営者、松下幸之助はこう言っている。

素直な心というものは、すべてに対して学ぶ心で接し、そこから何らかの教えを得ようとする謙虚さをもった心である

たとえどんな状況であれ、自らが成長する糧とすること。

これが大事なのだと思う。

【発想】Heisei Final プロジェクト

とはいえ超短時間でのリリース。

技術的なチャレンジなんかできるわけがない。

かといってコンテンツなしというのも面白くない。

そういうときはエモさだ。

ありきたりの内容を!

エモいコンテキストでラッピングする!

あとは雰囲気でゴリ押す!

今の自分にはディズニーマジックがついている!

では具体的にどんなエモさを注入するのか。

ふとHeisei-Finalプロジェクトという案件を思い出した。

某社で実際に担当している開発案件だ。

業界の著名人やエース級のエンジニアがやたら集まっている。

Slack上のノリで決まってしまった適当なプロジェクト名。

JIRAのチケットを見ると「平成最後の要件定義」とか「平成最後の受け入れテスト」とか、そういうエモい感じになっている。

「平成最後の」という枕詞をつけることで、いとをかしなコンテンツになるわけだ。

これだ!平成最後のサイトにするんだ!

だが焦るな、落ち着け。

平成最後と言っても色々ある。

平成最後の音楽サイトとか、平成最後の宿泊サイトとか。

そういえば、別件でドロップシッピングのサイトを使っていたなぁ。

そうだ!ECサイトだ!

ポケモンのような平成を代表するコンテンツ。

そうした商品を揃えてECサイトにしよう。

慌ててドロップシッピングのサイトで「ポケモン」と入力して検索してみた。

1つも見つからなかった。

版権モノはそう簡単に流通できないのか。

時間はない。どうする。

ふと、流れているディズニー映画を見やる。

プライムビデオ。

「もう全部Amazonリンクで良くね?」

作るものは決まった。

ここまで約5分。

意思決定のスピードとしては悪くない。

窓を叩く風の音が、新元号の近付く足音が、そして隣の部屋では喘ぎ声が、少しずつ大きくなっていた。

「やれやれ」

私はVimを開いた。

【結果】そんな簡単にできるわけないよね

喘ぎ声はいつの間にか止まっていましたとさ。

めでたしめでたし。

WEBサイトのリリースには1時間以上も費やしてしまいました。

ただのHTMLサイトなので、技術的には工夫もクソもありません。

時間が掛かったのは以下。

  • 平成を代表するコンテンツのリストアップ・選別。
  • UIの違和感を抑えるための微調整。
  • 権利関係。画像利用についての確認。
  • GithubPagesと独自ドメインの紐付け。
    • DNSの設定方法が間違っていて1日以上反映されなかった。IP直接指定に修正したら一瞬で解消した。
    • リリース自体はgithub.ioドメインで完了していたので、1時間で出来たということにしておいてください。

本当はTwitterでリアルタイム実況しようと思ったけど、寝落ちしたら恥ずかしかったので「30分くらいでリリースできた後に呟けばいいかな」とか思っていたら(特にDNSで)グダグダして完全にツイートのタイミングを逃してしまいました。そういうとこやぞ。

【振り返り】人生を全肯定していこう

  • 「アイデアがあるなら手段を問わずに1時間でリリースしよう!」という実績を解禁。1時間で1サイトをリリースできるなら、可能性はいくらでも広がる。もはや時間の有無は言い訳にならない。時間に余裕があるかどうかは、私が人生を楽しむ際の障害ではなくなったということだ。
  • 2018年で初めて「この状況でこれやったら面白くね!」という実績を解禁。「おいこの空気どうするんだよ……」という時に、愚痴を言うのは三流、スルーは二流、爽やかフェイスで笑うのは一流、斜め上の発想で面白いことをするのが超一流。上位のほうが一緒にいる人たちを笑顔にできると思っている。
  • 新たな目標ができた。次に「隣の部屋から喘ぎ声が聞こえてくる」状況になったらリベンジする。アホくさいと思うだろうけど、そういう「一見するとどうでもいい目標」に本気で打ち込むことは、人生を豊かにするためのコツだと思っている。

最後に

宿泊先で隣の部屋から喘ぎ声が聞こえたときに、あなただったらどうしますか。 「この声が止むまでにWEBサイトをリリースしよう」とポジティブに思えますか。

全力で今を楽しもうとする前向きな姿勢。 誰もが子供の頃に持っていた、ひたむきな思い。 ディズニー映画の主人公のように、どんな状況でも諦めずに夢を信じる心の光。

特別な才能が必要なのではありません。 クラスのいたずらっ子と一緒に遊んでいたときのことを思い出してください。 クラスで一番話が面白かった友達のことを思い出してください。 きっと、いくらでもカオスなエピソードが思い浮かぶのではないでしょうか。 あの頃と同じように、今を全力で楽しめば良いのだと思います。

平成<あの頃>に置き忘れてきたものを、もう一度取り戻しに行きませんか。

平成最後のECサイト

https://heisei-final.yuzutas0.com/

BigQueryのコスト可視化ダッシュボードを10分で作る

この記事はGoogle Cloud Platform その1 Advent Calendar 2018 - 18日目の記事です。

以前こういうブコメをしたのですが、言いっ放しだとダサいので、具体的なやり方を書きます。

もくじ

はじめに

この記事のゴール

BigQueryにおいて「どのユーザーが、どのくらいクエリを叩いているか、どのくらいコストを使っているのか」を可視化します。

  • (情シス部門に権限を縛られていなければ)10分で出来ます。
  • (BQのストレージやクエリ料が多少掛かりますが)ほぼ無料です。

解決したい課題

GCPのコンソール画面ではトータルのコストしか閲覧できません。 ドリルダウン分析ができないので、具体的なアクションに繋がりません。

課題の背景

コストは多すぎてもダメ、少なすぎてもダメだと思っています。

コストが多すぎる場合。 ワイルドクエリを投げているユーザーに「こういうSQLを書くと財布に優しいですよ」と案内します。 同じような集計処理が繰り返されている場合、集計済みの中間テーブルを設けるなどの節約施策を打ちます。

コストが少なすぎる場合。 データが活用されていないということになります。 多くの部署に使われることがデータ基盤の意義だと思います。 そのため「データの民主化」を促進する施策を打つ必要があります。

詳しくはBQ Sushiの登壇資料デブサミの登壇資料を参照ください。

実行方針

  • BigQueryのクエリ実行記録を使う
  • Stackdriver Loggingで上記のデータを収集する
  • 収集したデータをBigQueryに保存する
  • BigQueryのデータをDataStudio(名前がDataPortalに変わったらしい)で表示する

完成イメージ

f:id:yuzutas0:20181218160434p:plain

作業手順

1: BQクエリ実行ログを流す

GCPコンソールから「Stackdriver Logging」>「Logs」を開きます。

resource.type="bigquery_resource"

上記の条件を記入して「Submit Filter」を押すと、ログが絞り込まれます。 その状態で「CREATE EXPORT」を押します。 エクスポートの設定を聞かれるので、以下のように入力しましょう。

  • Sink Name: export_audit_logs
    • お好きな名前でOK
  • Sink Service: BigQuery
  • Sink Destination: source__cloudaudit__bigquery
    • これが出力先データセット名になる
    • お好きな名前でOK

全て埋めたら「Create Sink」を押します。

f:id:yuzutas0:20181218160524p:plain

これでBigQueryのクエリ実行記録(ログ)がBigQueryに流れるようになります。 「Sink Destination」で定義したデータセットの下に、2つのテーブル「cloudaudit_googleapis_com_activity_YYYYMMDD」「cloudaudit_googleapis_com_data_access_YYYYMMDD」が生成されます。

f:id:yuzutas0:20181218160616p:plain

このデータをもとにコスト可視化ダッシュボードを作ります。

2: DataStudioでダッシュボードに表示する

Google DataStudio の新規レポート作成画面を開きます。

f:id:yuzutas0:20181218160630p:plain

「CREATE NEW DATA SOURCE」>「BigQuery」>「SELECT」>「CUSTOM QUERY」>「対象プロジェクト名」を押下して、SQLコンソールを開きます。 もし「Use Legacy SQL」にチェックが入っていたら外しましょう。

コンソールには以下のSQLを貼り付けます。 最初のFROM節は「Sink Destination」で定義したデータセット名を入れてください。

WITH
log AS (
  SELECT
    protopayload_auditlog.authenticationInfo.principalEmail AS user,
    SUM(protopayload_auditlog.servicedata_v1_bigquery.jobCompletedEvent.job.jobStatistics.totalBilledBytes) AS total_bytes,
    COUNT(protopayload_auditlog.authenticationInfo.principalEmail) AS query_count,
    PARSE_DATE(‘%Y%m%d’, _table_suffix) AS day
 FROM
    `source__cloudaudit__bigquery.cloudaudit_googleapis_com_data_access_*`
 WHERE TRUE
    AND protopayload_auditlog.servicedata_v1_bigquery.jobCompletedEvent.eventName = ‘query_job_completed’
GROUP BY
    protopayload_auditlog.authenticationInfo.principalEmail,
    day
)
SELECT
    L.user AS User,
    ROUND((L.total_bytes*5)/1000000000000, 2) AS Cost,
    L.query_count AS Query_Count,
    L.day AS Day
FROM
    log L
ORDER BY
    2 DESC

ちなみに、WHERE句を TRUE で始めているのは、条件を変更するときに最初の1行で AND をいちいち追加・削除せずに済むからです。

SQLを書いたら「CONNECT」を押して接続します。

f:id:yuzutas0:20181218160647p:plain

ここから先はお絵かきタイムになります。 上記のようなダッシュボードを設定しましょう。

DataStudioの仕様は頻繁に変わるので、キャプチャでの詳細解説は省略します。 以下の4つはボタンを押せばすぐにできるはずです。 もし分からない点があればお気軽に@yuzutas0にメンションください。

  • 「テキスト」で、タイトルを表示させる
  • 「期間」で、当月(デフォルト)を表示させる
  • 「数値」で、合計コストを表示させる
    • SQL結果の「Cost」を「SUM」したものが合計コストです
    • 詳しい設定は後述します
  • 「グラフ」で、ユーザーごとのコストを折れ線で表示させる
    • データソース: BigQuery
    • 期間のディメンション: Day
    • ディメンション > 時間ディメンション: Day
    • ディメンション > 内訳ディメンション: User
    • 指標: SUM - Cost
    • 内訳ディメンションの並べ替え: SUM - Cost

テキストだと分かりにくいので、以下の設定キャプチャを参考にしてください。

f:id:yuzutas0:20181218160704p:plain

これで完成です。 必要な権限が付与されていて、なおかつツールに慣れていれば、10分で完成します。

応用編

1: 全体コストを可視化する

ユーザーごとのコストを可視化しましたが、これだけでは本当に数字があっているのか分かりません。 実装のあとにはテストをして、データの品質を担保することが大事です。 そこで、全体コストがGCPコンソールの数字と合致するかを見てみましょう。

f:id:yuzutas0:20181218160724p:plain

SQL結果の「Cost」を「SUM」したものが合計コストとなります。 以下のような設定をすれば適切な数字が出るはずです。

  • データソース: BigQuery
  • 期間のディメンション: Day
  • ディメンション > 時間ディメンション: Day
  • ディメンション > 内訳ディメンション: なし
  • 指標: SUM - Query_Count
  • 内訳ディメンションの並べ替え: なし

「内訳ディメンション」を「なし」にすることがポイントです。 「User」を指定するとユーザー別コストになります。

2: コストではなく実行回数を計測する

BigQueryの請求料金はデータ量に依存します。 そのため「実際にデータを活用されているか」をモニタリングする場合、必ずしもコストだけを見ればいいわけではありません。 そこで、コストではなくSQLの実行回数もダッシュボードに出してみましょう。

f:id:yuzutas0:20181218160739p:plain

  • データソース: BigQuery
  • 期間のディメンション: Day
  • ディメンション > 時間ディメンション: Day
  • ディメンション > 内訳ディメンション: User
  • 指標: SUM - Query_Count
  • 内訳ディメンションの並べ替え: SUM - Query_Count

「指標」で「SUM - Query_Count」を指定することがポイントです。 ここで代わりに「SUM - Cost」を指定すると、前述したコストの計測になります。

3: チーム単位のコストを計測する

ユーザー別ではなくチーム別で管理する方法となります。 どのチームがデータ基盤を積極的に使っているのか。どのチームは使っていないのか。 チーム単位で区切って「データの民主化」の状況を分析することができるようになります。

前提として、BigQueryに「ユーザー(メールアドレス)」と「所属チーム」を紐づけるテーブルを用意する必要があります。 データを用意する方法は色々ありますが、オススメなのは「Google Spreadsheet」でチーム・メンバーの管理簿を作ってBQに定期反映するやり方です。 他の方法でも問題ありません。

さて、データを用意できたら、SQLを以下にように書き換えましょう。 最後の数行で「INNER JOIN」をしている箇所、その結果を「SELECT」している箇所が差分となります。 ユーザー情報を結合キーにして、クエリ実行履歴とチーム名を紐づけています。

WITH
log AS (
  SELECT
    protopayload_auditlog.authenticationInfo.principalEmail AS user,
    SUM(protopayload_auditlog.servicedata_v1_bigquery.jobCompletedEvent.job.jobStatistics.totalBilledBytes) AS total_bytes,
    COUNT(protopayload_auditlog.authenticationInfo.principalEmail) AS query_count,
    PARSE_DATE(‘%Y%m%d’, _table_suffix) AS day
 FROM
    `source__cloudaudit__bigquery.cloudaudit_googleapis_com_data_access_*`
 WHERE TRUE
    AND protopayload_auditlog.servicedata_v1_bigquery.jobCompletedEvent.eventName = ‘query_job_completed’
GROUP BY
    protopayload_auditlog.authenticationInfo.principalEmail,
    day
)
SELECT
  L.user User,
  M.team AS Team,
  ROUND((L.total_bytes*5)/1000000000000, 2) AS Cost,
  L.query_count AS Query_Count,
  L.day AS Day
FROM
  log L
INNER JOIN
  `source__spreadsheet.member` M
ON
  L.user = M.mailAddress
ORDER BY
  2 DESC

このデータをもとに、チームごとのクエリ料金を表示するには、以下のような設定をします。

  • データソース: BigQuery
  • 期間のディメンション: Day
  • ディメンション > 時間ディメンション: Day
  • ディメンション > 内訳ディメンション: Team
  • 指標: SUM - Cost
  • 内訳ディメンションの並べ替え: SUM - Cost

「内訳ディメンション」で「Team」を指定することがポイントです。 ここで代わりに「User」を指定すると、前述したユーザーごとのコストモニタリングになります。

4: BigQueryにテストデータを入れる

BigQueryを使い始めたばかり・GCPプロジェクトを作ったばかりで、まだクエリを叩いていないよ!という状態かもしれませんね。 そうなるとダッシュボードは0円のままで、本当に動いているのか確認することはできません。

何回かクエリを叩くためにも、適当なテストデータを投入してみましょう。 以下のSQLをBigQuery UIで実行してください。

WITH item AS (
  SELECT
    CAST(RAND() * 100000000 AS INT64) AS purchaseId, -- 購入IDをランダムに生成する(ユニークの保証はないが重複の確率は低い)
    CAST(RAND() * 5 AS INT64) AS itemId, -- 購入した商品ID(0〜5)をランダムに生成する
    CAST(RAND() * 120 AS INT64) AS advertiseId, -- 流入元の広告ID(0〜120)をランダムに生成する
    CAST((RAND() * 40) + 20 AS INT64) AS age, -- ユーザーの年齢(20歳〜60歳)をランダムに生成する
    CAST(RAND() * 1 AS INT64) AS gender, -- ユーザーの性別(0〜1)をランダムに生成する
    DATE_SUB(CURRENT_DATE(), INTERVAL CAST((RAND() * 50) AS INT64) DAY) AS purchasedAt, -- : 購入日付(現在日付から50日前まで)をランダムに生成する
    CASE
      WHEN 10 * RAND() < 8 THEN 0
      ELSE CAST(RAND() * 1800 AS INT64)
    END AS discountAmount -- 割引金額(80%の確率で0円、20%の確率で0〜1800円)をランダムに生成する
  FROM
    UNNEST(GENERATE_ARRAY(1, 100000)) -- 100,000レコードを生成する
)
SELECT
  item.purchaseId AS purchaseId,
  item.itemId AS itemId,
  (item.itemId + 1) * 2000 AS price, -- 商品Idを元に商品価格を決める
  item.discountAmount AS discountAmount,
  ((item.itemId + 1) * 2000) - item.discountAmount AS paymentAmount, -- 商品価格から割引金額を差し引いた結果が支払い金額
  item.advertiseId AS advertiseId,
  item.age AS age,
  item.gender AS gender,
  item.purchasedAt AS purchasedAt
FROM item

このSQLによって以下のようなデータをランダムに10万レコード生成します。

  • 個人情報マスキング済みのユーザー情報(年齢・性別)
  • アクション情報(広告・購買)
  • 購買情報(商品・金額)

SQLの実行結果を適当なテーブルに保存しましょう。 私は慣習的に workspace データセットの test__records に出力することが多いです。

あとは適当にこのデータを分析するためのSQLを叩いてみてください。 どの商品が一番人気なのか。どのようなユーザーが多いのか。どの広告経由での売上が高いのか。 何回かクエリを実行するとコストダッシュボードに変化が生じるはずです。


※上記ランダム生成クエリについて補足します。

例として CAST(RAND() * 5 AS INT64) AS itemId の1行を取り上げます。

5: 毎朝Slackに通知する

豪華なダッシュボードを作っても、すぐに見なくなるのが人間というものです。 既存の業務フロー(例:毎朝Slackの未読チャンネルをざっと眺める)に上手く乗せることができると、実運用として回るはずです。 画像ファイルでSlackに自動配信できるのが理想ですね。

しかし、いまのDataStudioの仕様では実現できません。 Puppeteerでスクリーンショットを取ってSlackに投げる、といった手段を取ることになります。 「10分でお手軽にやろうぜ!」というコンセプトからは少し逸脱しそうです。

そこでおすすめなのが、純粋なSlack botの定期ポストです。 今回作ったダッシュボードのURLを毎朝垂れ流すだけ。 /reminder #bq_report コスト確認 https://xxxxxx every weekday といったコマンドを打つだけなので、30秒で動かせます。

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まぁ、ぶっちゃけこれだと、利用者はほとんど見ないです。 システムリソースやコストに興味ないですからね。 代わりに、データ基盤エンジニア、システム管理者、エンジニアリングマネージャーといった、お金や負荷を見る人たち。 彼らが時々見てコスト・キャパシティの予実を確認します。 このユースケースには十分に対応できるかなと思います。

おわりに

このようにGCPはソリューションを組み合わせるだけで色々実現できるので超絶おすすめです。

実は最近はじめてフルGCPの案件を担当しました。 インフラやデータ整備があまりにも簡単で驚きました。 1週間で見積もっていた作業だったのに、ボタンをポチポチしたら一瞬で終わってしまいました。 これまで他クラウドやオンプレとのハイブリッド構成で苦しんだのは何だったのかという感じです。

新規事業であっても、むしろ新規事業なら尚更GCPがおすすめです。 今時のプロダクト開発だと、データ活用の重要性が高まっているので、いわゆるMLOps・DataOpsの取り組みやすさは重要となります。 また、システムだけでなく、ビジネスやマーケティングという観点でも、Google Adwards、Google Analytics、FirebaseがBigQueryと連携できるため、非常に魅力的です。

f:id:yuzutas0:20181218161321p:plain

https://datastudio.google.com/navigation/reporting

ということで、エンジニアにとっても、サイエンティストにとっても、ビジネスデベロッパーにとってもGCPは最高だと思います。 めでたしめでたし。

どうしたらHRTを大切にできるのか

この記事はDevLOVE Advent Calendar 2018 - 17日目の記事です。 開発現場で奮闘しながら綴ったポエムです。

サマリー

  • HRTを大切にすることは大事だけど難しい
  • 1人1人の心掛けは必要だけど、それだけでは不十分ではないか
  • メンバー1人1人が(自然とHRTを抱き合えるような)プロフェッショナルであることも大事ではないか
  • さらにそうしたプロフェッショナルが価値を発揮しあえるようなオープン・フェアネスな環境が必要ではないか

HRTという言葉

謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)のことで、コミュニケーションの土台とされる原則です。 『Team Geek』という本で紹介されている言葉です。

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか

「HRTを大切にしましょう」と言うこと自体は簡単なのですが、徹底するのは難しいよなぁとしばしば思います。 24時間365日ずっとHRTの原則を徹底できたらもう聖人です。

じゃあ「どうしたらHRTを大切にできるのか」という話になります。 大きく分けて自発的要因と外発的要因の2つがあるのかなと思います。

前提:インサイド・アウト

7つの習慣』に「インサイド・アウト」という概念があります。 内側から影響力を行使していこうという考え方です。 1つはこれだと思います。自発的要因です。

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

もっと端的に言うと「お互いに大人同士としてポジティブな姿勢を見せ合いましょう」ということだと思います。 チームメイト全員の良いところを見つけて素直な言葉で伝えられると最高です。

「可愛い〜」と片方が言ったら、もう片方が「え〜、xxちゃんのほうが可愛いよ〜」と言う感じですね。 改めて考えると示唆に飛んだ会話だなと関心しています。 コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしているわけです。

人:一流のプロフェッショナルであること

もう1つが外発的要因だと思います。 特にチームメイト全員が一流のプロフェッショナルであるかどうか。

プロフェッショナルの定義は色々ありますが、端的に言うと「コミットしたことを実行する人」だと思います。 そのために「必要なスキルを苦もなく磨き続けられる(=学習習慣を備えている)」とか「早い段階で20点版のアウトプットを出す(=方向性に齟齬がないか確認する)」ような方々だと解釈しています。 とにかくアウトプットの量が多く、それゆえにインプットの量が多く1、それゆえに当たりをつける力が身につき、それゆえにアウトプットが早くなり、それゆえにフィードバックを早く得て、それゆえにアウトプットの質が高い。 そういう人のイメージです。

今年担当した某プロジェクトが最高で、メンバー1人1人が自分から仕事を見つけて「これやりました」「これどうします?」「これ懸念してます」といったコメントをSlackにどんどん投げていました。 相手が期待する前に、相手の(将来抱くであろう)期待を超えていました。 わざわざ「この人はこういうところがすごいんだ」という点を探そうとしなくても「こいつすげぇな」とつい口走ってしまうようなチームです。 自然とお互いにHRTを大切にできました。

アピールが上手いとか派手とかじゃなくて、業務として必要だからフィードバックを求めているだけ。 フィードバックの題材として「これが叩き台です」と提示しているだけ。 その叩き台が、誰かに指示される前に出てくる、しかもどんどん出てくる。 どうせ仕事のパターンはある程度決まっているのだからと、過去の経験をもとにして、今回の案件の背景を踏まえて「これでいいですよね」と先に言うわけです。

固有スキルがあって仕事の進め方を知らないメンバー、仕事の進め方は上手いが固有スキルがないメンバーは、お互いに「どうすればいいですか?」と相談しあいます。 ある分野でプロフェッショナルだからこそ、別の分野で足を引っ張らないように、素直に相手に頼ったり、自分に足りないものを補うために教えを乞えるのだと思います。 そういう姿勢を見て、お互いに好感を抱くわけです。

一流の人材だけを集めてアサインしたプロジェクトオーナーはすげぇなぁという話でした。 ここに関しては採用力が全てだと思います。2

環境:オープンとフェアネスであること

ただ、そのプロジェクトも、最初から全てが最高だったわけではなく、以下2点の要素があったからこそ「自然とHRTを大切にできる」状態になったのかなと思います。

1つ目:オープンに相談できる環境であったことです。 アラートを上げたら「物事を前進させるために必要な情報を可視化してくれた」とポジティブに評価するチームです。 抱え込んでしまうと、むしろ「次からは早く言ってください」と指摘が入ります。

2つ目:フェアネスな環境であったことです。 年齢や職種ではなく、実力と成果で相手を評価するチームです。 普段からOSSにコミットしているような新入社員は高く評価されますし、進捗を可視化できない年配のプロマネは厳しく詰められます。

で、ここから先は自己PRなのですが、上記プロジェクトのオープンとフェアネスは、他ならぬ私自身が作り上げるのに貢献したよ(成功だったよ)という感じです。

私がやったことはシンプルです。 まず、偉い人たちのミーティングに入り込んで、議事録をConfluenceに書いて、それをメンバーに共有しました。 そして、マネージャーやプロデューサーのPC端末にしか存在しない情報をかき集めて、Confluenceにどんどん上げていきました。

というのも、エンジニアメンバーがマネージャーやプロデューサーに質問するたびに「実はこうなんですよ〜」「偉い人がこう言っていて〜」と新情報が投下され、話が二転三転して、肝心の開発は全く進まず、その割にスコープばかりが膨らみ、全員がイライラしていたからです。 マネージャーやプロデューサー自身も人一倍その歪みを痛感していたはずで、だからこそ辛かったのだろうと思っています。 陰口が横行し始めて「こりゃあかん」となったわけです。

Confluenceに情報を可視化する際には、以前エンジニアリングチームを立て直したときの「ドキュメントデザインパターン」という概念をベースにしました。

yuzutas0.hatenablog.com

yuzutas0.hatenablog.com

議事録や資料が可視化されたことで「二転三転したのは単なるコミュニケーション齟齬やんけ!」「勝手に忖度してややこしくしているだけやんけ!」といった惨状があらわになりました。 「こういう状況が続くのは好ましくないので変えていきたい」「そのためにエンジニアチームが手伝えることはないか」という旨をオープンな場で伝えました。

そのメッセージだけで風向きが変わりました。 全員が全員、「何かがおかしい」と思いながら、目先の作業に忙殺されて疲弊して、だけど頑張った割には上手く進まなくて、思うところがあったのだと思います。 1人1人は優秀なチームだったので、そこから先は各自が正しいと思う方向で動いて、ポジティブな流れができていったというわけです。

めでたしめでたし。

まとめ

HRTを大切にするために必要なのは「まずは自分がHRTを意識すること」に加えて「チームメンバー全員がプロフェッショナルであること」と「オープンかつフェアネスな環境であること」なのだと思います。 となると次は「そういうチームをいかに作るか」と「そういう環境をいかに作るか」というのが鍵になるのだろうと思います。

チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ

チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ


  1. 逆説的だが先にアウトプットがあってそのあとにインプットがあるのだと考えています。

  2. 育成も大事だとは思います。ただ、これだけ自学自習のしやすい時代で「育てること」「育ててもらうこと」ありきだとお互いに辛くなりそうです。